好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

しっかり食べる・飲む

ダイエットを目的にした登山をしている人はあまりいないと思います。でも、心の片隅にお腹を減らして歩けば痩せると思っている人も多いはずです。
暖かい季節であれば、下山後のビールが楽しみであまり水分をとらないお父さんがいるかもしれません。

痩せるという目的に合っているかどうかの科学的な検証のデータを私は持ち合わせていないので、深入りを避けたいと思いますが、私が持ち合わせている知識と経験のお話しということでご勘弁を。

1:食べずに歩くと持久的な動きが低下して、パフォーマンスが低下します。いわゆる「シャリバテ」ですね。
2:日帰りや一泊二日ではあまり体重は減りません。適度な運動負荷なら、食欲が増進します。ご飯がおいしくなって幸せなことだと思います。
3:一か月のスパンで考えて、数回、山に出かければ、何となく体は締まってきます。
4:こまめに少量の糖質をとりながら、バテずに長時間歩くと、余分な脂肪が減るような気がします。
5:水分補給もこまめにとっていると、体の老廃物が良く排出されるような気がします。

さて、「人間の恒常性」というのを考えてみたことはありますか。体温を一定に保ったり、血糖値やホルモンのバランスをとるといった生理現象です。これはつまり、私たちが何らかの理屈で無理やり飲まず食わずで山を歩いたら、脳味噌が「これは危機だ!」と勘違いしてしまうということです。
腹が減ったという強烈なシグナルが脳に送られてしまうと食べた物を逆に体に留めようとしてしまうのです。
ですから、こまめに食べ物を補給しながら、「疲れていないぞ。快適だなぁ。」と脳みそをだました状態を作り出すのです。糖質は燃えにくい脂肪を燃やす「助燃剤」みたいなもので、微妙にカロリー不足状態になると、「しょうがねぇなぁ。」と脂肪を燃やし出すのです。

安全登山を考えた時に、その要素は幾つかありますが、「自分の体の状態を知る・コントロールする」ことはとても大切なことです。
山で歩けなくなったら遭難です。しかし、このような自己管理ができていない遭難でヘリコプターを要請された場合は、今後間違いなく請求書が届くようになるでしょう。

そういう訳で、「山でバテない、病気を発生させない」という立場で栄養と水分補給を考えていきましょう。

「シャリバテ」とは何も食べないで登山しているうちに、お腹が空き血糖値が下がって足が上がらなくなることです。出発前にしっかり遅効性の糖質=でんぷんが多い“ごはん”を食べましょう。
一方ブドウ糖などは速効性があります。しかし一度に大量に摂り過ぎると血糖値が上がり、体は逆に血糖値を下げようとするので、逆効果になります。
お腹が減って血糖値が下がると脳や神経系の働きが低下してバランス能力、敏捷性が低下するので転びやすく、思考力、集中力も低下して判断ミスも多くなるので要注意です。

具体的には
 1:朝食は“おにぎり・パン”などをしっかり食べておきましょう。
 2:行動中の2時間に一度は食べましょう。
 3:暑い時は塩味を多めに、寒い時は甘味を多めの間食を食べましょう。
 4:疲れた時はクエン酸を含むものを食べましょう。梅干しは塩とクエン酸を含みます。
 5:飴やチョコレートをこまめに口に入れます。

脱水症状は熱中症だけなのでしょうか?毎年、梅雨が明けるころから熱中症への警告がなされているので、最近では皆さん良くご存知だと思います。
山に登ると1000mで約6℃程度気温は下がります。湿度の低い爽やかな空気の中や低い気温の時は、水を飲む気が起きにくいのです。こんな時、体の中はどうなっているのでしょうか。
別に喉が渇いているわけではないけれど、小水が濃い黄色になることがあります。また、テントの中でこむら返りを起こすことがあります。これは明らかな水分摂取不足ですね。
という訳で、水を飲まないと血液循環が低下して疲労を招き、筋肉が痙攣をを起こしやすくなります。血液粘性が高まり、季節を問わず血栓をつくりやすくなるので、中高年は心筋梗塞脳梗塞を警戒しなければいけません。

具体的には
 1:登山の出発前に500mlを目処に飲みます。
 2:食事に含まれる水分も含むので、水気の多い行動食にする。
 3:ハイドレーションシステムを使って、こまめに摂取できる環境をつくりましょう。2リットルタイプでほとんどがカバーできます。
 4:スポーツ飲料などで電解質も摂取も必要です。
 5:水場で一気に大量摂取をすると、利尿作用を活発化させて、かえって水分を失ってしまいます。
 6:山での飲酒は、同量の水をとりながら程々に。

季節の変わり目です。
これからは1500m当たりの紅葉が盛りとなるでしょう。気を付けてお出かけください。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ鉱物水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。