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好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

行ってみた島の山 VOL.02 「小豆島 星ヶ城山」

★加藤智二 登山情報 山の自然学

瀬戸内海の大きな島で淡路島に次ぐ大きな島です。行政区分は四国香川県ですが、多くのフェリーが通っているので、兵庫県からも便利です。「吉田の岩場」はクライミング好きなら耳にしたことがあるかと思います。

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「二十四の瞳」の舞台でもあり、オリーブ、手延べそうめん、醤油など食べ物で小豆島をイメージする方も多いかもしれません。

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「吉田の岩場」やその周辺には花崗岩の石切り場が目立ちます。ここ小豆島の花崗岩は多くの山に設置される三角点の石柱に使われる程のブランド石でもあるそうです。忘れてはいけないのが大阪城の石垣ですね。この花崗岩は8000万年前という恐竜が跋扈していた白亜紀にできたもので小豆島の土台(基盤岩)です。

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夕日に照らされる親指岩

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寒霞渓は観光名所でもあって、ロープウェイもかかっています。折角ですからバスを手前で下車して石門から稜線をめざし、島の最高峰、星ヶ城山817mにも行ってみましょう。

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登山コースには奇岩が乱立断崖がたくさんあります。これらの岩は凝灰角礫岩です。今から1300万年前の火山活動で堆積した噴出物が堆積し、1000万年位わたって浸食されて出来上がった景観です。先日ご紹介した北アルプスは176万年前の火山活動といわれていますので、だいぶ古いものですね。

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頂上付近のなだらかな地形にはかつての城跡と遺構があり、開放的な頂上からは瀬戸内が一望できます。

時間があれば土庄にある「宝生院のシンパク」も立ち寄ってみていかがでしょうか。樹齢1500年です。歴史上の出来事を見守り続けてきました。

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今回は登山としてはあっという間のライトハイキングなので、普段登山をしない方にもうってつけです。11月末頃が紅葉が美しいかもしれません。日本の紅葉は9月中旬から12月中旬まで実に三月も楽しむことができるのですね。

★ 11月3日から6日は屋久島宮之浦岳は募集開始しました。 お早めにどうぞ。

★ 11月19日から28日のネパールパノラマトレックを募集開始しました。好日山荘のバックアップを得て、少人数4名から催行(最大15名)です。世界最高峰「エベレスト」と「アマダブラム」「カンテガ」「 タムセルク」など巨峰を巡るトレッキングです。

★ 六甲山を歩き尽そう!シーズン5の日程が決まりました。近日中に申し込み可能となります。10/19(水)  11/16(水)  12/14(水)  1/18(水)  2/8(水) カレンダーチェックよろしくお願いします。全5回ですが、どの回でも一回のみでもご参加可能です。マイナーなルート、破線ルート、廃道ルートを地図と現場と睨めっこしたり、神戸の夜景を見ながら下山したり、交通の便の良い六甲山だからできる登山ツアーです。

★ 少し早いですが、10/13(木)六甲山でウインターギアに馴れよう!を企画しました。アイゼン歩行や前爪の使い方などの基本を体験します。まだ、アイゼンを持っていない方、新品のアイゼンでぶっつけ本番にちょっと不安を感じている方向けです。

 

 

 

 

登山と気象の関わり VOL.01 「季節の変わり目 秋の嵐にご注意」

★加藤智二 レスキュー、危急時対策 山の自然学

猛暑が当たり前となった近年ですが、四季のある日本では春5月、秋10月は季節の変わり目に起きる気象遭難が忘れそうなタイミングで発生しています。

1989年10月の立山、2006年10月の白馬岳と奥穂高岳、2012年5月の白馬岳など記憶にある方も多いかと思います。

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北アルプスなど標高が高い山岳エリアは森林限界を超え、登山ルートは風雨・風雪で吹き曝しとなります。もちろん3000m近くともなれば私たちの住むところに比べ、20℃ほども低いわけです。その上で、低気圧と寒冷前線の通過、それに伴う急激な気温の低下が起きます。

