好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

冬晴れ。

週末は冬晴れでした。気温がグンっと上がり春山でした。

予定していた山は雪が無く、雪を求めて北へ移動。あるところにはあるんですね。f:id:yoshida1487:20210215151443j:plain

奥大山で初めてのスノーシュー。天候にも恵まれて、みなさん童心に戻って楽しんでいました。f:id:yoshida1487:20210215130747j:plain

今回の〆。3時間のドライブでは消費できない高カロリー。f:id:yoshida1487:20210215180907j:plain

 

別の日に伯耆大山から弓ヶ浜と別山。知人が吊り尾根を渡るところ。この量だと刃渡りは怖い。f:id:yoshida1487:20210215152129j:plain

春山の定番と言えばコレ。私の時代は「爽やかテイスティー」でした。f:id:yoshida1487:20210215153531j:plain寒い時期の水分補給に炭酸飲料を飲んでる人は意外に多い。炭酸ガスは毛細血管まで行き届くので、血流促進による末梢の冷え対策に効果が期待できます。加糖された飲料は瞬間チャージできるので、エネルギー補給もできる一石二鳥の優れもの。寒すぎると凍りますが、冬晴れには合理的ですね。f:id:yoshida1487:20210216103227j:plain山でZEROはダメです。 

冬時雨。

週末は天気悪かったですね。時雨というには、しつこい雨でした。

雨は雪より濡れるので危険です。初対面の公募だと即中止ですが、今回は知っているメンバーなのでリスクを分散して登る事ができました。雪山講座で雨の那岐山へ。f:id:yoshida1487:20210125124649j:plain

氷点下なのに、ず~っと雨。f:id:yoshida1487:20210125124847j:plain

皆さんの元気と準備が頼りでした。無事に下山できて、ご褒美に美味しいコーヒーをいただきました。f:id:yoshida1487:20210125190546j:plain

 

翌日は南下して初心者講座。この日もず~っと雨。下山時にやっと止んでくれました。

こちらは初心者の方々なので無理のないコースを登り、無事終了。冬の雨天気だと、普通は山に行かないので、人気の山も山頂小屋は貸切でした。登山の様子は>>コチラf:id:yoshida1487:20210125125138j:plain

晴れの国も前線通りに雨は降るんですね。どちらの山も山頂に小屋がある事がわかっていたので、計画の段階でリスクを下げる事ができました。山で雨風が凌げる小屋の存在は本当にありがたいです。

雨に降られて、風に吹かれて、初めて装備の必要性を実感できる事もあります。いつも100%の準備を心掛けて山に行ってください。ご参加ありがとうございました。

下山を決める判断。

今シーズンはどこへ行っても雪が豊富です。

伯耆大山は連休なのに空いてました。日本海側は登山口まで辿りつくのが核心の一つでした。時間は掛かりましたが、何とか着く事ができました。f:id:yoshida1487:20210112132721j:plain

天候が悪いのはいつもの事ですが、この日は完全ホワイトアウト。トレースはなく、目測もできず、足元の傾斜を確認しながらの難しいアプローチとラッセル。f:id:yoshida1487:20210112133149j:plain

取付いた先もラッセルと強風でタイムオーバー。身も心も折れました。f:id:yoshida1487:20210112133402j:plain

頑張れば登れるかもしれませんが、頑張った先の暗闇のホワイトアウトと強風を考えると、下山が適当な判断でした。みなさんも経験があると思いますが、下山する判断は難しいですよね。

ポイントは3つ。よく言われる「山でピンチにならないための3つの判断」です。

①時間に間に合うか ②体力を残しているか ③技術・装備に問題ないか

個人的な解釈は、①は撤退 ②は敗退 ③は無謀です。「 せっかく来たのに」は禁句なんで、判断基準にしてはいけません。事故を起こす時は3つの判断のどれかが間違ってしまった時です。みんなが納得できる判断基準は、事前に話しておくことが大切ですね。f:id:yoshida1487:20210112134803j:plain

今シーズンは雪も多いですし、気温も低いので久しぶりに雪山らし状態です。この先、気温が上がりそうなので雪も少しは締まりそうですね。伯耆大山は一般道を外れれば、NOラッセル・NOサミットです。股関節のストレッチと大腿四頭筋を鍛えておきましょう。雪用タイヤも忘れずに。

雪山のグローブ2

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※写真撮影:好日山荘名古屋栄店スタッフ

新年早々、お買い物中の写真です。
私はグローブが好きです。そしてこだわりもあります。

私が求める物としての条件は操作性、デザイン(見た目・カッティング)、保温性そしてタフである事。毎シーズン色々な物を使って(もちろん実費購入)お客さんにフィードバックしています。

