好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

ガイドの種類・〇〇ガイドとは?

「山岳ガイド」と「登山ガイド」呼び方は違うけど、実際に何が違うのか?お客様から「よく分らない」と言われますが、実際分りにくいと思います。簡単にですがその資格の種類について簡単にご説明します。ガイドを選ぶ際の参考にしていただければと思います。

公益社団法人日本山岳ガイド協会

日本山岳ガイド協会の資格は国家資格ではありません、そのため「俺はガイドだ!」と自分で言えばガイドをする事はできます。え?資格が無くてもガイドは出来るの?と思うかもしれませんが実はそうなんです。

しかし、昨今ガイドとして活動されている大半の方は資格を有していますし、これから職業ガイドを志す方のほとんどが取得を望む資格となっております。

次に資格の種類について説明します。

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■日本山岳ガイド協会のガイド資格■

日本山岳ガイド協会の登山における資格は現在4カテゴリーに分かれています。
自然ガイド(ステージⅠ・Ⅱ)※英文表記ではネイチャーガイド
登山ガイド(ステージⅠ・Ⅱ・Ⅲ)※英文表記ではトレッキングガイド
山岳ガイド(ステージⅠ・Ⅱ)※英文表記ではマウンテンガイド
国際山岳ガイド ※英文表記ではIFMGAマウンテンガイド
また付帯資格として●スキーガイド(ステージⅠ・Ⅱ)独立資格で●フリークライミングインストラクター(インドア・スポーツ・フリー)があります。

■職能範囲■

種類がいつくもあってややこしいのですが、日本の山岳を中心としたガイドといえば、登山ガイドと山岳ガイドということになります。この違いはというと職業ガイドとして歩けるコースの範囲が違うということなのです。分かりやすく言うと…登山ガイドは登山道を案内する資格。山岳ガイドは登山道と登山道以外の岩稜や谷・壁などといったバリエーションルートを案内する資格です。自然ガイドは自然、歴史、民俗等を解説する事が職能範囲です。

以下山岳ガイド協会のHPより文章を抜粋してみました。可能範囲より職能範囲でない方を記載した方がわかりやすいので赤やアンダーラインを引いてみました。

■登山ガイドステージⅠ

国内の無積雪期においての山地・山岳地帯での整備された登山道で、登山ガイド行為を行うことが出来る。
<活動エリア>
無積雪期(雪ない時期)の一般登山道。登山地図の実線で示された登山道。破線、難路と示された登山道は除く。積雪期(雪の時期)のガイド、沢登り等はできない。

■登山ガイドステージⅡ

国内で四季を通じて整備された登山道において登山ガイド行為を行う事が出来る。
但し、スキーガイド分野は別に資格を取得する。
<活動エリア>
無積雪期の一般登山道。登山地図の実線で示されたコース。破線、難路と示された登山道は除く。沢登りはできない。積雪期は、森林限界を越えないで、ロープウェイなど冬季も開設されている施設から2~3時間の日帰りできる範囲。
例:冬は北八ヶ岳中山峠~高見石、縞枯山、北横岳まで。天狗岳・硫黄岳は範囲外。

⇨大まかには雪山登山は樹林帯まで

大キレットや剣岳別山尾根、西穂〜奥穂縦走、前穂〜北穂縦走、下の廊下は範囲外。

■登山ガイドステージⅢ

国内で無積雪期を通じて登山道が示されているコースの登山ガイド行為を行う事が出来る。積雪期においては、通年営業を行う施設(山小屋、レストハウスなど)から容易に登山出来る領域で岩稜、急峻な雪稜を持たない範囲をガイド出来る。
但し、スキーガイド分野は別に資格を取得する。
<活動エリア>
無積雪期の一般登山道。登山地図の実線、破線で示されたコース。
東北、北海道などのテント泊や避難小屋を利用する縦走コース、容易な沢登りコースなど。積雪期は、山小屋から日帰り可能な容易な雪山登山。
例:北八ヶ岳中山峠~高見石、縞枯山、北横岳、天狗岳・硫黄岳、蓼科山など。

大キレットや剣岳別山尾根、前穂〜北穂は可能。

例:西穂〜ジャンダルム〜奥穂縦走、下の廊下、積雪期の八ヶ岳・赤岳は職能範囲外

詳細については自然・登山ガイドにおけるガイド対顧客標準人数比率に係る規定

標準ガイディング・コース表を参照のこと。

 

 

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■山岳ガイドステージⅠ

通年の国内山岳と縦走路のある岩稜コース。国内にて一年を通して登山ルートのガイド行為を行うことが出来る。但し、岩壁登攀、雪稜バリエーション、積雪期の岩稜バリエーション、フリークライミング講習は不可。
<具体的業務範囲例>
無積雪期:西穂~奥穂縦走、奥穂~槍縦走、剱岳別山尾根~北方稜線、北鎌尾根、前穂北尾根、剱岳源次郎尾根、八ツ峰縦走、下の廊下など
積雪期:八ヶ岳縦走(赤岳~硫黄岳)、阿弥陀岳南稜、北稜、四季を通じた北海道の山々、東北の山々など。ポピュラーな沢登り(滝の登攀はシングルピッチまで)ルート。但し、スキーガイド分野は別に資格を取得する。

■山岳ガイドステージⅡ

日本国内で季節を問わず全ての山岳ガイドおよびインストラクター行為を行うことができる。但し、スキーガイド分野は別に資格を取得する。

 

付帯資格のスキーガイド(バックカントリーガイド)について

■スキーガイドステージ1

森林限界を越えない範囲内で、且つ、スキー場に隣接し、スキーリフトやロープウェイの終点か ら登行1〜2時間の地点より滑降し、ゲレンデまたは一般交通路に容易に戻ることができるエリ アでのスキー・スノーボードガイドを行うことができる。活動エリアは登山ガイドステージIIの範囲に準じる

■スキーガイドステージ2

ピッケル、アイゼン、ロープなどを使用せず登高できる雪山で、ゲレンデや一般交通路に隣接しないエリアでのスキー・スノーボードガイドを行うことができる。 残雪期においては早朝時等のピッケル・アイゼンの利用は許容される。ただしロープの使用が必要とされる地形は除く。 緊急時においてのピッケル・アイゼン・ロープの使用はこの限りではない。活動エリアは登山ガイドステージIIの範囲に準じる。

※山岳資格の場合は山岳の職能範囲

■国際山岳ガイド

国際山岳ガイド連盟加盟諸国の山岳全エリア。活動エリアの制限は、各国の法律による。例:北米(アメリカ合衆国では、労働ビザⅠビザが必要)

 

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クライミングインストラクターについてはまた次の機会に記載したいと思います。

当然ですが、それぞれの資格には試験があり合否があります。

職能に合わせた書類審査→筆記試験→

登山ガイドは計10日の試験や講習。登山3は登山ガイドを取得してから+8日の試験や講習。山岳ガイドは22日。山岳2は山岳1を取得してから+16日の試験。

フランスはガイド資格が国家資格、アメリカやカナダ等はそうではありません。しかしガイドという職業、資格が成立しています。ガイドの歴史が深く、ガイド協会が社会に認識されている為、無資格、職能を逸脱したガイドをユーザーが利用しません。良いガイドと山に行く事がより安全に山を楽しめる事を知っているのです。日本山岳ガイド協会認定◯◯ガイド。ガイド資格やその職能範囲などガイドを選ぶ際の参考にしてみてくださいね。