下図は「気象人」様から転載です。

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2006年10月7日は低気圧通過後は西高東低の冬型の気圧配置となり、上空の冷たい空気が山岳地帯を吹き荒れました。

気象遭難と区分される事例であっても、無事に登山から自宅に帰った登山者もたくさんいるわけです。悪天候に遭遇した時、私たちがなんとしても避けなければいけないのが「低体温症」です。金田正樹Dr による登山研修所「研修」文献を参考にしました。

1:人は重要器官「脳」が正常に働く36度付近でないとまともに生きていけません。体温は筋肉の収縮によって生み出され、その活動エネルギーは食物からしか得られないのです。

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2:体温が奪われるのは科学的な現象なので、対策は可能です。

・帽子やネックゲーター、ウェアの重ね着、手袋の着用などで体表を露出しないようにして放射を抑えます。・風雨を防ぐレインウェアで温かい衣服内空気を失わないよう対流をコントロールします。・汗や濡れ、金属など伝導の高い物質に肌を密着させない工夫をします。・濡れた衣服のまま風に吹かれて水分が蒸発するときに気化熱を失うので、肌をドライな状態に保ちレインウェアなどハードシェルで身を覆います。

最近、私は肌に調節接するアンダーウェアはファイントラックのスキンメッシュ素材を良く使っています。

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スキンメッシュは水分を含まず、重ねたニットが汗や水分を吸い上げてしまうと、スキンメッシュそのものはカラカラと乾いた状態になります。

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2009年7月の北海道トムラウシ山の事例からも教訓を得られると思います。「ヨロヨロと真っ直ぐに歩けない。震えが止まらない」などの状態が出現したら速やかに体温保持と熱と熱源供給を行いましょう。

3:低体温症が起きる条件は人が作り出す

・疲労と食料(カロリー)摂取不足。疲労や気温低下など条件が厳しければ、よりたくさん食べなくてはいけません。温かい飲み物で加温することも考えます。

・不適切な衣服と防寒対策の不備。綿素材はもっての外ですが、乾いた衣服と頭、頸、手首、手足を覆い、防風ウェアを着用します。 

ツェルトなどビバーク用品を早めに使用します。停滞して運動負荷が小さい時、熱発生が少ないので、ツェルトを被り体温を温存するようにします。

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最後に「雨氷」をご紹介します。写真は六甲山の冬に見つけたものです。

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-4度程度になっても凍らない過冷却状態の1mm程の雨粒が地表の事物にぶつかった衝撃で急激に凍結してできる透明な氷です。

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樹氷は1/100mm程の霧粒で―20度程度でも凍らない過冷却水滴で、事物や樹木に霧氷となります。

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2012年5月の事例に関しては、富山県立山カルデラ博物館の飯田肇氏から「雨氷による気象遭難ー2012年5月白馬岳」が報告されていますので一読をお勧めします。

 

★ 11月3日から6日は屋久島宮之浦岳は募集開始しました。 お早めにどうぞ。

★ 11月19日から28日のネパールパノラマトレックを募集開始しました。好日山荘のバックアップを得て、少人数4名から催行(最大15名)です。世界最高峰「エベレスト」と「アマダブラム」「カンテガ」「 タムセルク」など巨峰を巡るトレッキングです。

★ 六甲山を歩き尽そう!シーズン5の日程が決まりました。近日中に申し込み可能となります。10/19(水)  11/16(水)  12/14(水)  1/18(水)  2/8(水) カレンダーチェックよろしくお願いします。全5回ですが、どの回でも一回のみでもご参加可能です。マイナーなルート、破線ルート、廃道ルートを地図と現場と睨めっこしたり、神戸の夜景を見ながら下山したり、交通の便の良い六甲山だからできる登山ツアーです。

