好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

高山は夏から秋へ

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photo:tadatoshi obata

台風10号が過ぎてから山の気温もお盆の頃とは変わってきました。※写真は8/18(日)この日は日中でもお盆前の空気感とは異なり、秋のような空気感でした。とは言いつつ、日差しが当たれば温かいですが。

高山は夏から秋へ

体温を奪う現象は「対流」「伝導」「蒸発」「放射」の4つが存在します。

●対流:風によって体温を下げる現象。
●伝導:濡れた衣服を着れば、体温は奪われる。
●蒸発:汗が蒸発する時に熱を奪う。
●放射:衣服を脱いで裸になれば、熱は放出される。

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8/20、8/21と秋雨前線の影響により3000mの稜線では時折、強い雨が降り10m以上の風が吹いていました。気温が10度であれば体感は0度以下、水は空気の約24倍の熱電動率がある。したがって体が濡れ、風が強いと体温は加速的に低下します。熱電導率が高まる濡れ、対流(風)による体温低下、体の熱を産生するカロリー不足、疲労、保温が不十分な衣服の条件が揃えば低体温症は起こります。当たり前ですが、ミッドレイヤーとしてフリース、サーマルレイヤーでダウンなどの装備が必要。ドライレイヤーなど着ていれば少しは効果はあるかもしれませんが強い風雨の前には微力にしかならないかもしれません。それ以前に濡れない、冷やさない事。着るタイミング、熱を生産する為の努力なども大切ですね。このあたりは山での行動においての生活技術が必要になります。

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昨夜は槍ヶ岳山荘に宿泊しましたが、低体温気味の方がいらっしゃったり、寒い寒いと沢山の方がストーブの前や暖房の効いた部屋に集まってました。体力があれば!と思うかも知れませんが体力がありそうなプロレスラーのような外国人の方もびしょ濡れで死にそうな顔してストーブの前で自分の身体をさすり、その場に居合わせた学生達に介護されていました。※写真は前線通過後に晴れ間。ただし風は10m以上。翌日は・・・と思われましたが結果、翌日もよくなりませんでした。

今までは暑さなど熱疲労対策に意識がありましたが、これからは寒冷に対しても留意が必要です。秋雨前線は前線を挟んで夏の空気と秋の空気とが押し合いをしているため、前線は日本上空を南下したり北上したりする、こうして長雨が続く。当然ですが前線が南下し、秋の空気の勢力にいる時は秋の気温になります。

高山に行かれる方はご注意ください!

お盆が過ぎると秋を探してしまいますね。

つい、先日まで梅雨明けはまだ? クマゼミが喧しく鳴くね。などと夏の話題でいっぱいでした。

秋山計画は台風と秋雨前線の動きが気になるところです。

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本格的な縦走登山を快適に楽しむために必要な基礎体力を養うにも良い時期がきました。

私は毎月六甲山を舞台に長時間歩く、様々な地形を歩く、水分摂取と栄養補給を効率よくとりながら自分の体調管理を行うをテーマにした企画を実施しています。

シーズン11に突入する「加藤校長と歩く!六甲山シリーズ」⇒ こちら

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アウトドアフィールドの多くは街中のような安全管理はされていません。小さな石ころにけつまづいて転び、ヘリコプターによる救助となった事例もあるくらいです。

どんなに険しいルートも、どんなに初心者向きのルートでも、そこを歩く登山者に基礎的な歩く能力と体力が無いと、自ら遭難に近づくことになるという自覚が必要です。

 

Yahoo ニュース 個人 ライフ 「死と隣合わせの日本最難関コースに溢れる登山者」

 

年間通じて山岳自然を満喫できる日本列島!

好日山荘登山学校ツアーを積極的に利用して、日頃から足腰を鍛える意識を持つ生活に変えていきませんか。

好日山荘登山学校ツアー ⇒ こちら


 

紅葉の計画を立てる時期ですよ。

盆休み真っ只中の日本列島!

今、絶景ポイントで楽しんでいる方も、お仕事している方も、秋の気配を感じる山歩きの計画をしてみませんか。

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乗鞍岳

9月中旬以降なら中部山岳エリア、標高2500m付近が狙い目ですね。

朝晩は残暑が続く日頃の生活からは想像できないくらい冷え込むものです。登山口は夏の様な気候でも標高を上げるに従い気温は低下、吹き抜ける風が強ければ尚更のこと体温を奪われてしまいます。気温の変化が大きくなるので、服装・装備は慎重に選びましょう。

 ⇒ 標高100m上げる毎に、0.65度程度気温は低下します。

 

美しくちょっと儚い秋の瞬間をぜひ体験いただきたくて計画しました。

私はとても深い思いを抱く「北アルプス大日岳」を計画です。ラムサール条約認定の湿地である大日平から剣岳の雄姿を見ながら、奥大日岳を往復する稜線歩きです。

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陽を浴びて

登山道の脇にはたくさんの発見がありますよ。

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紅いには霜化粧

少人数企画のご案内です。

加藤校長と歩く! 北アルプス/大日岳~奥大日岳 縦走3日間 9/29~10/1

 

 

