雪山のホワイトアウトとは、雪や雲などによって視界が白一色となり、方向・高度・地形の起伏が識別不能となる現象。
ホワイトアウト状態に陥ると、錯覚を起こしてしまい、雪と空が一続きに見え、どこが上なのか下なのか?距離感の識別も困難になります。
ホワイトアウトには色々な要因があります。吹雪や地吹雪によって雪が舞い上がって起こるもの。大量降雪時や、霧で視界が極端に悪くなった状態等々。
樹林帯であれば、樹木などが目印になり、距離感が識別できたりするのですが、アルパインエリアでのホワイトアウトは、全てが白一色に覆われてしまいますので、行動自体が難しくなる場合があります。
実は雪庇や急な谷の淵にいたり…→滑落、転落
知らないうちに雪崩の走路の中にいたり...→上部で何か起こっても分かりません‥
ホワイトアウトした時は、現在位置の把握、地図読みやルートファインディングが出来るのが前提ですが、慌てて行動せずに、回復の兆しがあるのであれば視界が良くなるのを待って行動するのも、選択肢の一つかもしれません。
※写真は安全地帯でツエルトを張り、視界待ち。バックカントリーでの滑走の際には視界待ちがたまにあります。
結局、2時間待ちましたが視界がよくならない為に、細い雪の稜線を下山。雪稜のような細い尾根での下山となりましたが、風と降雪でトレースも消え平らな雪原にしか見えません‥。
滑落や雪庇下に落ちてしまうキケンもあった為に目立つ黄色の細いロープを投げ、地形の凹凸を確認しながら下山しました。北米でスキーガイドをしていた友人に教えていただいたテクニックです。※氷河でのホワイトアウト時などに使用するみたいです。
左からファイントラックのフローティングロープ、ツエルト。
右はナルゲルボトル1リッター(大きさの参考に)
雪山でのナビゲーションにはGPSは必須アイテムですが、現場の細かい地形までは示してくれません。現在地を把握しつつ、現場合わせで地形を攻略して行く事が大切です。1枚目の写真の尾根を越えた斜面は、視界がよければこんな所です。
落ちたらと思うと…ひとたまりもありません。