★ 少し早いですが、10/13(木)六甲山でウインターギアに馴れよう!を企画しました。アイゼン歩行や前爪の使い方などの基本を体験します。まだ、アイゼンを持っていない方、新品のアイゼンでぶっつけ本番にちょっと不安を感じている方向けです。

 

 

山の健康管理 VOL.08 「運動の秋、体力不足と栄養補給の関係、見直してみました。」

★加藤智二 トレーニング 山の健康管理

カラダ(筋肉・頭脳)を動かす燃料の糖質、カラダ(筋肉)を劣化させないためのアミノ酸、この大きく二つの要素を上手に食べて、秋山を楽しんでほしいです。

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筋肉を動かしたり、頭脳を働かせたりするエネルギーとしてカラダが利用できるのはブドウ糖といわれる単糖です。ブドウ糖を直接食べたり、点滴をしたりすると血糖値がグッと上がりシャキッとします。でも急激に血糖値が上がると反作用として、血糖を一定の濃度にするため、インシュリンが分泌されて血糖値を下げる反応が起きます。スポーツ中はこの血糖値がアルプスの大キレットのような上下動となるので、お勧めできません。

血糖値調整がうまくできなくなると病気は成人病や生活習慣病として有名ですね。

食事でご飯やパンなどのでんぷん質を食べ、バラバラに消化されるとブドウ糖となります。山歩きのように長い時間、行動し続ける時は一時間半に一回位は行動食を食べる必要が出てきます。様々な種類の食材を組み合わることでこの血糖値の上下動が、なだらかな丘陵地帯のようになります。

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大きな負荷のかかる登山では、どなたでも昨日までに培った体力で臨まなければいけません。十分にトレーニングを積み重ねた方も仕事で忙しくトレーニングが十分で無い方も、同じコースを歩くことになります。登山スタイルは色々ですが。

以前、私は登山の為のトレーニングの一環としてフルマラソンに参加したことがあります。周りに影響を受けて前半頑張ったため、中盤から「シャリバテ」で徒歩や休憩を取らざるえなかったことがありました。ある時は、5時間越えても良し!と、完走できるように初めから速足込みで自制した時もありました。

カラダに蓄積された体脂肪もエネルギー源のひとつですが、スポーツ中に素早く利用することはできません。

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今までも何度か、登場しているサプリメントです。良くパッケージに書かれているアミン酸とはいったいどういうものなのか調べてみました。

私たちの体の20%はタンパク質でできています。この20%のタンパク質を構成している部品がアミノ酸で、それは20種類あります。

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実は私、「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」への理解が不足していました。

1:様々な食事から動物性たんぱく質や植物性たんぱく質を摂り分解されると様々なアミノ酸まで分解されます。私たちのカラダで作ることができないアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、カラダで合成できるアミノ酸を「非必須アミノ酸」なのです。

2:タンパク質を消化するとどのレベルまで分解されるのか知りませんでした。数千から数万個のアミノ酸で作られているタンパク質は3~4時間かけて、胃などでペプチドに分解されます。ペプチドもまた数個から数千個のアミノ酸からできています。これが小腸まで到達してこれ以上分解できない最小単位のアミノ酸になって吸収されます。

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毎日カラダの筋肉や皮膚などタンパク質は造り替えられています。登山でカラダを酷使すると筋肉は消耗して減少していきます。この結果、ヨロヨロと踏ん張りが利かなくなったり、痙攣を起こしたり、様々な運動能力の低下を起こしてしまいます。

水分補給が上手くいかない!に関しては以前のコラムでも触れました。

加藤がお客様と一緒に山を歩くときに特お薦めしているのが味の素のアミノバイタルです。

体力に不安を抱えている人もまずは一歩!山を歩くことでカラダはちょっとづつ強く健康になります。その為に大切なのは登山に相応しい栄養素(糖質とアミノ酸)を含む良質の食事を適切に摂ることです。

