好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

カラビナについて

ライミングをされる方、万が一の為にと考えている方に今回はカラビナの基本についてお話しいたします。


カップなどの小物をぶら下げる為のアクセサリーカラビナはとは別の話となります。しかし、何か物をぶら下げるように作られているのですから、強度はどうなんだろうと興味を持つことは良いことなので、少し、ふれてみます。


アクセサリーカラビナならば、お買い物されるとき、商品に添付されている使用説明書を確認してください。そこには「これは、クライミングには使用できません。・・・・」など書かれているはずです。日本では安全に使うことのできる「使用荷重」たとえば、10Kgf までなどと書かれることが多いと思います。
つまり、製造メーカーは使用者が想定外の目的での使用や荷重をかけないように、注意書きを入れているのです。


そこで、こんな質問が出るかもしれません。
カラビナが壊れてしまう破断強度とは何が違うのでしょうか?」と。


この場合、私はこのように説明しています。


「破断強度は字の如く、壊れてしまう限界の強度です。私たちは物を使用する時には、大切な物を壊したり、怪我をしないよう余裕を持たせて使わなくてはいけません。壊れてもお金で解決できるものならば6倍程度、人命にかかわるものならば10倍程度の余裕を持たせます。これが安全率です。つまり、実際のクライミングでは衝撃荷重を考慮しなくてはいけないのですが、破断強度が24KN=凡そ2400kgf の器具に人間がぶら下がるものならば240kgf になるということです。まあ、二人がぶら下がっても大丈夫というところでしょうか。」

ライミング用品売り場にあるカラビナについて説明します。

大きく分けるとゲートをロックすることができる安全環付カラビナ(ロッキングカラビナ)とそれ以外のスタンダードカラビナとに分けることができます。
ここで理解していただきたいのは、安全環付カラビナがスタンダードカラビナに比べて、強度が高いわけではないということです。不用意にゲートが開いてしまうことを防止できるロック機構がついているということなのです。
強度はカラビナの形状、材質によって決まります。一般的は「オフセットD(変D)型」と呼ばれる形が強く、重量が重くなりますが、材質はアルミ系合金よりもスティール系合金が強くなります。実際の強度については、カラビナ本体に「刻印」されていますので、確認してください。

ロッキングカラビナについてもう少し詳しく説明します。

ロック機構には何種類かあるのですが、ねじ式のスクリューロックタイプ、ひねり式で開放して、手を離せばロックするツイストあるいはトリプルオートロックと呼ばれるものがあります。
用途で厳密に決まっているわけではありませんが、クライミング中のロープワークや冬季に手袋を使用するなどする場合はスクリューロックタイプが良いと思います。一方、自己確保などランヤードと併用したり、救助活動での使用の場合はオートロックタイプを選ぶと良いと思います。

ロッキングカラビナの形状は使用目的で決まってきます。
ムンターヒッチやダブルスロットタイプのビレイ器具を使用や、懸垂下降では特徴的な洋ナシ型をした「HMS」タイプを使用します。それ以外の用途では「オフセットD」などの形状を使用してください。

スタンダードカラビナについて説明します。

このタイプは各社様々な形、大きさ、カラーのものがあり、断面形状や材質、加工に各社工夫が見られます。
値段も2倍以上差があり、用途、目的、好みで選ぶことになると思います。

以前は陸上競技のトラックみたいな形のオーバル形状のものも多かったのですが、現在は強度を高めることができる「オフセットDタイプ」が主流です。
見た目で大きくわかるのはゲート形状です。大きく、ストレートゲート、ベントゲート、ワイヤーゲートの3種類です。目的別に選ぶことになると思いますが、詳しくは別の機会に改めたいと思います。
軽さにも目がいくと思います。強度に関しては下図を参照してください。大雑把に言うと、軽量タイプは小型のものが多く機能が制限されます。「軽さ」と引き換えに小さいが故の扱いにくさやゲートの狭さがあります。

社団法人 日本山岳ガイド協会 資料より

カラビナ強度図20100826.bmp

 

カラビナの破断強度についてです。
普段、聞きなれない用語が出てくるので、別図も参考にしてください。
  ポイント①ゲートは完全に閉じた状態でなくてはいけません。
  ポイント②横向きになったり、3方向に引かれてはいけません。
  ポイント③岩や構造物など堅い物で「てこ」や「ねじれ」の力がかかってはいけません

ライミングや高所作業中に転落した場合に、ロープやランヤードを通して、転落者に掛る衝撃荷重に関しては、改めて書きますが、上記のような使用状況になった場合、皆さんが想像するより簡単にカラビナは破断してしまいます。

最後に廃棄の目安についてです。
  チェック①長期間にわたるロープとの摩擦で、触って分かるくらいに摩耗してしまったもの。
  チェック②金属との摩擦によって、刻まれたような傷ができてしまったもの
  チェック③手入れが悪い、或いは長期間、屋外に曝され、本体が錆びついたり、ゲートの動きが鈍いもの
  チェック④高い所から落下させて、衝撃がかかったと考えられるもの

あらゆる道具は消耗し、劣化していきます。日頃の手入れとチェックで快適なアウトドアライフを。

 

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。