好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

チェーンスパイク

f:id:asahiryuta:20201108194652j:plain
チェーンスパイクの事を、最近チェーンアイゼンという方が多いので投稿してみました。(名前はどちらでも良いのですが理解がポイント)

※↑写真は少しズレて装着していますが、チェーンスパイクなんて物はルーズな物。

標高2000m以下の山でも降雪がある季節になってきましたね。雪が少しあったりなかったり、少し氷化していたり。こういうシチュエーションにはチェーンスパイクが大活躍。

ルートや状況にもよりますし、ご自身の歩行技術にもよりますので一概に言えませんがそれぞれの特徴を知った上でご自身で判断していただければと思います。

●チェーンスパイク
凍結した平らな路面歩きに。全面に”短い”爪が10本程。柔らかいラバー素材で靴下の様に履く。慣れれば着脱が用意、言い換えればフィット感はイージー。


●軽アイゼン(4本)
低山・里山での備えとして。靴の土踏まず部分に装着するタイプです。コンパクトなため携帯に適しており、里山や低山にて雪があるかどうか迷う時に備えとして持っていくと重宝するモデル。爪の接触面が少ない。


●軽アイゼン(6本)
夏の雪渓や積雪時の低山に。4本爪アイゼンに比べれば安定感がある。夏の雪渓歩き、道が凍る箇所がある冬の低山に適している。
※つま先部分に爪がないため急な斜面には向かない。

爪の長いアイゼンは爪の短い物に比べて雪面に食い付きます。爪が短いという事は、雪面への食い付きは悪いですがひっかかりが少なく特に爪を意識する事無く歩く事が出来ます。雪のある場所と無い場所が頻繁に現れるような場所では、軽アイゼンを装着したままでの歩行には不便を感じます。とくに岩場や木の上など爪の刺さらない箇所などはむしろアイゼンでの歩行はバランスを崩しやすく、その度にアイゼンを装着したり外したりを繰り返すのは非常に面倒です。チェーンスパイクなら着脱がしやすく、爪が短いために装着したままで雪のない場所や岩場を違和感無くやり過ごすことも出来ます。

逆に多少の傾斜があり、氷化したような場所では爪が短くフィット感がルーズなチェーンスパイクでは不安がありますので軽アイゼンの方が安心です。個々の歩行技術にもよりますの一概には言えませんが。

端的に言ってしまうと平地ではチェーンスパイク、山ならば軽アイゼンっていうのが一番単純な使い分けだと思います。※軽アイゼンは土踏まず部分に爪があるだけですので、斜度のある雪山には対応していません。

ケースバイケースで使い分ける必要があります。

f:id:asahiryuta:20201108194536j:plain

チェーンスパイクが便利なのはこんな感じの場所ですね。
ご参考までに。

山岳救助講習。

秋も深まり、里山にも紅葉が下りてきました。

三倉岳は、今が見頃・登り頃です。多くのハイカー・クライマーで賑わっていました。f:id:yoshida1487:20201105124844j:plain

その三倉岳で、山本一夫ガイドと島田和昭ガイドを講師に山岳救助講習を開催しました。

参加者も山岳会系、消防団、ガイドなど、やる気満々の顔ぶれでした。めったにない機会だからですかね?

講習は、事故発生から救助要請までの一連の流れをシナリオトレーニングしました。f:id:yoshida1487:20201105125259j:plain当たり前に使っているカラビナやロープなど道具の性能や扱い方、弱点などの基本知識から始まり、自然物を使った支点の構築をみっちりと。固定ロープの張り込み、ムンターでの引き上げ下ろし、3倍力などもみっちりと。

木漏れ日の中でしたが、日が傾くにつれて風が冷たくなってきました。f:id:yoshida1487:20201105124615j:plain

みなさん積極的に講習に参加いただき、充実した一日でした。f:id:yoshida1487:20201105131017j:plain

最後は、背負い搬送で下山。f:id:yoshida1487:20201105143052j:plain

実践で使う機会も少ない救助技術は、忘れてしまいがちです。インプットした知識は、アウトプットすることで完了です。Safety・Speed・Simpleを意識して、何度も繰り返し練習して身に付けていただければと思います。 