いつもより頑張ったあなたには、良質のたんぱく質を含んだ夕食とカラダへのご褒美のアミノバイタル、そして良質の睡眠が必要ですよ。

★ 今週末24日夕方6時から7時、大阪梅田の好日山荘グランフロント店マウントラボにて海外トレックをご紹介するスライド上映イベントを開催します。加藤がご一緒するネパールパノラマトレックも含まれます。お待ちしています。

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★ 11月3日から6日は屋久島宮之浦岳は募集開始しました。 お早めにどうぞ。

★ 11月19日から28日のネパールパノラマトレックを募集開始しました。好日山荘のバックアップを得て、少人数4名から催行(最大15名)です。世界最高峰「エベレスト」と「アマダブラム」「カンテガ」「 タムセルク」など巨峰を巡るトレッキングです。

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9月になるとスズメバチの被害のニュースが増えます。

★加藤智二 レスキュー、危急時対策 山の生き物

山里や里山、クライミングゲレンデなどでこの時期活発になるスズメバチとの遭遇が増えます。集団の個体数が最大に達する時期です。大きくなった巣にはたくさんの幼虫が養われていますが、幼虫たちに食べさせる昆虫などが減るこの時期は特に攻撃的になるようです。

幼虫がまだ幼く花蜜などが豊富なとき、普通のミツバチのように糖質を集める時もあります。そんな時に花から花へせわしなく飛び回る姿を望遠レンズ300㎜で撮ってみました。気のせいかどことなく穏やかに見えます。

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一生懸命働くのは全て雌で、オスは全く仕事をしないそうです。・・・

スズメバチが攻撃をするのは彼らが巣を守るためです。私たちは登山中にスズメバチが執拗に飛び回る時は「近くに巣がある!」と思って、その付近から離れるのが一番です。声高に騒いだり、叩き落とすことは被害を大きくしてしまいます。

 スズメバチによる人的被害は、今年ニュースをにぎわせた熊被害やイノシシ被害、毒蛇、ダニ被害と比べて圧倒的に大きいのです。

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毒針はのこぎり状の細かい歯が刻まれた二枚の鞘に覆われた構造です。ミツバチが刺す毒針には釣り針のような「返し」があって、一度刺したら毒針が体から抜けて死んでしまします。ところがスズメバチの毒針は何度でも刺すことができる構造となっています。

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刺された場合は素早く「ポイズンリムーバー」で吸い出します。流水で洗い可能であれば冷やします。抗ヒスタミン効果のある塗り薬を縫っています。私は市販薬のムヒアルファEX をポイズンリムーバーと一緒に持ち歩いています。

毒液は刺すだけでなく、空気中に噴霧されると「警戒フェロモン」として働き、集団で襲われることがあるので、速やかに静かに立ち去ります。

 

★ 今週末24日夕方6時から7時、大阪梅田の好日山荘グランフロント店マウントラボにて海外トレックをご紹介するスライド上映イベントを開催します。加藤がご一緒するネパールパノラマトレックも含まれます。お待ちしています。

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★ 11月3日から6日は屋久島宮之浦岳は募集開始しました。 お早めにどうぞ。

★ 11月19日から28日のネパールパノラマトレックを募集開始しました。好日山荘のバックアップを得て、少人数4名から催行(最大15名)です。世界最高峰「エベレスト」と「アマダブラム」「カンテガ」「 タムセルク」など巨峰を巡るトレッキングです。

★ 六甲山を歩き尽そう!シーズン5の日程が決まりました。近日中に申し込み可能となります。10/19(水)  11/16(水)  12/14(水)  1/18(水)  2/8(水) カレンダーチェックよろしくお願いします。全5回ですが、どの回でも一回のみでもご参加可能です。マイナーなルート、破線ルート、廃道ルートを地図と現場と睨めっこしたり、神戸の夜景を見ながら下山したり、交通の便の良い六甲山だからできる登山ツアーです。

