好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

ヨーロッパにて

フランスはシャモニへクライミングをしにやってきました。

私がシャモニに到着するまではずっと天気が悪かったようですが、幸いにも天気に恵まれ、順調に登ることができています。

今回の目的の一つは、クラシックルートを数多く登り、ヨーロッパのクライマー達のスピードの速さを習得することです。

スピーディーに登ることによって、悪天に捕まるリスクを抑え、行程に余裕を持たせることができます。これがなかなか難しくもありますが…

 海外でも日本の味が楽しめるのは助かります。日清のカップヌードルのリフィルです。重量がかさまず、持ち運びにも気を遣わなくてもよいのがGOODです。f:id:isakamichihiko:20160701045701j:plain

 

いくつかのルートを登って順応したところで、ディアブロ針峰(別名 Devil's Ridge)の縦走へ。氷河上でビバークをして夜明け前に出発。尾根上に出たところで日の出を迎えます。一番左がベルト、一番右がグランドジョラスです。f:id:isakamichihiko:20160702030353j:plain

これが「悪魔の尾根」と呼ばれる所以か…ものすごい高度感の中登っていきます。f:id:isakamichihiko:20160702030804j:plain

尾根はいくつかの岩塔で形成されているので、登っては懸垂下降の繰り返しです。あんまり高度が上がっていかないのがもどかしい…しかも今年は雪が多いので懸垂で下り立った先は不安定な雪のナイフリッジとなっています。f:id:isakamichihiko:20160702031122j:plain

 

最上部の悪い雪に悩まされながらもなんとかモンブランドゥタキュールの山頂へ。奥の白い山がモンブランです。ご存知の方も多いと思いますが、フランス語でモン=Mont=山。ブラン=Blanc=白い、で「白い山」という意味になります。f:id:isakamichihiko:20160702031559j:plain

 

結局ビバーク地点から13時間の行動でロープウェイの駅へ到着。そこからわずか20分程度でシャモニの町まで下りれます。この環境はうらやましいなあ…

次回の好天で今回のメインターゲットとなる「プトレイ岩稜(Peuterey Integrale)」を狙いたいと思います。

 

白馬周辺 残雪状況

7月1日 いよいよ本格的な夏山シーズン到来ですね。

まだ、梅雨が明けるまでは天気が安定しませんが、お休みと天気が合致すれば是非是非登山に行ってくださいね!!

 

白馬周辺の残雪状況をご報告いたします。

 

栂池

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栂池自然園~天狗原間は2か所残雪がありますが滑落の危険性の無い場所ですので、アイゼンは無くても問題なく通過できます。

 

天狗原~白馬乗鞍間は雪の少ない年だったとはいえまだまだ積雪があります。

7月中旬まではまず間違いなく雪が残ると思いますので、軽アイゼン(もちろんフルアイゼンでもOK)の携帯をお勧めします。特に下山時。

 

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白馬乗鞍~白馬大池間は写真の右側を見て頂くとわかるように、湖畔のトラバース個所に残雪があります。滑ると池に落ちてしまいますので慎重に通過ください。

 

白馬大池~白馬岳間 小蓮華周辺に雪渓が残っています。

こちらも軽アイゼンの携帯をお勧めします(7月中旬~下旬には無くなるでしょう)。

 

次に唐松方面です。

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丸山周辺のみですが雪渓が大きく残っています。登山道整備が行き届いているため急斜面の通過はありません。アイゼンは無くてもほぼ問題ありませんが、心配な方、初心者の方は「大げさ」と考えず、恥ずかしがらずにアイゼンを携帯・使用ください。

また、唐松頂上山荘手前のトラバース個所にも雪が残っていますので、慎重に通過ください。ここでのすれ違いは避けたほうが良いでしょう。

 

山荘から山頂間は雪はありません。

 

それでは皆様が白馬にお越しになるのを楽しみにお待ちしております。

最後に今朝の八方池を!!

