好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

日本は国土の73%は山地で占められていると地理で習いましたが、日本にはいったい幾つの峠があるのでしょうか。
今は国道となった幹線は昔から重要な街道であったのでしょうが、登山地図にも沢山の「峠」があります。

そこで幾つか海抜の高い峠を調べてみました。
人が歩けるだけの道では北アルプス「飛騨乗越」の海抜3020mです。ここは森林限界を超えた登山道です。車が通れる道では長野県川上村にある「大弛峠」の海抜2360mです。ここに車を置いて金峰山に登るのは最短ですね。車が通る国道では志賀草津道路でもある292号線「渋峠」で海抜2172mです。
峠という漢字が付く峠では南アルプスの「三伏峠」の海抜2560mです。二番目は北アルプス「針ノ木峠」の海抜2541mです。

海外に目を向けてみると、世界一標高の高い峠はチベットにあります。
一番は海抜5359mのカルドゥン・ラとも、海抜5582mマーシミク・ラとも言われています。
不正確な点もありますが、この高度はエベレストのベースキャンプより高いのです。車でいきなり行ってしまえば高山病になるのは必定です。
1987年にチョーオユー8201m登山に出かけました。ラサからパジェロに乗って、標高4250mにあるトルコ石の様な色のヤムドゥク湖、タルチョがはためくギャツォ-・ラ峠5220mを通りました。
乾いたチベット高原を四輪駆動車で駆け抜けるのですが、頂上に立った後で高度順化ができていたせいか、その景色は今でも鮮明に脳裏に焼き付いています。

峠は「たむ(手向)け」の音が変化したといわれるていますが、「たむける」は八百萬の神や道祖神への供え物をし、あがめる意味もあったのでしょう。
昔、他国に旅立つ者が別れを告げる場所でもあり、懐かしい故郷が目に飛び込んでくる所でもあったのでしょう。そこに地蔵堂などが置かれ、旅の安全を祈願したり、お礼をしたりする場所だったのです。

峠へ続く道は沢であることが多いので、家にある25000地形図をじっくり見て、尾根にオレンジ色、沢・谷に水色で色を付けてみましょう。きっとたくさんの鞍部が見つかると思います。

傾斜が緩やかで馬や荷車が通れる案部は自然と「・・峠」と呼ばれるようになったのでしょう。
密貿易・抜荷などではきっと厳しい鞍部をわざわざ通ったのでしょうか。

先日、岡山県の毛無山に出掛けた際に、地図を見ていたらと「乢」(たわ)と付く場所が見つかったのです。どう見ても峠のことではないかと思ったので、これについても少し調べてみました。
「乢」は、屹、嵶とも書き、「タワ」「タオリ」「タル」「タオ」などと読め、「弛み」を意味するみたいです。イメージでは「峠」に比べるとゆるい感じがします。地名から調べてみると、岡山県に多いことが分かりました。

天候に左右されやすい峠道はトンネルに変わってしまって、今は人の通わぬところもあるのでしょう。そんな旧道を辿るトレッキングも良いかもしれません。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ鉱物水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。