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好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

夏山も終盤!

レスキュー、危急時対策 道具について ★加藤智二

暑い暑いとうだるような毎日が続く下界ですが、標高の高い山々では夏の花も終わりに近づき、見上げる空の巻雲に秋は確実に近付いているのを感じます。北部東北や北海道にある前線は秋雨前線です!

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私たちは住む地表にいると気づきにくいのですが、ジェット機の機外温度表示でもわかる通り、上空9000mは極低温です。100m標高を上げると0.65度気温は低下します。

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北海道では既に秋は一足先に訪れ、富士山のベストシーズンも七・八月です。3000mのアルプス等の標高は下界に比べて凡そ20度は低いのです。2009年7月16日の「トムラウシ山遭難」から低体温症に関して復習しておきたいと思います。

私たちは快調に活動できる平熱から数度下がるだけで低体温症になってしまいます。お医者様は直腸温が35度以下に下がった状態をいうそうです。わきの下で測った体温ではありません。

体温をどうやって奪われるのでしょうか。熱(エネルギー)は対流、伝道、蒸発、放射で温度の高い方から低い方へ移動します。

対流:風によって体温が下がる現象です。空気の流れに注目です。装備でいえばゴアテックスレインウェアなど防風着が必要です。

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伝導:金属に触れたとき冷たく感じます。発泡スチロールに掌で触れると温かく感じます。液体の水は気体の水、つまり水蒸気に比べおよそ30倍もの熱を奪ってしまいます。皮膚に接触する装備や衣料に注目です。体を乾いた状態にするためのアンダーウェア、金属や雪や氷を直接触らないために、手袋や寝袋の下には断熱マットを敷くのが必要です。

蒸発:水が蒸発するときに熱が奪われます。私たちは運動によって発生した熱を発汗で冷やそうとします。では、汗や雨・雪で衣服を濡らした状態で風に吹かれると冷えます。登山中であれば、アンダーウェア、吸湿速乾性のある中間着、透湿性のすぐ得たゴアテックスなどのシェルウェアを重ね着し、運動しながら乾かすと良いです。

放射:エネルギーの高い肉体から目に見えない赤外線で放射される現象。まずは肌を露出しないこと。断熱性の高いダウンウェアなどを着ます。

 拡大表示  バーグハウス イラムダウンジャケット

鳥肌:気温が下がったとき、十分な服装や食事、運動による熱発生が無い時に起きる現象です。皮膚の血管を収縮させ毛穴を閉じたときにできます。こんな時、早めに熱の喪失を防ぎ、暖かいものを飲む、食べることが必要です。

震え:これは無意識に起きる現象です。全身の筋肉を不随意に急速に収縮させて熱を生み出そうとします。食事をしっかり摂らないと十分な熱を作ることが出来ずに低体温症が進行してしまいます。

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まだ、夏山だと侮らず、濡れた状態で強風に吹かれておきる「湿性寒冷」で起きやすい「低体温症」を未然に防いで、楽しい山歩きをしましょう。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、自然、花、地質、鉱物などを載せています。