好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

登山者を守るヘルメット

去年、「点の記」で有名になった剱岳は3000m級のピークの中で登るのに難しい山といっても良いと思います。
バリエーションでなければ、とか、一般ルートなら安全だと安易に考えてはいないでしょうか。
別山尾根から登るルートは険しいことで有名です。岩登りの要素が多く、落石・転落が数多く発生しています。


また、遭難には至っていなくても以外に多く発生しているのが、歩行中に転んだり、ふら付いたりして起こす頭部の怪我です。


頭部は人間にとって一番大切な脳があります。目耳鼻口があり、五感のうちの視覚・聴覚・味覚・嗅覚を担っています。頭部は毛細血管が多くあるため、ちょっとした切り傷でも沢山の血が出ます。


私たちガイドが、お客様と剱岳に行く時は、ハーネス・ヘルメットなど必ず装着していただいています。

例えば、花崗岩の比重は水の約3倍程あります。一辺15cm立方の花崗岩は重さ10kg程になります。この岩石が10m上から飛んでくると、時速50kmで激突することになります。想像するのも恐ろしい事態です。転落した時、ヘルメットがあれば助かったかもしれないケースもあったかもしれません。
登山中にうっかり岩に頭突きした場合、当たり前ですが、岩はびくともしません。この時、ヘルメットはそれ自身が変形したり、傷付いたりして、頭部を守ってくれるのです。

頭を守るのはハードなヘルメットばかりではありません。髪の毛が生えているのは体の自衛のためです。暑さ・寒さ・雨・風など環境変化から頭部を守るのは帽子やアウターウェアのフードです。
通気性がある素材のキャップ・ハットは夏季の強烈な日差しや熱射から頭を守ります。
ニット帽子・目出し帽やネックゲータは寒冷期において、頭部にたくさんある毛細血管からの熱の放散を防ぎ、首の動脈を寒さから守ります。

それでは、今、販売されているヘルメットに関して簡単に説明したいと思います。

ヘルメットコーナー.JPG


1:最も古くからあるタイプで、厚みのある強化ポリエチレン樹脂でシェルはできています。頑丈で、耐久性も高いものの、やや重たいです。
2:非常に軽く、発泡ポリスチレンが本体の多くを占め、最外装を薄いシェルで覆っています。このタイプは、衝撃を発泡ポリスチレン自体が潰れることで頭部を守ります。
3:シェル本体には軽いABS樹脂を使い、頭頂部に発泡ポリスチレン樹脂部材をライニングしています。軽量であり、衝撃吸収性と耐久性のバランスが取れたタイプです。

ヘルメットを選ぶ時は必ず、お店で実際に装着して決める事をお勧めします。頭の形は人それぞれで、デザインなど気に入っても、頭が痛くなって長く被っていられないものもあります。

人間を人間たらしめている「脳」を快適な状態に保つことは「遭難予防」に大いに役立ちます。
ヘルメットは岩登りだけで被るものと思っていた方も、アルプスの岩稜縦走や低山であっても梯子や鎖の続く山を安全・スマートに歩いていただきたいと思います。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。