雪山では常に雪(水)に触れる機会があります。低い気温の中で靴紐を結ぶ、ゲイターを着ける、アイゼンを履く、ジャケットのフードを被る。バックパックのストラップを外し、バックパックの中から食べ物、飲み物を取り出し水分やエネルギー補給をする。全ての作業をグローブをしたままする事がほとんどなんです。

ですので、何よりもグローブが大切。何をするにも毎回、いちいちグローブを外して作業をするだけでかなり時間のロスが生まれます。外す、はめるで早くて20秒。それが1日に何度あるのでしょうか?はめたまま作業をこなす事も大切ですし、スピディーに脱着出来る事も大切ですがそもそもグローブが機能的でない(特に初心者)というのはいけていません。

グローブにはお金をかけよう!と講座などではよくお話しをしています。と、いう前置きからスタートしてオススメのグローブとレイヤリングの紹介です。※好日山荘で取扱のあるブラックダイヤモンドの商品を例に紹介させていただきます。(写真はロストアローHPから)

 

①ベースレイヤー(2双あると良い)

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ライトウェイト グリッドテック

ポーラーテック®パワーグリッドを採用し、軽量性と保温性をバランスさせた薄手のライナーグローブ。シリコンがプリントされ、グリップ性を高めています。温度域:0/7度(摂氏)

素材はポーラテックⓇパワーグリッドで汗吸い抜群。

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ライトウェイト ウールテック

運動量の多いアクティビティに適した薄手のライナーグローブ。メリノウールは軽量で濡れても暖かく速乾性に優れます。温度域4/13度(摂氏)

↑要は生地厚や素材違いです。ベースとなるのはこれらのような薄手のライナーグローブが重宝します。コンディションにより現地で使い分けも出来ますし濡れた場合のバックアップも兼ねて。基本は薄い物の方が次に紹介するものとレイヤリングがしやすいのでオススメです。

③マイルドなコンディション用(1双)

 

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アーク

モトクロスグローブを元にデザインされた操作性重視のグローブ。防水透湿性に優れるBDRYをインサートし、クライミング、登山、スキーツアーに適します。温度域:-7/4度(摂氏)

機能面の一例です。
・シンサレートインサレーション→保温材入り
・ピタード社オイルタックレザー製パーム&フィンガーカップ→ピタード社は50年以上の歴史を誇り手袋、革製品、馬具類を取り扱う世界的なブランド品を構成する革製造の世界的なリーダー。その品質は保証出来ます。・ガセット付き面ファスナークロージャー→脱着のしやすさもポイント
・ノーズワイプがPUからスウェード製へ変更→鼻拭きです。最近人気の透湿性ゴム手袋にはこれがないので私は雨降りや、よほど濡れる状況でない限り使いません。PUという素材は数年すると経年劣化が見られ、保管状況が悪いと割れる事が多かったですがスウェード素材に変更になり安心出来ます。

 ③ハードなコンディション用(1双)f:id:asahiryuta:20210104220341j:plainソロイスト

クライミングでの操作性を重視した厳冬期用テクニカルグローブ。温度域-26/-9度
・リムーバブルインナーの甲側にプリマロフト®ゴールド(170g/平米)、パーム側にプリマロフト®ゴールドニードルパンチ(133g/平米)インサレーション→プリマロフトの保温材入り

※この商品はインナー付き。

 

夏のような日差しが強い残雪期であれば①だけでも良いです。今日はあったかいな〜という日であれば②のみでの使用も。通常のマイナスの温度帯であれば①+②でマイナス10度くらいはいけるでしょう。③+②でマイナス20度以下にも対応出来ますので、この3点があれば12月〜6月までの積雪期はほぼカバー出来ます。

ポイントは使い分けと操作性が良いもの!以前はウールグローブにシェルグローブというのが定番でしたが、ここ数年の私のおすすめはこんな感じです。未脱脂ウールのグローブは雪が付着しにくい特性を持っています。湿っても保温力を失いにくいのはウールの大きな利点。という点もありますしガソリンバーナーを使用する際などに火に覆われても毛が焦げるだけで溶けにくいという素材の特徴もあるので状況に応じて使い分けをしています。参考にしてみてください。また、今回は登山での使用シーンを想定していますが、バックカントリーでのハイク用、滑走用ゲレンデ用でも使い分けをしています。

温度域対応できる温度域、ここもポイントです。自分のギアがどのような物なのか知りましょう。

道具を使うのは生活技術!いくら良いギアを持っていても雪山での生活技術がなくては、良い道具も無駄になります。ぜひ技術取得にも時間とお金をかけてみてくださいね。山の技術は一朝一夕では身につきませんので。

