好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

登山のエネルギー補給。

 登山でよく聞く「シャリバテ」。ハンガーノックとも呼ばれ、長時間の行動により、エネルギーが不足し低血糖状態になる事です。一度は経験した事がある方もいると思います。そして、脳の働きも低下し思考力が鈍くなります。全身の酸素消費量の20%を占める脳を守るため酸素が体に回らなくなり、歩くだけで呼吸が荒くなり、運動停止状態になります。f:id:yoshida1487:20201013115928j:plainエネルギーの主な源は、糖質(炭水化物)や脂質です。これらエネルギーを計画的に補給することで長時間の運動が可能になります。

先日の講座で新たな試みとして、参加者の皆さんに摂取カロリーを表にして記録していただきました。各休憩ポイント毎に摂取カロリー、飲量、休憩時間、行動時間などを記録しながら歩きました。「長い距離をバテずに歩く」という実証的な講座です。f:id:yoshida1487:20201013120824j:plain各ポイントまでの行動時間は距離にして2㎞前後。エネルギー補給は、小休憩毎(10分位)に200kcalと、大休憩毎(20分位)に500kcalを目安にしました。行動時間は9時間30分程(休憩120分程)で、参加者の皆さまは平均して約2000kcalを補給していました。結果、バテるという事はありませんでした。

登山で消費するカロリーの基本計算式は体重(kg)×行動時間(h)×5kcalです。

この60~80%ほどの補給が目安です。私は朝食含めて2175kcalを採りました。推定消費カロリー2625kcalの約80%です。空腹感なく歩く事ができました。

長時間の登山で体力を不安視する方がいますが、体力が足らなくてリタイアする方は多くありません。多いのは体調不良でリタイアする方です。大切なのは体の調子です。登山中の水分・エネルギー補給をしっかり管理して体調を整えながら歩く事です。

エネルギーは車で言うガソリンと同じで、枯渇すれば動けなくなります。補給するカロリーは、これから行動する時間を予測して採ります。食べた分だけ動くという考え方です。一方水分は、消費した分を補給するので、喉が乾いたら飲みます。f:id:yoshida1487:20201013124902j:plainそして、重要なのは「空腹のまま下山しない」事です。空腹のまま下山すると、必要以上に食べてしまいます。下山後、帰って風呂入って寝るだけなので、それ以上のエネルギー補給は必要ありません。食べ過ぎると、脂肪となり体に蓄積されてしまいます。下山時までの必要なエネルギーを登山中に補給して、下山後の食事は適量で済ませましょう。

そして、疲れた身体に大切なのは栄養と睡眠です。疲労は免疫力の低下に繋がります。成長ホルモンの分泌を最大限にするために、登山の後は栄養のある食事&アルコールと睡眠で疲労回復に努めましょう。ご参加いただいた皆様、お疲れ様でした。

瀬戸の夕暮れ。

せとは~ひぐれて~♫ 

今回のナイトハイクは、夜景ではなくて、島から楽しむ夕暮れです。カキ筏と瀬戸内の島。f:id:yoshida1487:20200928114211j:plain

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刻々と変わる空模様がキレイでした。湿度の低い秋は空気に霞が無く、遠くまで良く見えます。f:id:yoshida1487:20200928115755j:plain

f:id:yoshida1487:20200928115844j:plainこの日は夕凪はなく、北の風、最大瞬間風速10m/s。北風の強い日でした。山頂でゆっくり景色を楽しむと、体が冷えてくるので予定より早く下山することに。 

f:id:yoshida1487:20200928120606j:plainお客様お手持ちの3000ルーメンのハンドライト。岩場もご覧の通り、工事現場のように明るかったです。やっぱり明るいは正義ですね。

再開と再会。

秋らしくなってきました。里山も涼しく快適です。

先週、延期になったていた担当する机上講座が再開され、やっと新学期がスタートできました。f:id:yoshida1487:20200921144938j:plain

その翌日は半年ぶりに再会したメンバーで里山縦走。久しぶりなので、体力・技術を心配していましたが、みなさんよく歩かれているようで安心しました。f:id:yoshida1487:20200921145011j:plainそれでは、技術はと言うと…

うる覚えで忘れてしまった事もあるので、思い出しながら、一つ一つ確認しながら歩きました。使わないと忘れてしまうのが、山の技術。使わないから必要ない?って事ではないので、身に付くまで繰り返します。何はともあれ、再会できて一緒に登山を楽しめたのが良かったです。もちろん、新しい知識と共に次回の宿題も忘れずに提供させていただきました。 

なかなか大勢で集まるのが難しいご時世ですが、そんな方々に対応すべく、こんなサービス始まりました。f:id:yoshida1487:20200921154932j:plain 色々な山の相談事をダイレクトに解決できる新しいサービスです。忘れてしまった知識や、今さら人に聞けないことなど、お気軽にご利用下さい!

