好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

コースタイム

登山計画を立てる時に、考慮しなくてはいけないのは、歩く距離、登る高度差、下る高度差、斜度、難易度、天候、メンバー構成(年齢・体力・経験)などだと思います。
この中で難易度はメンバー構成要因に大きく左右されるので、まずは客観的な地形から凡その所要時間を算出するのが良いでしょう。

一般的な登山道では1時間でだいたい300mの高度を登るという経験があります。「1km先で300m登る」というのは斜度が約17度です。昨日のコラムの表でいえば、100m移動してで30m登る部分を見てください。主曲線(細い線)30本分=計曲線(太い線)6本が人差し指と中指のVサインの中に入ってしまう位の傾斜です。


実際に体験に近い時間であるのですが、いろいろ調べてみると緻密に計算されている方がいるのでびっくりしました。ご苦労様です。
複数の方が言われる点を簡単に書いてしまうと、次のようになると思います。

「平坦な道を歩く速度は毎時4km が普通とします。水平距離を1km歩くのに必要な時間は15分位のはずなのに、高度差300mを登るとほぼ一時間かかります。この時、山登りは時速1kmと考えるのではなく、(一般登山道での「標準的な目安」として、)水平距離1km=15分、垂直距離100m=15分(垂直距離300m=45分)という様に一時間=60分=(15分+45分)に分解して考えます。更には急な登山道は垂直距離100m=20分で割り増す」というものでした。

この考え方で雨飾山の地形図を出して、登山コースの距離を測ってみます。ここでは凡そ往復8kmとします。相当大雑把にみています。
つぎに等高線を見ながら登り下りの高度差を調べます。登りの標高差が720m(急550m、緩220m)、下りが720mとします。
水平距離は8×15分で120分。登りの垂直距離は(5.5×20分+2.2×15分)で136分となります。下りは(7.2×15分)108分です。合計すると364分、およそ6時間程度になります。昭文社の2006年登山地図では390分の6時間半です。

例に出した雨飾山では地形図から算出したコースタイムと登山地図のコースタイムとは26分の差でした。実際には荒菅沢から急登には梯子があり、下りだからといって格段に早く下れないなども考慮に入れ、メンバーを考慮は必要です。

下りはエネルギー消耗は少ないので、かかる時間を登りの7~8割と考えることも可能です。しかし、初心者や高齢者の場合、膝への衝撃を和らげるために多めの時間を見込むことをお勧めします。


明らかに急登が続くような登山コースやクサリ場や渡渉点の多い谷道などには割増を行う必要があります。
メンバーの体力・脚力・技量の差、天気など環境の変化やザックの重さなどによって、割引、割増を行うことになります。

更に、安全登山を考えるのであれば、一日の行動可能時間数を三等分して、2/3を登りと下りに当て、1/3を予備と考えたいものです。


初期のころの地形図とは違い、最近修正された地形図は航空写真測量を行っているので、等高線はほぼ正確なので、ザクッとコースタイムを考える場合、コース距離を緻密に考えるより、高度差を把握する方が合理的です。部分的に急な部分があれば、当然時間がかかるわけですが、緩い道も混ざることを考えれば平均的に考えても良いのではないでしょうか。

一般的に多くの方は登山地図のコースタイムを参考に登山計画を立てることが多いはずです。自分の今までの経験も考え、印刷されたコースタイムだけで判断するのではなく、登山地図や地形図に書かれた情報をじっくり見て計画を立ててほしいと思います。そうすれば、すれ違う登山者に「あとどのくらいで頂上に着きますか?」などと質問が出てこないと思います。

最後に一言。

山登りは高度をかさ上げしていく運動です。
顔をあげ視野を広く持って、左右を見渡し細かく足を動かし、前に出した足の膝に重心を移動して、曲がった膝が自然に伸びる分だけ登るように登るのが疲れにくい登り方です。
8/16に「疲れない歩き方と登山道保護」もご参考ください。

 

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。