★ 少し早いですが、10/13(木)六甲山でウインターギアに馴れよう!を企画しました。アイゼン歩行や前爪の使い方などの基本を体験します。まだ、アイゼンを持っていない方、新品のアイゼンでぶっつけ本番にちょっと不安を感じている方向けです。

 

 

下りはゆっくりと

★旭立太 登山情報 山の生活術

f:id:asahiryuta:20160917151844j:plain先週はツアー登山のガイドで北穂高と奥穂高にそれぞれ別の日、別パーティーで行ってきました。

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報道等で知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、9月に入って早くも3件もの死亡事故がザイテングラードで起こっているようです。私達が北穂高岳に向かう日には北穂高岳で滑落事故(死亡)、穂高岳山荘からザイテングラードへ下山する日には滑落(怪我)と行動中に事故救助の現場に遭遇してしまいました。

これらの事故は全て下りで起こっているようです。

事故がよく起こる場所でありますから、それを防ぐ為に遭対協、近隣の山小屋の方々により安全の為の最低限の鎖やロープがかけられ、ルートを見失わない為に最低限のマークもあります。個人的な見解では数年前に比べよく整備されたという印象があります。

しかし、事故は起きてしまいます。私の主観かもしれませんが、一般的に”ここは怖い!危険だ!→落ちたら死ぬ、怪我をする”と誰もがリスクを認知しやすい場所では皆さん誰もが注意しますので事故は実は起こりにくく、リスクを認知しにくいが実は危ないという場所でよく事故は起こります。

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ザイテングラートは、ドイツ語で「支尾根」「側稜」を意味し、涸沢カール上部の標高約2600メートル付近から穂高連峰の尾根に延びる岩の尾根で奥穂高岳への一般的ルートです。岩場に慣れている登山者であればさほど難しい場所でなく、高度感もそれほど無い為、どこが危ないの?と思う方もいるかもしれませんが斜度があり岩がむき出し。滑落すれば、横は崖で尾根から転げ落ちますし、転べばそこは岩の上。また落石の可能性がある場所です。さらに多くの人が歩いていますので岩が研磨され滑りやすい岩も多々あり、特に下りはスリップしやすいので注意をして歩いています。またザイテングラードだけでなく、北穂の一般ルートである南稜も傾斜が強く転倒すれば止まらない注意が必要な場所です。

f:id:asahiryuta:20160917152139j:plain事故は場所だけでなく人間側の理由でも起きるものです。事故は50代後半〜60代のいずれも単独登山者等、理由は色々あるかもしれません。私がガイドしたツアーの参加者は50代であれば若い部類に入ります。

少人数の個人ガイドであればショートロープを行い安全を確保しながら歩く事が出来ますが、多人数となるツアー登山では全員に対してそのような事は出来ません。ツアー登山でのガイド時、下りの際に心がけている事は参加者を焦らせない事、登りと同じくらいゆっくりと歩く、段差を少なくして丁寧に優しく歩く事(ルートも気をつけます)危険箇所や滑りやすい場所は声かけて注意喚起(これは一般的な場所ではなく、私の主観)をパーティーに伝達する事です。指差喚呼によるヒューマンエラーを防止するのと同じです。あたり前の事かもしれませんが、とても大切な事です。

また、山中でも同じパーティーなのに、それぞれがそれぞれのペースで別々に歩いている方をよく見かけます。それ自体が悪い事ではないのですが、声をかけあって歩いた方がリスクハザードをお互いで確認、共有できますし、何より山の楽しみを共有できますよね。

過去の参考になるガイドブログ

井坂ガイドより〜今年の遭難事案の傾向 - 好日山荘 ガイドコラム

島田ガイドより〜穂高の岩稜 - 好日山荘 ガイドコラム

秋山シーズンは気温も下がり、身体の動きも鈍くなってきます。行動前にしっかりと身体を温めたり、休憩時に身体を冷さない様にレイヤリングに気をつけたりしなければなりません。日も短くなり、行動時間は制約を受けてきます。行動時間が短くなると焦りも生まれます。

