好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

イノシシ被害

新聞にイノシシに追われて鉄塔に登って難を逃れた記事が出ていました。

六甲山で良く見かけるイノシシはニホンイノシシで、西日本を中心に本州・四国・九州に広く生息しています。もう一つの亜種にリュウキュウイノシシがいます。
イノシシは基本的に性格は温和で人になれることから、縄文時代から飼育されブタの祖先とも言われています。種レベルでは同一種なので、ブタとの交雑で生まれたイノブタが飼育されています。

人間と同様に栄養価の高い農作物や初夏の新芽や新葉、秋のどんぐり、クズやヤマイモの地下茎を好みます。
登山者が食べる弁当や果物などは好物です。特に秋は冬に向けて体に脂肪を蓄積する為に、ドングリなど栄養価の高い食べ物を求め、行動範囲が広がります。

登山道わきに良く見られる耕したような跡は丈夫な歯と独特の突出した鼻先で行われています。
嗅覚と聴覚はかなり鋭敏です。視覚は弱いものの、青色に良く反応し、暗くなると視力は低下します。つまり、イノシシは私たち登山者と同様に昼行性なのです。

人間より早く走ることができ、時速48kmという記録もあります。助走なしで1mの策を飛び越えるジャンプ力もあります。しかし、実質的に草食性で他の動物を襲うことはありません。
オスには牙が発達していますが、主に護身用と考えられています。

夏の暑い日には頻繁に泥浴びや水浴びをします。六甲山芦屋川の上流にはよく出没します。

猪5月親子.JPG


メスは20か月、オスは16か月で成熟して交尾します。繁殖率が高く毎年子供を産みます。平均4頭ほど生み、2頭が育つといわれています。平均寿命は10-15歳といわれます。
 

六甲山は禁猟区域なので、イノシシは人間を警戒するように学習できていません。日の出と共に活動を始めますが、その行動時間の7割は休憩、3割が餌探しです。


六甲山で日中にイノシシと出会うということは、彼らは「餌探し中」ということです。熊とは違うのですから、慌てることなく、じっくり観察する余裕を持ちましょう。

イノシシは学習能力が高く、臆病さと大胆さを併せ持ち、安全だとわかると図々しくなります。慣れない場所には用心深くなります。過去、六甲山では登山者が悪意なく餌を与えたこともあり、市街地への出没が頻繁しました。


現役バリバリのイノシシがコンビニやリュックサックの中に「美味しいもの」があると記憶されているとしたら、その個体がいる限り同様な被害が起きるかもしれません。言葉を選ばずに言えば、そのような行動を覚えてしまった個体は捕獲するしかないと思います。捕獲するのが忍びないと思うのならば、決して登山者を餌係として覚えさせない行動をとらなければいけないのです。
登山者が餌を与えないのはもちろんのこと、弁当など匂いの付いたゴミを残さないことが大切です。

一般的にはイノシシは非常に臆病な動物で私たち人間を怖がるのが普通です。登山者が自分(イノシシ)より弱いと判断されない行動が大切となります。背中を見せて逃げたり、顔をそむけて逃げてはいけないのです。
そうはいっても、初心者が気楽に歩ける六甲山ハイキングなどでは難しい点も多いと思います。人間と野生動物のテリトリーが交錯する場合は毅然と対応する一方、動物たちの生息域と行動を勉強しなければいけないと思います。

サルも利口ですから、体格の小さい子供や「キャー」と逃げるような行動をとると襲われます。このような場合は動物愛護精神より同じ動物になりきって行動する方が良いでしょう。

今年のドングリなど山の幸は不作という記事が出ていました。ツキノワグマ、サル、イノシシが腹を空かせて人間の生活圏に降りてくる可能性も多そうです。
登山においても野生動物との遭遇には十分注意していただきたいと思います。

 

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、自然、花、地質、鉱物などを載せています。