好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

カシノナガキクイムシ

カシノナガキクイムシ」が猛威をふるっています。
9月に宇奈月から下の廊下へ向かうトロッコ列車の車窓からナラ枯れ被害を見ました。
最近になって、急に被害が拡大してきているので、外国からの浸入なのかと思っていましたら、古くは昭和9年、南九州のシイ・カシ類の被害が報告にあるようです。滋賀県では昭和50年に報告されているようです。

カシノナガキクイムシ(以下、カシナガ)は体長5mm程度の小さな虫で木にあける穴の大きさは1.5mm程度のとても小さなものです。
成虫、幼虫ともに木の中にすんでいて、菌をエサにしています。成虫になると繁殖の時期に木から飛び出し、新たなすみかとなる木に穴をあけ中に入ります。メスは背中に菌を貯蔵していて、菌はエサになるもののほか、木を枯らす原因の菌が含まれています。その菌はラファエレア・クエルキボーラ菌という糸状菌(以下、「ナラ菌」という。)を伝播することによって起こる樹木の伝染病です。

カシナガは様々な樹種に穴をあけますが、集団で穴をあけられ枯れてしまう樹種は、ブナ科の樹種です。その中で、特に枯れやすい樹種はミズナラ、次いでコナラです。ブナ科のコナラ属 ミズナラ、コナラ、カシワ、クヌギ、ウバメガシ、アカガシ、ウラジロガシ、シラカシなど以外にクリ属 クリ 。シイ属 スダジイ、ツブラジイ 。マテバシイマテバシイなどの被害が報告されています。

ブナは大丈夫なのでしょうか。被害が報告されていないのはブナの山が比較的寒冷な高度にあることや積雪多い地域に植生があるからではないでしょうか。温暖化で1500m前後の積雪が減ってきているのが心配です。
先週は富山県立山町にある国立立山少年自然の家付近に行った時に撮った被害の写真です。

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ツキノワグマの出没が報道されていますが、実際に道路に出てきたのが目撃されました。猟をする友人から聞いた話ではツキノワグマは二年間子育てをすると子離れをするそうです。山に豊富なドングリがないので、腹の減った子熊や親子が手っ取り早く食べ物を求めて山を下ってきているような気がします。

今後も野生動物と生活圏の重なりが問題となる場面が増えることでしょう。イノシシ、シカ、ツキノワグマの生息数が増えているということを話す人も多いのも事実です。山が荒れたのは材木や薪など積極的に山とかかわることが少なくなった今の日本の問題でもあります。動物愛護はクジラ問題を例に出すまでもなく、極端な押し付けあいになりがちです。

地球環境の激変、里山の荒廃、動物と人間の接触と被害はすべてが関連しているのを実感します。
自然保護はもちろん大切ですが、継続的にバランス良く存続する為には、動物に泣いてもらうことも人間が我慢することも必要なのだと思います。

自分で山に入り、木を利用し、虫・キノコ・魚や動物を食することが第一歩かもしれません。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ鉱物水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。