好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

物は壊れる、けれど。

お盆の期間、蝉の鳴く中、扇風機に当たりながら。

世の中にあるものが劣化せずに、ストック(蓄積)され続けていたらどうなるか、考えてみました。

物を大切に使い続ける、手入れをして修理しながら使いづつけるということは、その物品が本来持っている性能を維持する行為だと思います。

登山用品は様々な材料からできています。例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、アルミ合金、鉄合金、合成ゴムなど製造メーカーがつけた独自の名称まで入れれば相当な種類あります。
どのような用品もある目的を持って作られています。
レインウェアは雨・風を防ぐこと、登山靴は大地をグリップし、足を怪我や低温から守ることなどです。クライミングロープはその弾性力と切れない事でクライマーを衝撃から守ります。
登山者にとって問題はその商品が必要とされるときに性能を発揮してくれるかです。もちろん、ほぼ適切なタイミングで、適切に使用しなければいけないのは言うまでもありません。
私たちは電化製品をはじめ、あらゆる物、究極的には自分自身の寿命と向き合わなくてはなりません。

多くの方の最大関心事は「いつ壊れるか。いつダメになるか。いつ買い替えるか(身体は買えません、たぶん)」だと思います。
安く買おうが、高く買おうが、自分が所有した物が長持ちしてほしいと思うのは普通ではあります。
商品に問題があったのか、使い方や保管方法に問題があったのか、通常の寿命なのか、様々なケースはあるでしょうが、消費者保護の観点から、商品の保証範囲に関してはメーカーの責任は大きくなっています。

今度は視点を変えて、少し冷静になって考えてみようと思います。それは「なぜ壊れるのか」ということです。
物の劣化の原因やプロセスを理解することで、「いつ」を先延ばしにし、壊れる前に交換するのです。

大量輸送機関や発電所やプラントや工場は壊れてしまった時の「コスト」が甚大であることが分かっているので、メンテナンス費用を初めから計算しています。

私たち登山者の例を挙げれば、製品の劣化による被害が、その場所や環境、個人の技量体力・適応能力の差によって必ずしも一定でないということでしょうか。


例えば、登山靴のポリウレタン製部材の劣化問題は何年にもわたり、業界メッセージをお客様に伝えています。靴の性能を決める様々な要素のうち、真っ先に傷んでしまう部材を使って起きたこの問題はメーカーも真剣に考えているので、最近は異なる素材を使うようになってきています。

しかし、劣化や消耗はどの部材にも起きるのですから、私は次のように考えています。
「劣化は止められない、劣化スピードを下げよう、靴が元気なうちにたくさん山に出かけよう、我が靴を手入れをして丁寧に使おう」

ポリウレタンはどのように加水分解するのか。カラビナなど軽合金はどのように破壊されるのか。レインウェアには穴を開けるのは何なのか。靴ひもが摩耗して切れるのは何が原因か。テントのポールが折れる原因は。靴下に穴を開くのは。
家にある様々な用具が劣化する原因のうち、大きな要因だけでも理解して、丁寧に扱うと商品は長持ちし、皆さんの登山の安全快適に役立つことになるでしょう。

これは間違った使い方で荷重を掛けて割れたカラビナです。

カラビナ破壊.jpg

別の話題。
もし、食べ物が腐らなかったら。物が酸化しなかったら。どうなるでしょうか。寓話で「触るものすべてをGOLD(金)にしてしまう」のがありましたが。
微生物も歯が立たないもの絶対壊れない腐らない物質を人類が作ってしまったら、どうなるでしょうか。
街中には物が溢れかえるのか。商売も成り立たないのか。食物連鎖が途絶えて・・・・。
考えただけでもおかしくなりそうです。

循環や輪廻を少しでも考えていきたいと思います。
食物連鎖、元素の循環、資金やキャッシュの循環、物品の循環、優しい気持ちの循環、笑顔の循環、向上心の連鎖、適切な生存競争などまだまだ沢山の「和・輪」があると思います。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。