好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

地球の大きな営み

地球史のことを少し、調べてみました。


2010年の夏に南アルプス塩見岳に行った折りに調べたこと、見たことはガイドブログに書きました。南洋で生成されたチャートと石灰岩が3000mの稜線でも見ることができ、地殻プレートが今でも確実に動いていることを実感しました。この秋、30年ぶりに大崩壊した北岳バットレスはまさに目に見える形で示したのかもしれません。

今回は現在の始まり、「現在」といっても第四紀が始まった258万年前のことです。258万年を一日と換算すると2000年の歴史は23時58分53秒からの一分程度になると考えると、電卓をもう一度叩きたくなります。
46億年前といわれる長い地球の歴史の中で、恐竜やアンモナイトが絶滅した6550万年前から現在までを大きく「新生代」といい、私たち哺乳類の時代といわれています。この6550万年続く新生代の直近の258万年間を「新生代第四紀」といい、氷河と人類の存在が大きな特徴になっているのです。

山登りをする身としては「氷河」の拡大と縮小を意識して考えてみたいと思います。
産業革命以後の急激な工業化による二酸化炭素濃度の増加と地球温暖化については個々では触れずに過去に起きて、今も続く地球変動の一端を見てみたいと思います。
今の地球環境がその歴史の中では寒冷な時期の一つであることをご存じでしょうか。でも、現実は北極海の氷が溶けている、ヒマラヤやアルプスの氷河が後退していますが。

地球儀を思い出してみてください。南北アメリカ大陸をつなぐパナマ地峡が陸化したのは約270万年前といわれています。陸化されために大西洋から太平洋に暖流が流れ込まなくなって生じたのがメキシコ湾流です。この暖流が北大西洋に流れ込むときに大量の水蒸気を発生させて雪を大量に降らせ、氷床が拡大したと考えられています。日本列島の日本海側の山沿いに降る大量の雪の原料は対馬海峡から日本海に流れ込む海流からもたらされています。

私たちが住む東アジアから南アジアには、夏は海から暖かく湿った空気が入り込み冬は大陸から冷たく乾いた風が入ってきます。これはヒマラヤ・チベットの隆起によって、ユーラシア大陸内陸部が海からの湿った大気から分断された為に起きた現象です。最近、春でもないのに話題になる「黄砂」の原料はこの頃から「黄土高原」に体積が始まったのです。

地殻変動で海流が大きく変化したり、ヒマラヤ山脈の隆起で大気の流れが変化するのはとてつもなく大きなことなのですね。

氷床が拡大すると海水が減少します。最近の数十万年の間に起きた海水面の変動は120mから200mに及んでいたそうです。現在は間氷期に当たるのですが、今わかっている最終氷期は1万8千年前が極大で、海水面は今より120m低く、北海道はサハリンを通じて大陸とつながり、対馬海峡は浅瀬となって、暖流は遮断されていました。そのため、現代のように冬期、大量の雪が降ることもない乾燥した冬であったと考えられています。
一方、花粉化石からわかったことですが、5000年から7000年前が最近では最も温暖であったとそうです。その後、ゆっくりと寒冷化が進んでいるというのが、10万年周期のミランコビッチ・サイクルを根拠にした学説だそうです。

私の友人もお手伝いした南極観測隊でも長年、氷床コアを採取、分析しています。沢山のことを調べているのでしょうが、過去の事実から大雑把に考えても寒冷化に向かうのではということですが、果たしてどうなるでしょうか。何と言っても、これほどの環境変化を人類がこの200年で起こしたことと、10万年周期の現象を同じテーブルで考えるのも無理があるような気がします。

氷床が溶ける場合、表面が汚れ地表面が出てくると太陽照射の吸収率が上がり、融解が促進される傾向があります。雪国で田の雪を早く溶かすのにオガ炭などを撒くのと同じですね。大きなスケールではその結果、一気に大量の淡水が海洋に流れ込むことで、海流循環が変化して、寒冷化が進むこともあるようです。

万年~十万年の単位で考えれば緩やかに見える環境変化も、人類にとっては急激かつ破滅的なものではないかということです。人類の歴史書の中には、1万8千年前の最終氷期も5000年前の温暖期のいずれに関しても記述がないのです。

詮無い話になりそうなのでこの話はこのくらいします。

これから、寒くなるわけですが、環境の変化に対応できる体力を身につけるには、日頃の生活が大切です。暖房で甘やかされた体を鍛えに歩いてみませんか。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ鉱物水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。