好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

凍傷にならない為に

冬が近づいてくると耐寒トレーニングをしなければいけないと思うのですが、最近の生活環境は快適にコントロールされている場所が多く困っています。明確な目的を持たずに漫然とトレーニングしても効果は出にくいですね。

省エネ・エコだと世間ではやかましいですが、家の中を25度や27度にせずに一枚多く着て、手足など末端を寒気に曝すなどすれば、幾分か訓練にもなり光熱費も節約できるというものです。家族の不興を買うのは請け合います。
外出時、手先を外気に曝して頑張ってみるのも良いかもしれません。以前、氷水を張ったタライに我慢できる限り、手先を浸けて頑張ったのを思い出します。

一定時間、寒さを感じることで、体温を上昇させるような仕組みが身体の中で働くのだと思います。この対極にあるのが、炬燵にはいって足を温めていながら、そこで寝て風邪をひくパターンでしょうか。末端だけを温かくすることで体が暖かい所にいると勘違いして体温を下げるように働くからだと思います。
このように体温を一定に維持したりホルモンバランスを維持することは恒常性と呼ばれ、生き物のもつ重要な性質です。この性質を利用してトレーニングするのです。
意識したトレーニングを毎日繰り返せば、身体全体の体温調節機能が高まり、少しくらい寒い場所にいても気にならない身体になれるはずです。

普段から薄着で過ごしたり、冬に乾布摩擦をするのは効果がありそうだと感じています。身の血行がよくなり、新陳代謝を活発にし、寒さに対する抵抗力がつき、その結果免疫力がアップします。さらに、摩擦により知覚神経や運動神経に刺激が与えられるので、筋肉の硬直を防ぎます。筋肉が温まっていない状態で無理やりするストレッチより良いのではないでしょうか。

恥ずかしながら、乾布摩擦(かんぷまさつ)のことを寒布摩擦と思わず入力してしまいました。寒い季節に話題になることが多かったせいかもしれません。

さて、毎日山の中で過ごすわけではない私たちが雪山に出掛けた時、指先や足先を凍傷にさせないためのお話しをしましょう。

まず、そのメカニズムから。
心臓から遠い手や足先には髪の毛の様な細い血管があります。寒くなると身体は体温を逃がすまいと血管をしめ細くするので指先まで血液が十分いかなくなります。この時ジンジンする痛みや冷感は「このままだと凍傷になりますよ」という警告なのです。長時間、このような状態にいることで更に太い血管にまで被害が及んでいきます。

生き物である人間の司令塔は「脳」なのはご存知のことと思います。十分な熱源がなく保温ができない状況になると、エネルギーと酸素の大食漢である「脳」は自己保全を図るために手足への血流を遮断しだしてしまうのが真相と聞いたことがあります。いかにもと私は納得してしまうのですが、皆様はいかがですか。

ですから、意志の力でコントロールできないわけですから、私たち登山者は「飢え、疲労、脱水」などの肉体的ストレス、手袋・登山靴など装備不備や手入れ不足や不注意などによるダメージを少なくしなくてはいけないのです。具体的には、

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十分な食べ物と温かい飲み物を摂取すること。
防風性の良いシェルジャケットを着ること。
極端な疲労を残さないこと。
手首を冷やさないように保温すること。
濡れた手袋や靴下の替えを持つこと。
顔・耳・首・頭部の保温と防風を忘れないこと。
保温性の良い登山靴を使うこと。
スパッツを使い靴を濡らさないこと。
素手でピッケルなど金属を触らないこと。

などがあげられます。大切なことは必要な準備をして、めんどくさがらずに身体をケアすることです。

日本における凍傷治療の第一人者である金田正樹先生はこのようにおっしゃっています。「凍傷の直接的原因はヒューマンエラーである」と。
 

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、鉱物、水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。