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下山後の楽しみ

山から下山した後は、お気に入り・定番へ行くことが多いですね。

例えば私の一例として

 

夏穂高

・徳沢園のソフトクリーム(横尾から下山の場合)
・竜島温泉のお風呂

 

夏劔
・薬師の湯のお風呂
・松本 麓庵かつ玄のとんかつ

 

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これは廻り目平でのクライミングの後、ぽっぽ(ヤツレン)のソフトクリーム。
濃厚です。

日本最北の名峰・利尻山へ

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利尻島と礼文島へ。1番の目的は名峰・利尻山への登山でしたが、日本最北端の島への旅。まさに気分は海外旅行でした。

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海の青と空の青、山の緑に残雪の白。北国固有の高山植物と360度海に囲まれたそのロケーションは本当に素晴らしいです。いいですね〜を連呼していました。このハクサンイチゲに似たお花は、エゾノハクサンイチゲ。四国にはシコクイチゲがありますね。

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宿はペンション・レラモシリさんに3泊しました。毎晩の美味しい食事の提供、登山口や空港、フェリー場への送迎もしてくれます。

オーナーはガイドである、渡邊敏哉さん。この敏哉さんが書いた利尻花登山を山に持っていきましたが、登山道の特徴やお花の名前を調べるのに非常に便利でおすすめです。

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ローソク岩。山頂付近で、霧に包まれてしまいました。島田ガイドが数年前に冬期登攀していた記憶があります。

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ちょっぴり残雪もありましたが、今回はアイゼン等を使う程度ではなかったです。

利尻山登山の注意点ですが、行動時間が10時間近くになりますので水分とエネルギー補給をしっかりと。体重x行動時間x5mlの水分補給をするにはハイドレーションがおすすめです。また携帯トイレの携帯、トイレブースでの使用が義務づけられています。事前の準備と、使用場所の確認を。

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無事、利尻山へ登った翌日は礼文島でフラワートレッキング。

礼文島、私も初めてでしたがこちらも素晴らしいロケーション。礼文岳への登山から、8時間程のトレッキングルートなどバリエーション豊かなルートが楽しめるようです。

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海に浮かぶ…絶景です。

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利尻島をバックに。

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島内散策中に糠ほっけという物を購入。美味でした!

ここの商店では、おやじさんが漁に出て自分で作っているらしいです。沢山買い物をしたら、なんとフェリー乗り場まで車で送ってくれました。

登山目的で目的地へと出かけ、その土地の文化や温泉、食など、山歩きだけでなく色々な物を楽しめるのも登山の魅力ですね。

沢登りの季節がやってきた!

今年は猛暑になるらしい、、、

夏山ではアルプスなど高山での登山は快適なものの

都会近郊の山は少し歩けば熱中症、、、のような

厳しい環境になりますね

 

夏ハイキングの代わりにオススメなのはやはり沢登り

ですが登山で言うならいきなり中級〜上級になります

それは踏み後やマーキングに道標などは期待できないので

読図とルートファインディング能力が必要になりますし

携帯電話の入らない領域ですので危急時対応能力も不可欠

知識、技術を駆使して楽しめる日本の山登りですね

 

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沢登りでもおおまかに種類を分けると

歩き重視系(写真は黒部赤木沢) 比較的歩きが多く岩場もⅢ級以下のルート

西日本=六甲蓬山峡、四国滑床渓谷、京都由良川、鈴鹿元越谷、播州小田原川etc...

東日本=奥多摩峰谷川、丹沢中川川モロクボ沢、高山沢上谷、黒部赤木沢etc...

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登り重視系(写真は大峰前鬼川) 比較的滝が多く岩場がⅡ〜Ⅳ級のルート

西日本=鈴鹿蛇谷、比良貫井谷、台高堂倉谷、大峰前鬼川孔雀又谷etc...

東日本=奥多摩水根沢谷、丹沢早戸川原小屋沢、奥秩父東沢鶏冠沢etc...

 

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泳ぎ重視系(写真は大峰葛川本流)比較的泳ぎが多く岩場がⅢ級以下のルート

西日本=大峰葛川本流、紀南静閑瀞、etc...