夏山シーズン本番

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梅雨があけ夏山シーズン到来。写真は剱岳・長次郎谷ルート。

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この時期は主に飛騨山脈(北アルプス)でのガイドが多いです。

写真は北穂高岳・東稜ルートf:id:asahiryuta:20190809234739j:plain

写真はジャンダルムに立っているところを友人が撮影してくれました。

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 写真は穂高岳山荘から雨上がりに見えた、前穂高岳・北尾根にかかる虹。

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その前穂高岳・北尾根から涸沢を見る。

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西穂高岳からの朝焼け。

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北穂高岳から大キレットへ。

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東鎌尾根から見た槍ヶ岳。

ここ数日で槍穂の主稜線ルートをひと通り歩きましたが何度歩いても良いですね。

私が岩稜歩きのガイド時、大切にしているのは確かな歩行技術。これは一朝一夕には身に付かない技術ですが意識しつづける事が大切です。

この時期特有の行動についてのマネジメントは、その日その日のコンディションでも違いますが、山の天気は午後から下り坂なので(怖いのは雷雨)おおむねpm2時には行動を終える。逆算すれば出発時間も考えられますね。

明日からはお盆休み。どうか皆様にとってよい山の思い出ができますように。

安全に留意して楽しんでください!

 

 

 

登山学校 富士山登頂

今年二回目の富士山は登山学校実技講座。

11名のお客様と岩田ガイドと共に富士宮ルートから山頂を目指しました。

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今回も富士宮ルートから。この日は梅雨明け後の初めての週末&晴天で激混み!!

 

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 出発! Beforeの元気な表情。この後、下山者の疲れ具合を見て不安になる方続出。笑

 

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 晴天の中 遙か彼方に見える山小屋(今回は山口山荘)を目指して。

 

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2日目は3時に出発 途中の万年雪荘近くでご来光。最高の瞬間でした。

 

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もう少しで登頂。

 

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 そしてヘロヘロで登頂・・・ は演技で

 

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全員元気に登頂しました。 おめでとうございます!!

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 みんなで山頂の絶景を楽しみました。ご参加ありがとうございました。

登山の成否は8分。

職人の世界に「段取り8分に、仕事2分」という言葉があるそうです。

登山も似たような比率だと思います。登山で言う「段取り」とは、登山計画・装備・食料・体力・技術etc‥、事前の準備の事ですね。登山の成否は、この8分の準備で決まると思っています。残りの「仕事2分」は現場での対応力です。予想外のハプニングに適切に判断する能力です。

梅雨も明けて、暑い夏がやってきました。f:id:yoshida1487:20190729115803j:plain

先日のナイトハイクは、暑さへの準備と対応力が求められました。気温が高く、樹林帯で風がないと体内に熱がこもってしまいます。小まめな水分補給とクールダウンの休憩が必要です。日が沈み、稜線に出ると風が吹いて、気温が5℃も低下。気持ち良い。f:id:yoshida1487:20190729120351j:plain

今回のお目当てはこちら。f:id:yoshida1487:20190729120325j:plain

夜景と花火を楽しむナイトハイク。貸切の山頂から、眼下の花火大会を鑑賞。隣町の花火まで見えてラッキーでした。暑い中歩き通していただいたお客様に感謝です。

今回、汗対策として下着を新調してみました。f:id:yoshida1487:20190729122451j:plain

ドライレイヤーは、人気のファイントラック社のスキンメッシュを長年愛用しており、その快適さは十分感じているのですが、ミレー社のドライナミックも試してみなさいと言われ、試してみました。結果は、これまた快適。どちらも良いので、好みの問題ですね。これは両方試してみないと分からないかも。

ただ、男子的にはショーツはファイントラックの方が快適です。一番汗かく部分がメッシュなのが良い。

重ねたのは、バーグハウスのTシャツ。スリムなフィット感と速乾性が、ベースレイヤーと抜群の相性でした。帰路は電車でしたので抗菌防臭性能もうれしい機能です。

新しい事を取り入れながら、より快適になる準備を怠らない。そんな風に登山を楽しんでいただければと思います。いざ、夏休みへ。f:id:yoshida1487:20190729154910j:plain

ヘッドライトを使うシーン

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登山学校の実技講座でトワイライトハイクを開催しました。ヘッドライトを使って暗い登山道を歩く。いつもより様々な注意が必要な事を体感し、知っていただけたと思います。

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ギアのスペック、説明書にある使い方を知っている。だけではなく、実際に現場での使用経験。両方兼ね備えていると良いですね。最新のヘッドライトは200ルーメンは標準装備。ここ数年買い換えていないというあなた!買い換え必須です。

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明るければ良いか?確かにそうですがそれだけではありません。点だけ明るくてもそこだけ見てしまい、暗い部分が見えにくくなったりします。登山用のヘッドライトはその辺りの境目が視認しやすいよう考慮して作られたりしています。

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実際の山での使用シーンでは、夜暗くなってから使うというよりは、夜明け前の早出の際に使う事がほとんど。夏山は早立早着は必須。今回はその為の練習でした。夜明け前に行動するとこんな景色も見れますよ〜


ぜひヘッドライトを積極的に使ってみてください。