好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

六甲山と花崗岩

六甲山系の地質は、その大部分が中生代白亜紀に形成された六甲花崗岩及び布引花崗閃緑岩により成っています。
白亜紀といえば、1億4300万年前から6500万年前までをいうそうで、その時代の最後を飾るのが、ユカタン半島に落ちた巨大隕石による大気候変動といわれています。
恐竜が闊歩するその時代、現在私たちが登っている花崗岩が地中深いところで生まれたわけです。ドロドロのマグマが百万年近い時間をかけてゆっくりと結晶化して固まったものです。

1億という年月はとてつもなく長い時間で、1年に1mm動くだけで、100kmも動いてしまうのです。隆起するだけでなく、プレートに乗って水平に移動し、乗り上げたり、沈みこんだりするわけです。
岩登りができるところまで地殻変動で地上に顔を出したわけです。地下にいる時は大変、丈夫な花崗岩も、一旦、地表に出てしまうと風化が始ってしまいます。

花崗岩を構成する主な鉱物は石英、長石、雲母です。これらの鉱物は温度に対する膨張率が違うので、温度変化や凍結、霜の作用によって地表付近の岩には割れ目が生じやすく、一度割れ目が生じると、雨水が割れ目を伝って入っていきます。雨水は大気中の二酸化炭素を含んでいて、長石と雲母は二酸化炭素に出会うと粘土に変質します。
地表では二酸化炭素により、また地中では浸みこんだ雨水に含まれる二酸化炭素によって、長石や雲母が変質し、風化に強い石英が残されます。
これが「マサ土」と呼ばれるものです。このマサ土は水に対する抵抗性が小さく、強い雨が降るとしばしば山崩れを発生します。
昭和13年の阪神大水害があれほどの被害をもたらしたのは、六甲山が禿山で、たくさんのマサ化したやせた土壌が溜まっていたからだといわれています。

六甲花崗岩風化.JPG

真砂といえば、富山県立山にある真砂岳は、まさにマサ化した砂に覆われています。コマクサと独特なオブジェの様な岩峰で有名な燕岳の稜線は白い砂礫に覆われています。
これらの山域では、なだらかな丸みを帯びた稜線になることが多いのです。

もう1話、花崗岩にまつわる話です。
上高地にあるウェストンレリーフを埋め込んでいる岩盤は滝谷花崗閃緑岩というのですが、この岩は信州大学教授原山智氏の調査研究によって、世界でもっとも若い花崗岩であることが明らかにされました。
もっとも若いとはどのくらい前のことなのでしょうか。六甲山の花崗岩白亜紀の5000万年から1億万年前で、この滝谷花崗閃緑岩は140万年前だそうです。
人類の歴史に較べて140万年は長い時間です。ところが、これが地球上で確認されたもっとも若い花崗岩なのだそうです。

このような火成岩周囲には大きく結晶した水晶がある可能性が高いので、、各地にある水晶岳を調べてみるのも面白いかもしれません。

水晶01.JPG