紅葉を見下ろす三山縦走。

お仕事で岡山のご当地「三山」へ。

山が3座並んでいるので三山という事なのでしょう。出羽三山、鳳凰三山、白馬三山などは全国的に有名ですね。他にも地元で有名なご当地三山はたくさんあるようです。

こちらは蒜山三山。f:id:yoshida1487:20201026142752j:plain

岡山県の蒜山三山は山名も分かりやすく、上蒜山・中蒜山・下蒜山の3座です。3座並んでいるので、縦走スタイルが人気です。紅葉を眼下に、気持ちの良い稜線歩きが楽しめました。

f:id:yoshida1487:20201026142709j:plain

 紅葉は1000m付近が見頃を迎えていました。f:id:yoshida1487:20201026141019j:plain

 

景色に目を奪われ過ぎると、講習が疎かになってしまいます。しかし、今回はナビゲーション表から、登山計画・行動計画をしっかりと準備していただいたので、現場では確認作業のみ。綿密な計画は、登山をスマートにしてくれます。縦走は食糧計画を学ぶのにも最適ですし、地形を見下ろす稜線縦走は現在地確認の練習にも便利です。f:id:yoshida1487:20201026105219j:plain

この日は、西高東低の冬型で、冷たい北風が強かったです。気温10℃以下・風速10m/s以上という低体温症のリスク3原則の2つをクリアしており、雨が降ってたら中止にするべき天気でした。 

f:id:yoshida1487:20201026153125j:plain雲が強風で流されて、山肌に写る雲の影が目まぐるしく変わっていました。

西日本も初冠雪の便りが届く時期になりました。寒暖差の大きいこの季節は、冬の装いを持って出掛けるようにしましょう。

剣山。紅葉がきれいでした。

お仕事で四国のミステリースポットへ。

紅葉が見頃です。山頂部から少しずつ紅葉が下がり始めていました。f:id:yoshida1487:20201020112318j:plain

1600~1700m辺りが見頃でした。

f:id:yoshida1487:20201020112403j:plain

ナナカマドの黄葉f:id:yoshida1487:20201020112504j:plain

秋の雲は多様です。f:id:yoshida1487:20201020112647j:plain西日本では、これからが本格的な紅葉シーズンです。徐々に高度を下げて、里山の見頃は来月中旬頃からですかね。 風が冷たく感じる秋。山頂ではジャケットを着こんだり、手袋やニット帽を着用されている方もいました。ゆっくり楽しむために防寒対策をしてお出掛け下さい。 

やっぱり剣山は、到着早々疲れてしまうヘアピンカーブ7連発が核心です。安全運転で!

登山のエネルギー補給。

 登山でよく聞く「シャリバテ」。ハンガーノックとも呼ばれ、長時間の行動により、エネルギーが不足し低血糖状態になる事です。一度は経験した事がある方もいると思います。そして、脳の働きも低下し思考力が鈍くなります。全身の酸素消費量の20%を占める脳を守るため酸素が体に回らなくなり、歩くだけで呼吸が荒くなり、運動停止状態になります。f:id:yoshida1487:20201013115928j:plainエネルギーの主な源は、糖質(炭水化物)や脂質です。これらエネルギーを計画的に補給することで長時間の運動が可能になります。

先日の講座で新たな試みとして、参加者の皆さんに摂取カロリーを表にして記録していただきました。各休憩ポイント毎に摂取カロリー、飲量、休憩時間、行動時間などを記録しながら歩きました。「長い距離をバテずに歩く」という実証的な講座です。f:id:yoshida1487:20201013120824j:plain各ポイントまでの行動時間は距離にして2㎞前後。エネルギー補給は、小休憩毎(10分位)に200kcalと、大休憩毎(20分位)に500kcalを目安にしました。行動時間は9時間30分程(休憩120分程)で、参加者の皆さまは平均して約2000kcalを補給していました。結果、バテるという事はありませんでした。