自然の涼しさ。

残暑が厳しいですが、もう8月も終わりですね。

久しぶりに涼しい山を楽しみました。雲の向こうは日本海。水平線が弓状になって見えました。
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涼しいのにはわけがある、2つの自然現象。

気温は標高が100m上がるごとに約0.65℃下がると言われています。この日は街で31℃。山の標高が1700mなので 約11℃下がって20℃。うん、涼しい。

そしてもう一つが風。風速1mごとに体感温度が1℃下がると言われています。この日は風速5m/s位だったので、約5℃下がって、体感温度は15℃くらい。ちょっと肌寒さを感じる温度。

他にも、日射や湿度の影響、汗による熱伝導などありますが、ざっくり街より15℃温度差があるという事になります。標高3000mくらいだと、無風でも街より20℃くらい低くなります。f:id:yoshida1487:20200824192208j:plain同じ15℃の気温でも、寒さに慣れた冬なら温かく感じますが、暑さに慣れた夏は肌寒く感じます。出掛ける前に調べておくと、レイヤリングや水分量の目安になりますね。

高い山ではそろそろ肌寒い秋の空気に変わりつつありますが、まだまだ厳しい残暑が続いてます。もうしばらくは、自然の涼が楽しめそうですね。

山にかわりはありません

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前回の投稿から随分時間が経過してしまいました。すみません!


2020年山を取り巻く環境に色々変化はありますが、山はいつもと変わりません。自然の中で活動していると思考がシンプルになってきます。リスクとハザードのバランスを考えて遊びに行ってみてはいかがでしょうか。この投稿は栂池自然園前の栂池山荘から投稿しています。日中の気温は高いですが17時になれば秋の空気。山の上はもう秋が来ていますよ。

暑い日のリスク

酷暑です。運動をしてはいけない暑さになっています。登山も無理は禁物です。

山間部は天気が不安定なので、沿岸部に行ってみました。空には夏らしい雲が広がっていました。f:id:yoshida1487:20200813110810j:plain不安定な天気は免れましたが、半端ない暑さからは逃れられなかった。

午前中は日陰で、潮風受けて気持ち良く快適でした。f:id:yoshida1487:20200813110930j:plain

午後は直射日光で灼熱。耐熱訓練でした。f:id:yoshida1487:20200813151143j:plain

暑い時期は熱中症の他にも注意したいのが、ゲリラ豪雨。いわゆる積乱雲です。山で怖いのは、雷を伴っている事です。短時間の雨なら、レインウェアやツェルトなどで、やり過ごす事はできますが、雷は別物です。雷鳴だけでも怖いのに、稜線などでは遮るものが少なく予測できない落雷の恐怖はたまりません。

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一応、安全マニュアルはあります。山中で都合よく安全空間を確保する事は難しいかもしれませんが、知っておく事は大切です。怖いからと言って、集団で固まるのは危険なのでダメですよ。雷雲(積乱雲)は、日射により暖められた地面からの上昇気流によって発生します。発生するのは気温が上がる午後遅くです。この時期は少しでもリスクを回避するために午後の早い時間には登山を終えるように計画したほうが良いでしょう。携帯の電波が届く範囲なら、リアルタイムレーダー などで雨雲を細目にチェックしましょう。

ちなみに警察庁発表の山岳遭難統計では、ここ数年、落雷による事故はありません。

 先週のナイトハイクは、風が良く通って夜風が心地よかったです。f:id:yoshida1487:20200813131626j:plain

偶然、シークレット花火を眼下に見る事ができました。f:id:yoshida1487:20200813131651j:plainまだまだ暑い日が続きます。登山には熱中症や自然現象など様々なリスクがあります。気を付けて登山を楽しんで下さい。