公共交通機関では

f:id:asahiryuta:20201230194038j:plain当たり前の事ですが、電車やバス、ゴンドラやロープウェイ、ケーブルカーなど様々な人が利用する乗り物では荷物が邪魔にならないように配慮しましょう。


・ポールなどの突起物は、バックパックの中に入れる、入らない場合は手にもつ。またはトートバックなどに入れる。バックパックのウェストベルトを後ろに回して固定しておくとよりスッキリしますね。ハイドレーションを家からセットされる方もいらっしゃるようですが、山より障害物が多い移動中にロックが外れ漏れたり、引っ掛け破損する事もあります。飲料ボトルもラゲッジ等に入れる際は邪魔ですし、逆さになって落ちたりします。※よくバスの荷台で誰の物か分からないペットボトルが転がってますね。


全ては山についてからセットするのかオススメです。熊鈴などもそうですね。大切な物はカバンの中にしまいましょう。乗り物に乗車する際には荷物は背中から降ろして自分の足下に。子供やお年よりなど様々な方が乗り物には乗っています。カッコいいと思う諸先輩方を見て学ばせていただいた事ですが周りに配慮してスッキリスマートな行動とルックスを保ちたいですね。


※立山アルペンルートにある看板

良いお年を。

今年も好日山荘登山学校にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

今の社会情勢を1年前には想像すらできませんでした。社会が変わり、人々の思考も変わりましたが、山に変わりはありません。登山をやってて良かったと改めて感じる事の出来た1年でした。f:id:yoshida1487:20201230160826j:plain

年末年始は広い地域で悪天予報が出ています。計画通りの行動ではなく、中止できる計画を持って山にお出掛け下さい。1歩間違えば、山が危険な場所であることに変わりはありません。

雪山に行ってみたい方、初心者の方、まずはガイド登山で雪山の基本を学んでみてはいかがでしょうか。今シーズンは雪がたっぷり楽しめそうです!

雪山講座は>>>コチラから ご参加お待ちしております!

寒さ対策、隙間を埋める。

いきなり寒いです!広島市内の山間部もスリッピー。f:id:yoshida1487:20201217111821j:plain冬山は寒さ対策が重要ですが、寒さの方程式は単純に、気温+風+濡れの足し算によって決まります。温かく、風を通さず、濡らさないレイヤリングという事ですね。加えて、ちょっとした工夫が大事になってきます。特に冷えやすい部位は、顔(頭部)、手先、足先の末端部です。顔はバラクラバやフェイスマスク、手先はグローブ、足先は靴、靴下で保温しますが、冷えやすい末端部だけを保温するだけでは不十分です。 

ちょっとした工夫は、末端部に接する各首を保温する事です。顔なら首元、手先なら手首、足先なら足首です。各首はウェア同士の隙間なので冷気が入りやすく、暖気が逃げやすくなっています。各首は細いので動脈が外気の影響を受けやすい箇所です。末端部位を温めても、送り込まれる血流が冷えてしまっては温まりません。

頭部なら首元。ネックゲイターやジップネックのウェアで保温。f:id:yoshida1487:20201215124024j:plain

手先なら手首。サムホール付のウェアやカフの長いグローブで保温。

カフが短いグローブは袖口に入れたほうが保温性は上がります。f:id:yoshida1487:20201215124113j:plainf:id:yoshida1487:20201215124137j:plain

足先なら足首。ロングソックスやゲーターで保温。雪山でなければレッグウォーマー。

スノーゲーターはオーバーパンツの中に入れた方が保温性は上がります。f:id:yoshida1487:20201215124740j:plain

 冬用登山靴なら足の熱を閉じ込めて、保温性をキープしてくれます。f:id:yoshida1487:20201215124911j:plain

寒さ対策は、ウェアの隙間を埋めることが大事です。 

よく足先が冷えるので靴の中に使い捨てカイロを入れる方がおられます。靴の中が窮屈になってしまうと、圧迫されて冷えの原因になるので注意が必要です。カイロは鉄粉が酸化して発熱するので、靴の中の酸素が乏しければあまり発熱しません。もちろん汗で濡れても発熱しません。そして、鉄は熱の伝導率が高いので発熱しないと逆に冷えてしまいます。ソックスやインソールで工夫したほうが良いです。 

良い靴履いても、良いグローブ着けても、良い帽子被っても隙間があれば効果半減。

冬山は自然環境の影響がとても大きくなります。寒さは隙間から襲ってきます。装備不足で寒さに凍える事が無いように、100%の準備で出掛けるようにしましょう。