好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

雪虫

雪原の上に飛ぶ小さな羽根虫が以前から気になっていました。晴れて日が当たっているというものの、雪の上は冷たく小さな体が凍えてしまわないのでしょうか。
今からは本格的な雪の季節なのですが、春、立山の雪渓にいた虫の名前は何だろうかと思い、調べてみました。

研究者のページ:雪氷生物学   富山県のセッケイカワゲラ類

立山の雪渓で見られるのは「セッケイカワゲラモドキ」という種類だそうです。1cm程の細長い真っ黒な虫でハネは退化しています。写真に撮ろうと毎回頑張るのですが、雪面の反射にデジカメが対応しきれず上手くいきません。
雪虫(ユキムシ)とは雪上を歩いている昆虫の総称らしく、30種類くらいいるそうです。これらの生態は不明の部分も多いそうですが、食事は雑食で、トビムシ、ユスリカ、落ち葉などを食べているそうです。じっと観察してその一生を解明するのは根気がいるものですね。

雪虫の体温を測った人に因ると、その体温は雪温とほぼ同じであったということです。良かれと温めてあげると「ケイレン」を起こしてしまうということです。
変温動物の昆虫が0度の雪と同じ温度で、活発に動けることを解明できれば寒冷地での高度を可能にする「何か」が見つかるかもしれません。
安定した積雪と清流がないと生きていけない昆虫で、氷河時代の生き残りと考えられています。

江戸時代の文筆家鈴木牧之が随筆『北越雪譜』にはセッケイカワゲラが「雪蛆」(せつじょ)という名で登場します。これが日本で初めて「ユキムシ」を紹介したといわれています。
この『北越雪譜』は1837年(天保8年)に出版され、江戸後期の越後塩沢の雪国の暮らしを記しています。同じころ、古賀藩主土井利位が雪の結晶をスケッチした『雪華図説』(1832年天保3年)と『続雪華図説』(1840年天保11年)として刊行されています。
人々暮らしぶりを記述した随筆とは違って、より科学的な視点の書物です。天保飢饉浅間山噴火、大塩平八郎の乱など寒冷であるが故に、不安定な世相があった時代です。
そのどちらの書物も現物うを見て触ることはできませんが、小林禎作氏の著書、雪華圖説と続雪華圖説の復刻版である『雪華図説考』『雪華図説新考』(いずれも築地書館)を古本屋で手に入るかもしれません。

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私は見たことがありませんが、北海道では「雪虫」といえば、晩秋の空にふわふわと現われ、降雪を知らせる虫のことを言うそうです。
こちらの雪虫はアブラムシ科の「トドノネ・オオワタムシ」というアブラムシ科の昆虫です。ヤチダモの木に生んだ卵が春に羽化します。
幼虫はヤチダモで育ち、夏の初めにトドマツの木に引越しします。トドマツの根っこで樹液を吸って育つので「トドノネ・オオワタムシ」というようです。
トドマツで夏を過ごし、秋の終わりにヤチダモへ2度目の引越しをする姿が、雪の様子に似ているので雪虫と呼ばれています。「雪虫」が沢山出てくると、もうすぐ雪が降ると言われています。
ヤチダモとトドマツっていう2つの木がないと生きていけない昆虫が「トドノネ・オオワタムシ」なのですね。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ鉱物水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。