好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

北アルプス大縦走 part.2

◯4日目(9/5)
白馬山荘2832mー杓子岳ー鑓ヶ岳ー不帰キレットー唐松岳ー唐松山荘2610m
登り 1170m 下り1392m 距離11km
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素晴らしい雲海の朝を迎えた。杓子岳、鑓ヶ岳を越え天狗の頭へ向かう。この間はある意味誰もが想像するような理想的な北アルプス縦走路を思わせる。ほどよい登り降りと広大な景色、歩きやすい登山道の上雲海が広がりすこぶる快適だ。改めて振り返るとまだ富山市内や日本海が見えるのも不思議でおもしろいものだ。天狗を越え長い下りを終えるといよいよ不帰キレット。ここは要心して、ヘルメット、ハーネス装着し、万全を期して岩場を越えた。スレ違いがなかったのはラッキーで、他の登山者がいると緊張感は倍になる。浮石の多い不帰キレットこそ、丁寧な動きと浮石の観察やルートの確認は重要だ。幾つもの危険箇所を越えて唐松山荘に到着すると、人間力100%の唐松山荘支配人中川さんに迎えられ安堵した。
唐松山荘はある意味特殊な場所だ。八方ゴンドラからの日帰りや初心者登山者もいれば、五竜からの初級、中級登山者、不帰からの中級、上級登山者、さらには黒部川へと繋がる長大なコースをゆく充分な体力を持つ登山者が行き交う。
中川支配人はその様々な登山者にいつも丁寧に目線を合わせて接し、問題のあった登山者に愛情を注がれている。気持ちの持ち方や心の在り方を考えさせられます。


◯5日目(9/6)
唐松山荘2610mー五竜山荘ー五竜岳ー八峰キレットー鹿島槍ヶ岳ー冷池小屋2410m
登り 1485m 下り 1685m 距離 12km
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出足の鎖場、ガレ場の下りは一般ルートとはいえ厳しい。しかもヘッドランプでの下りでより怖かったことだろう。不帰キレットと同じく、絶対に滑落は許されない場所だ。緊張の下りを終え、五竜山荘につくと五竜岳を目前にしたインパクトのある景色でくつろぐ登山者が多く見られた。ここも遠見尾根からの初級登山者がおおいところだ。五竜岳も抜群に眺望がよい山だ。そしてその頂上からゆくべき鹿島槍ヶ岳が岩峰の尾根の先の先に見えている。浮石の多い緊張の大くだりは、前向きに後ろ向きにと状況にあわせながら丁寧におりる。絶対に落ちられない場所では、ストックもザックにしまいこみ、四つの手足のうちひとつづつを動かす、三点確保で安全に乗り越えていく。ようやく岩場をやりすごし突如として表れるキレット小屋は登山者にとってとても頼りになる。水を充分に補給し、いよいよ八峰キレットだ。それほど細い尾根を歩くわけでもないが決して油断はできない。どこもかしこもスリップや転倒すらゆるされない。一歩づつ、確かめながら登りきるとようやく鹿島槍ヶ岳の雄姿がみえてきた。コルから南峰までの稜線も危険箇所は多く緊張を保ちながら、見た目よりは広々とした頂上へたった。これまでのルートを振り返れば、自分達の頑張りに登山者の誰もが歩くことの素晴らしさを感じることだろう。冷池小屋につくと望月支配人があたたかくむかえてくれた。