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※9月12日の涸沢。このナナカマドだけ真っ赤になっていました。

またヘルメットは涸沢小屋か涸沢ヒュッテ、岳沢経由の際は岳沢小屋から上部の滑落や落石のある場所に入る前に着用するようにしています。道具や装備、技術など色々な要因もありますが、行動について下りの際に気をつけている事を書いてみました。主観的な内容があるかもしれませんが、事故が起きないように皆さん一人一人が気を付けて秋山を楽しめればと思います。私も今一度気を引き締めて山に行きたいと思います。

一度は行ってみたい島の山 VOL.01 「屋久島 奥山縦走 宮之浦岳」

★加藤智二 山の自然学 山の地質学 山の植物について

何度か行ったことがある山でも繰り返し訪れたい島、屋久島は2000m近い高峰があるだけでなく、植生の垂直分布がすばらしいです。

地下深くでマグマが固体化した花崗岩を基盤とし日本列島が形作られた1500万年前くらいから姿を現し始めたといわれています。

7300年前の喜界カルデラ火砕流で焼かれ、その火山噴出物のミネラル分がこの島に栄養をもたらしたといいます。目の前で起これば大惨事である巨大噴火が栄養に乏しい花崗岩でできた屋久島を豊かな森を持つ巨木の島にしたという側面もあります。

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海洋を渡ってくる湿った空気が2000m近い山々にあたって起きる上昇気流は多くの雨をもたらしますが、1~2月の厳冬期には雪に覆われます。

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こんな時期、里で美味しいものといえば「タンカン」というかんきつ類です。見てくれの良くないものが道端で売っているがこれがまた美味しいこと!

縄文杉の往復だと荒川登山口から暗いうちから長い森林鉄道の軌道を歩きますが、淀川登山口から日本で最南端の高層湿原である花之江湿原を通ります。

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体格の小さい白いお尻のヤクシカがよく出没します。大型動物のいない屋久島なので、本州で問題となっている鹿害が目につきそうですが、一見したところそのようには見えません。一見豊かに見える緑の島ですが、大きな体を維持し反映させるには十分な土壌の豊かさが無いのかもしれません。

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投石岳付近はもう背の高い樹木は少なく、屋久島特有の巨大な正長石が目立つ花崗岩がゴロゴロと点在するようになります。

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屋久島では各登山口、避難小屋に携帯トイレブースが設置されているだけでなく、ここ奥山縦走路の翁岳鞍部にもトイレブースが設置されています。

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日本の河川で屈指の平均勾配を持つのが宮之浦川だそうですが、源流の最高峰宮之浦岳でも1936mと2000mに届かないこと、各河川の長さが短いなど、日本でトップクラスの急流であることあまり知られていないようです。

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最高峰宮之浦岳からは避難小屋、新高塚小屋をめざします。前歩に屏風のように峰々を連ねるのは永田岳です。島には背の低い石楠花、赤くつるっとした樹皮に特徴があるヒメシャラの大木も良く目につきます。

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一泊を自炊で山中で泊まれば、翌日静かに佇む縄文杉とゆっくり対面できることでしょう。ウィルソン株は切株とはいえ、ヤクスギに直接触れることが許されているものです。大切にしたいものです。中から見上げ隅っこから上を見上げると見えます。あのマークが。

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カメラはマニュアルで露出補正ができる方が良いでしょう。極端なコントラストの被写体なので前もって自分のカメラの特性を熟知しておくと良いと思います。

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屋久島には1600種類あるといわれるコケ類の内600種類があるといわれています。そぬち「ヤクシマ」と付くものが16種あるそうです。

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名前がわからなくても、豊富な雨水を留め、朽ちた樹木を覆うブランケットのようなコケが屋久島の自然環境に大きな役割を果たしていると思います。

