好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

日本第二の高峰、北岳に行こう

岩登り
北岳といえば、岳人にとっては北岳バットレスが真っ先に頭に浮かぶのではないでしょうか。都会の中でフリークライミングを楽しめる時代になりましたが、3000m級の山の中で登るクライミングは楽しいものです。
もうすぐ、9月です。まだまだ多くのクライマーを迎える人気のルートです。休日にはルートが混み合うかもしれません。許されるなら、天気図を見て、平日に出掛けるのが良いでしょう。

高山植物
お花好きの方は固有種「キタダケソウ」が真っ先にあげられると思います。私も名前は良く覚えているのですが花を見たのは実は一回あるかどうか、少し記憶が怪しいのです。
少し調べてみたところ、この花の開花時期は6月下旬らしく、「ハクサンイチゲ」のように覚えが良くないのは開花時期を見逃しているからではないかと思っています。多くの方も実は見逃しているか、咲き残りをやっと見たという感じかもしれません。

残念ながら、私は写真を所有していないのです。

名前は良く聞くのだけれどもきれいな花盛りに合いにくいのが、「ウルップソウ」かもしれません。
地域が北アルプスで全く違いますが、強引に写真を載せてみました。

雪倉岳ウルップソウ

ウルップソウ.jpg

岩登りも、花の植生も、どうやら岩石の質からは逃れられないようなので、今回は最もポピュラーな八本歯のコルからと北岳バットレス第四尾根からの北岳登頂を目指したときのことを書いてみます。

大樺沢を登りつめた、北岳の南の肩から東へ向かう吊尾根のコルが「八本歯のコル」です。この一帯は白い見える岩石が多く、これは石灰岩です。稜線には黒っぽい砂岩や泥岩があります。


北岳を形作る岩石のうち、この石灰岩が最も古く約一億3000万年前に堆積したものです。プレートに乗ってはるばる南太平洋からやってきたわけです。
サンゴ礁由来の石灰岩とその後にケイ酸質プランクトンが堆積してできたチャートと合わさって約7000万年前に日本海溝辺りまでやってきて、その上に砂や泥が堆積したのち、物凄い圧力でグニャグニャと褶曲させられた姿を今、私たちは見ているのです。
バットレスの下部は赤みを帯びた、雨にでも濡れたらいかにもフリクションがきかないチャートからできています。しかし、岩場全体がそうであるかというとそうではなく、色々なタイプの火山岩が出てきます。玄武岩溶岩や凝灰岩も出てきます。


このように南アルプスサンゴ礁やプランクトンなどの生物由来の堆積物、砂や泥の堆積物が強烈な圧力を受け、その上、玄武岩溶岩や火山噴出物とその熱による変化などが重なり、もみくちゃにされた複雑な地質なのです。

そのような視点で、バットレスを見直しながら、傾斜のきつく、硬くつるつるした下部岩壁に気を使った事や節目節目のバンドにホっとしたこと、シンボルのマッチ箱のピーク、ずいぶん昔に崩壊してしまったマッチ箱のコルなどを思い出していました。

南アルプスはここ北岳に限らず、このような複雑な地質を持つため、高山植物が豊富です。
特に白い石灰岩の岩の隙間に生えているのが、「石灰岩植物」といわれる植物だちです。カルシウムを好む性質がありますが、ここのように厳しい環境であること、土壌が痩せているのは他の植物が侵入しにくくしている大きな理由のようです。
この地域では「キタダケソウ」「ミヤマムラサキ」「チョウノスケソウ」「イワベンケイ」「ウサギギク」などが「石灰岩植物」になります。

ウサギギク

ウサギギク.jpg

昨日「蛇紋岩質土壌と植生」にも書きましたが、植物はその土壌によって特異性があるのを意識するのも山歩きの幅を広げてくれます。

 

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。