好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

高山は夏から秋へ

f:id:asahiryuta:20190822205647j:plain

photo:tadatoshi obata

台風10号が過ぎてから山の気温もお盆の頃とは変わってきました。※写真は8/18(日)この日は日中でもお盆前の空気感とは異なり、秋のような空気感でした。とは言いつつ、日差しが当たれば温かいですが。

高山は夏から秋へ

体温を奪う現象は「対流」「伝導」「蒸発」「放射」の4つが存在します。

●対流:風によって体温を下げる現象。
●伝導:濡れた衣服を着れば、体温は奪われる。
●蒸発:汗が蒸発する時に熱を奪う。
●放射:衣服を脱いで裸になれば、熱は放出される。

f:id:asahiryuta:20190823173508j:plain

8/20、8/21と秋雨前線の影響により3000mの稜線では時折、強い雨が降り10m以上の風が吹いていました。気温が10度であれば体感は0度以下、水は空気の約24倍の熱電動率がある。したがって体が濡れ、風が強いと体温は加速的に低下します。熱電導率が高まる濡れ、対流(風)による体温低下、体の熱を産生するカロリー不足、疲労、保温が不十分な衣服の条件が揃えば低体温症は起こります。当たり前ですが、ミッドレイヤーとしてフリース、サーマルレイヤーでダウンなどの装備が必要。ドライレイヤーなど着ていれば少しは効果はあるかもしれませんが強い風雨の前には微力にしかならないかもしれません。それ以前に濡れない、冷やさない事。着るタイミング、熱を生産する為の努力なども大切ですね。このあたりは山での行動においての生活技術が必要になります。

f:id:asahiryuta:20190823173247j:plain

昨夜は槍ヶ岳山荘に宿泊しましたが、低体温気味の方がいらっしゃったり、寒い寒いと沢山の方がストーブの前や暖房の効いた部屋に集まってました。体力があれば!と思うかも知れませんが体力がありそうなプロレスラーのような外国人の方もびしょ濡れで死にそうな顔してストーブの前で自分の身体をさすり、その場に居合わせた学生達に介護されていました。※写真は前線通過後に晴れ間。ただし風は10m以上。翌日は・・・と思われましたが結果、翌日もよくなりませんでした。

今までは暑さなど熱疲労対策に意識がありましたが、これからは寒冷に対しても留意が必要です。秋雨前線は前線を挟んで夏の空気と秋の空気とが押し合いをしているため、前線は日本上空を南下したり北上したりする、こうして長雨が続く。当然ですが前線が南下し、秋の空気の勢力にいる時は秋の気温になります。

高山に行かれる方はご注意ください!