好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

雪華図説を知っていますか。

雪崩や雪庇崩壊の事故を経験したせいもあるのですが、雪に関して関心を持つようになりました。私事で古河市を通る機会があり、空いた時間で古河市を散策したところ、街のあちらこちらに「雪の結晶」をデザインした物品が目につくのです。利根川を越えて茨城県に入った古河市が雪国であるわけもなく何やら不思議な気がしたのです。しばらく歩くと古河歴史博物館があり、ここで第十一代古河藩主 土井大炊頭利位(どいおおいのかみとしつら)にであったのです。1833年にこのお殿様は「雪華図説」を、1840年に「続雪華図説」を出版したのです。博物館では大いに満足してパンフレットを購入してから暫らく間、すっかり忘れていました。

少し前のことですが、東京神保町の古書店で山の本を何気なしに見ていたところ、「雪華図説考」と「雪華図説新考」 の二冊が目に飛び込んできたので、迷いもせず、買ってしまいました。

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これは、1968年7月に築地書館から出された限定四百部の六六号です。

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そしてもう一冊が1982年1月20日に上と同じ築地書館から出されたものです。

著者はどちらも小林禎作(こばやしていさく)氏 1925年生まれの北海道大学低温科学研究所で教授をされていた方です。二冊目の「雪華図説新考」は大変わかりやすく書かれており面白いです。

当時、オランダから買った顕微鏡を使って、雪が降るほど寒冷地でない古河でこれほどの雪の結晶をスケッチできたのか。天明から天保にかけて大きな飢饉が発生した寒冷期にあたっていたからであるとかが考察され、大変興味深いのです。

1782年の天明の大飢饉、1783年の浅間山の大噴火、同じくアイスランドラキ火山の噴火、1789年のフランス革命と当時の地球環境は火山噴火によるエアロゾルの影響で寒冷であったのです。その後、一時的には豊作の時期もあったのですが、天保の時代に入り、また飢饉が発生しました。

土井利位が一生懸命、雪の結晶をスケッチしていたこの時期は、歴史で習った「大塩平八郎の乱が起きた時期と重なるのです。寒冷であることは食料が足りなくなるということにつながり、社会情勢を不安定にします。

温暖化を心配する一方、大きな火山が噴火すると一気に寒冷化が進むわけです。どちらに転んでも不幸なことになるわけです。人間の作った強力な兵器などに比べようもないエネルギーを地球は持っているのだと考えるともう少し、人は謙虚になれるかもしれませんね。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

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