 

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ミックス系(写真は大峰芦迺瀬川) どれも混ざっている総合的なルート

西日本=大峰芦迺瀬川 大峰池郷川 大峰舟ノ川etc...

 

まずは初級とされている沢を経験者と同行し

自分が行ける沢のグレードを確かめて

知識、技術、体力を向上させてトライしたいものですね

クライミングやロープワークも自分の技術になっていれば

よりよい沢登りが楽しめる事でしょう

ぜひ経験者とチャレンジしてください

リカバリーウェアを試してみました

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運動中に着てはいけない、休養時専用のリカバリーウェア『VENEX』を購入し、使用してみました。VENEXについて詳しくはコチラ

http://www.kojitusanso.jp/pickup/venex/

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どうなのかな〜と思い数年、興味はあったのに未だに購入はしていませんでした。まずはネックコンフォート&レッグコンフォートをお試し的な感じで購入し‥‥その効果に驚きました。

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連続した4日間の山行(ガイドで標高差1200mの日帰り登山、金峰山から瑞牆山への1泊2日の縦走。プライベートでのクライミング)という内容のスケジュールが二週連続でありましたので、せっかくの機会にVENEXを使用した場合と、していない場合を自分自身で体感してみました。

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使用場面は、バスの移動時、就寝&リラックス時です。レックコンフォートは小屋泊にも使ってみました。

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 使用後の感想は…

●なぜか寝心地がよく、熟睡できる

●寝起きから体が軽く感じる

●筋肉疲労が少ない(回復が早い)

※あくまで個人的な感想です。

逆に使用していない時は、身体が重く、筋疲労が使用していた時に比べ残りました。私もアラフォー世代となり、最近疲れが取れにくくなったと実感しています。ガイドとして常によいコンディションで仕事をする為、また自身も永く山を楽しみたいので身体のメンテナンスやケアには気をつけています。

次は就寝中のウェアとしてTシャツ&ハーフパンツを購入してみようと思います。

www.kojitusanso.com

 

冬のデナリ

冬山のギアを片付けながら、夏山の準備。梅雨の晴れ間を狙って山やクライミングに行く、そんな時期になりましたね。私も時間が出来たのでデスク回りの書籍の整理をしていたら、この本に目が止まり、読み出したら片付けが止まってしまいました。

おすすめの書籍の紹介です。

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『冬のデナリ』

デナリとは、北米最高峰6168mの山。マッキンリーの事です。昨年から公式な名称がデナリに変わりました。※デナリとは先住民の言葉で『偉大なもの』を意味します。

厳冬期デナリ初登攀を目指した8人の登山家達の記録。ガイドのKさんに、デナリに行く際、読んだ方がいいよと勧められた本です。多角的な描写で緊迫感があり、読み応えがあります。読書が苦手な僕でも読み行ってしまう実際のお話。

3年前の今頃、アラスカの氷河でこの本を読んでいたのを思い出しました。

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と、いう事でデナリ登山の写真を何枚か。広大な氷河歩き。クレバスに落ちた際の事を考え、パートナーとお互いロープを結び歩きます。

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クレバスにドキドキしながら、氷河上でのライディング。5月末でしたが降雪によりパウダーでした。

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ウェストバッドレスの稜線。技術的には難しい訳ではありませんが標高が高い為、ここまで上がるのが大変でした。

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デナリ山頂からの景色1。

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デナリ山頂からの景色2。

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デナリ山頂のピン。

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多分、5545mのデナリパスからの夕暮れ。

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途中の野営地。モーターサイクルヒル。

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下山後、セスナでタルキートナまで移動する前。日焼けで顔が真っ黒です。

5月、6月はデナリの登山シーズン、現在は以前好日山荘銀座店でトークイベントをしていただいた日本人エベレスト最年少登頂の南谷真鈴さんも、7大陸最高峰登頂を目指してデナリ遠征中のようです。

話はそれてしまいましたが、この『冬のデナリ』を読むと、ウェストバットレスルートの事がイメージでき、自分もあたかもデナリ登山をしたかのように思えます。

おすすめ書籍の紹介でした。