好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

黒部川 下の廊下

宇奈月からトロッコ列車に乗って欅平に着きます。一般の人間はここまでとなります。欅平駅をでて小さな広場横から阿曾原方面への急登が始まります。

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さて、歩き出す前にこの水平道すなわち日電歩道と電源開発が切っても切れない間柄という点に触れない訳にはいかないでしょう。
黒部川には下流より宇奈月ダム、柳原ダム、出し平ダム、仙人ダムそして黒四ダムが続きます。私たちは巨大な構造物に目を奪われがちですが、地下に作られた発電所、作業用トロッコ線、巨大エレベーターが連日稼働しているそうです。

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水平道を歩きながら見ることができる黒部川の流れ、奥鐘山の大岩壁の迫力は自然の魅力が満点です。
スパっと切れ落ちている狭い登山道をもう少しよく観察してみると、あの地下に張り巡らされたトロッコトンネル、送水管の建設以前にこの日電歩道を作った苦難の歴史が目に浮かんでくるのです。錆びてなお働き続ける太い鉄杭、太い番線、せり出した花崗岩に作られた丸太桟道を支えていたであろう宙に浮く番線の連続を見ることができます。
今、この場所にはトンネルが開けられていますので、トンネル通過の際に岩壁に目を向ければ見つけることができると思います。

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志合谷が近づいてきます。歩道より遙か下の尾根の膨らみに石垣で囲まれた工事用宿舎跡が見つけることができるはずです。ホウ雪崩調査観測用の赤茶けた鉄塔の方が見つけやすいかもしれません。巨大なホウ雪崩による悲劇は圧倒的な爆風により、宿舎ごと黒部川の対岸、奥鐘山の岩壁に叩きつけられて起きました。
雪崩は雪山登山では心得ていなくてはいけない知識ですが、当時、安全であるはずの宿舎が。と考えると無念であったと思うのです。
志合谷を越えるにはヘッドランプが必要です。正確には越えるのではなく、トンネルでくぐるのですが、直線距離はいくらでもないと思って入ると長く感じると思います。このトンネル一つ見ても、先人の苦労を考えずにはいられません。


このコース上で喉を潤すことができるのは折尾谷の滝だけです。ゆっくり休むことができます。


阿曾原小屋は佐々木泉さん夫妻が経営される小屋です。佐々木さんは小屋の経営はもとより、登山道や林道整備など地元地域一帯の安全に積極的に関わっていらっしゃいます。歩道に真新しい補修がなされていたら感謝したいと思うのです。
この水平道は気を抜いてよろめき転ぶだけで、転落すれば即死してしまうところだらけです。歩道の整備に関しても、「より安全に。」というだけで、「安全」ではないのを今一度認識したいと思います。

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9月2日現在、黒四ダムへのルートは開通していません。白竜峡の雪渓の処理が完了するのは中頃になるのでしょうか。事前に阿曾原小屋に問い合わせるのが良いでしょう。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。