登山で消費するカロリーの基本計算式は体重(kg)×行動時間(h)×5kcalです。

この60~80%ほどの補給が目安です。私は朝食含めて2175kcalを採りました。推定消費カロリー2625kcalの約80%です。空腹感なく歩く事ができました。

長時間の登山で体力を不安視する方がいますが、体力が足らなくてリタイアする方は多くありません。多いのは体調不良でリタイアする方です。大切なのは体の調子です。登山中の水分・エネルギー補給をしっかり管理して体調を整えながら歩く事です。

エネルギーは車で言うガソリンと同じで、枯渇すれば動けなくなります。補給するカロリーは、これから行動する時間を予測して採ります。食べた分だけ動くという考え方です。一方水分は、消費した分を補給するので、喉が乾いたら飲みます。f:id:yoshida1487:20201013124902j:plainそして、重要なのは「空腹のまま下山しない」事です。空腹のまま下山すると、必要以上に食べてしまいます。下山後、帰って風呂入って寝るだけなので、それ以上のエネルギー補給は必要ありません。食べ過ぎると、脂肪となり体に蓄積されてしまいます。下山時までの必要なエネルギーを登山中に補給して、下山後の食事は適量で済ませましょう。

そして、疲れた身体に大切なのは栄養と睡眠です。疲労は免疫力の低下に繋がります。成長ホルモンの分泌を最大限にするために、登山の後は栄養のある食事&アルコールと睡眠で疲労回復に努めましょう。ご参加いただいた皆様、お疲れ様でした。

瀬戸の夕暮れ。

せとは~ひぐれて~♫ 

今回のナイトハイクは、夜景ではなくて、島から楽しむ夕暮れです。カキ筏と瀬戸内の島。f:id:yoshida1487:20200928114211j:plain

f:id:yoshida1487:20200928115626j:plain

刻々と変わる空模様がキレイでした。湿度の低い秋は空気に霞が無く、遠くまで良く見えます。f:id:yoshida1487:20200928115755j:plain

f:id:yoshida1487:20200928115844j:plainこの日は夕凪はなく、北の風、最大瞬間風速10m/s。北風の強い日でした。山頂でゆっくり景色を楽しむと、体が冷えてくるので予定より早く下山することに。 

f:id:yoshida1487:20200928120606j:plainお客様お手持ちの3000ルーメンのハンドライト。岩場もご覧の通り、工事現場のように明るかったです。やっぱり明るいは正義ですね。

再開と再会。

秋らしくなってきました。里山も涼しく快適です。

先週、延期になったていた担当する机上講座が再開され、やっと新学期がスタートできました。f:id:yoshida1487:20200921144938j:plain

その翌日は半年ぶりに再会したメンバーで里山縦走。久しぶりなので、体力・技術を心配していましたが、みなさんよく歩かれているようで安心しました。f:id:yoshida1487:20200921145011j:plainそれでは、技術はと言うと…

うる覚えで忘れてしまった事もあるので、思い出しながら、一つ一つ確認しながら歩きました。使わないと忘れてしまうのが、山の技術。使わないから必要ない?って事ではないので、身に付くまで繰り返します。何はともあれ、再会できて一緒に登山を楽しめたのが良かったです。もちろん、新しい知識と共に次回の宿題も忘れずに提供させていただきました。 

なかなか大勢で集まるのが難しいご時世ですが、そんな方々に対応すべく、こんなサービス始まりました。f:id:yoshida1487:20200921154932j:plain 色々な山の相談事をダイレクトに解決できる新しいサービスです。忘れてしまった知識や、今さら人に聞けないことなど、お気軽にご利用下さい!