好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

異常気象も長い年月でみるならば

昨年は西之島に新しい島が出現したとのニュースがながれ、火山への関心が高まったのではないでしょうか。私たちが住む日本列島の気候がどのように日本人に影響を与えてきたのか。今日、読み終えた書籍はそんな疑問に答えてくれるものでした。

気候で読み解く日本の歴史」 田家康氏 日本経済新聞出版社刊 です。

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山歩きをしていて感じることは、なんと日本は豊かな水に恵まれた国なのだろうかということです。

暖かく乾燥した揚子江気団と熱帯モンスーン気団が衝突して起きる「梅雨」と「台風」そして、夏に猛暑をもたらした太平洋高気圧と大陸の冷たい高気圧がぶつかり合う「秋雨前線」は多くの雨を日本列島にもたらします。西高東低の冬型になれば乾いた冷たいシベリア気団が暖かく湿った日本海を渡り日本列島に大量の積雪をもたらします。

縄文時代から現代まで、私たちに欠かすことができない食糧がその地域における人口を左右する最大の要素であるという視点で歴史を追っているので大変わかりやすく、一日で読み終えてしまいました。ただ、年号や人物など日本だけでなく、ヨーロッパや中国と関連付けてくれているのです。

私は多少、頭が時系列で混乱するのを避けるために表計算ソフト「エクセル」に入力しながら読み進めました。

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過去の気候を知る手段の一つに尾瀬ヶ原泥炭層に含まれるハイマツの花粉分析があるのをはじめて知りました。ハイマツとヒメコマツの泥炭に含まれる比率から当時の夏季の気温を推し量るのだそうです。

温暖化がこのまま進めば六甲山など西日本に生えるブナは減っていき、北海道などで増加していく可能性があるようです。山歩きで目にする植物たちはその姿も変えていくのです。

人の一生、木の一生、火山の一生、地殻の一生、様々な時間の流れをフィールドで観察し、感じることができるのが「山登り・山歩き」です。

本の中では、太陽黒点活動、巨大火山噴火による硫酸エアロゾル、エルニーニョなど人間などにお構いなしの巨大サイクルと地球温暖化ガスの増大などとが私たちの将来にどういう影響をもたらすのか、予測してはいません。

ただ、私たちや後の世代は気候変動に対応して身を守り、食糧を適切に生産し流通させてコントロールする必要があり、愚かな結果を招かないよう科学と政策を高める必要があると述べています。まさに同感です。過去の戦争、争い、革命、政変はその多くは「食糧危機」がきっかけなのですから。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、自然、花、地質、鉱物などを載せています。