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飛行機からは光る海原に開聞岳が端正な姿を見せてくれます。

お知らせ!屋久島宮之浦岳登山を通じて、一味違った屋久島の自然を満喫しませんか。

 

★ 今月24日夕方6時から7時、大阪梅田の好日山荘グランフロント店マウントラボにて海外トレックをご紹介するスライド上映イベントを開催します。加藤がご一緒するネパールパノラマトレックも含まれます。お待ちしています。

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★ 11月3日から6日は屋久島宮之浦岳は募集開始しました。 お早めにどうぞ。

★ 11月19日から28日のネパールパノラマトレックを募集開始しました。好日山荘のバックアップを得て、少人数4名から催行(最大15名)です。世界最高峰「エベレスト」と「アマダブラム」「カンテガ」「 タムセルク」など巨峰を巡るトレッキングです。

★ 六甲山を歩き尽そう!シーズン5の日程が決まりました。近日中に申し込み可能となります。10/19(水)  11/16(水)  12/14(水)  1/18(水)  2/8(水) カレンダーチェックよろしくお願いします。全5回ですが、どの回でも一回のみでもご参加可能です。マイナーなルート、破線ルート、廃道ルートを地図と現場と睨めっこしたり、神戸の夜景を見ながら下山したり、交通の便の良い六甲山だからできる登山ツアーです。

★ 少し早いですが、10/13(木)六甲山でウインターギアに馴れよう!を企画しました。カレンダーチェックよろしくお願いします。アイゼン歩行や前爪の使い方などの基本を体験します。まだ、アイゼンを持っていない方、新品のアイゼンでぶっつけ本番にちょっと不安を感じている方向けです。近日中にアップ予定です。

 

 

 

 

山を形作る岩石シリーズ VOL.02 「凝灰角礫岩」

★加藤智二 山の地質学

そろそろ夏の終わり。葉緑素の働きが低下、分解してきたので、山々を覆う草木が黄色味を帯びてきました。

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槍沢をたどり、氷河公園から南岳と中岳の稜線を通って槍ヶ岳を歩くとき、天狗池に映る槍ヶ岳や赤く色づくナナカマドのトンネルを抜ける素敵な景色が続きます。

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足元の巨岩は様々な礫が閉じ込められた凝灰(角礫)岩がゴロゴロしています。氷河公園の名がついたこの辺りが氷河に埋まり削られたのは凡そ2万年前と言われています。

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大きく氷河に覆われ現在の景観を作ったのは今から10万年ほど前、地質の歴史でいえばつい最近のことです。槍穂高一体は176万年?前の超巨大噴火の堆積物に覆われているのだそうです。吹き飛ばされた様々な岩石が火山灰と共に押し固められ、熱で溶け固まった岩石がゴロゴロしています。私は勝手に最近はやりのグラノーラ(商品名?)がギュッと固められたなんて言っちゃったりしていますが。

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槍ヶ岳に向かう途中、大喰岳付近のガレ場はこれらとは種類が違う閃緑斑岩という岩石です。拡大してみると

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長年、空気中に露出していた表皮部分は黄土色っぽく変色しています。写真は大きな岩からはく離した部分です。

槍ヶ岳山荘から槍ヶ岳頂上に向かうと足元にも様々な礫を含む岩石があります。ピンク色の取り込まれた礫は何だろう?

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山には様々な側面があります。どうやってこの山ができたのかを考えてみるのもよいかと思います。自分なりに本から得た知識を基に考えていると、いつか縁があってより専門知識な豊富な方と知り合えるのではないかと楽しみにしています。

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登山は登ることを通じて、未知なる事を体験でき、仲間ができ、地質、植物、昆虫、動物など知的好奇心を満たすことができます。結果として、精神的、肉体的により健康になることができます。

お知らせ!屋久島宮之浦岳登山を通じて、一味違った屋久島の自然を満喫しませんか。

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