読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

雲の中

童話や漫画などで雲に乗るという感覚はどんなであろうか、と小さい頃に考えたことがありますか。
私自身はそんなにロマンチックには考えなかったものの、雷神や孫悟空が空にいることを当然のように考えていた時期はありました。
私たちは山に登る時に天気予報を気にします。稜線を流れる雲に体を濡らしたり、ガスにすっかり覆われ視界不良の中で歩く事は多いのですが、未だかつて浮いたことはありません。そもそも浮くことなど考えることはありません。
雪上でガスに巻かれて、ホワイトアウト状態の中、フワフワした感覚で心臓の鼓動ばかり感じたことはありますが。


前置きが長くなりましたが、雲はどのようにしてできるのでしょうか。


空気にはその温度によって含むことができる水蒸気量が決まっているのです。暖かい空気にはたくさんの水蒸気が、冬の冷たい空気には少しの水蒸気しか含むことができないわけです。
具体的には30℃の1㎥の空気には最大で30gの水蒸気を含むことができます。この湿った空気の塊を20℃に冷やすとそこには17gの水蒸気しか含むことができなくなります。
つまり、(30g-17g)=13gが余ってしまうわけです。冬、窓の内側の結露はわかりやすい事例です。テント山行をされる方は良くご存じですね。


さて、空気を冷やさないと雲の原料である水蒸気を水や氷の粒にすることができません。
ここで山が登場します。山に登ると寒くなります。一般的に100m上昇すると0.6℃程度気温が下がります。1000mで-6℃です。今の時期、南の海から湿った暖かい空気が1600mの山肌を駆け上るとどうなるでしょうか。
大雑把にいって、10℃程度気温が低くなるわけです。
 

稜線のガス02.JPG


空気の塊が上昇すれば、雲ができるのは、その他にどんなケースがあるでしょうか。
暖かい空気は軽く、冷たい空気は重たいのはご存知ですか。冬、ストーブの暖かい空気は天井に溜り、夏、冷蔵庫を開けると冷たい空気が足もとに流れ出ますね。


1:夏の暑い日射で地表に近い空気が温まったらどうでしょうか。夏の入道雲の中は激しい上昇気流が起きて、雲が湧き上がっています。
2:天気予報で「上空に冷たい空気がはいって、天気が不安定になります」という時はどういう状態でしょうか。つまり、冷たい空気の塊が下に下がると、押し出される形で上昇気流が起きるということになります。

雲はロマンチックではあるけれども、激しい気象現象なのです。
雲ができるだけではなく、そこで粒子同士の摩擦が生じて、「雷」の原因になります。当然、雲の中に入ったり、上空が雲で覆われれば、雨や雪に見舞われるのです。
ちなみに、上空5000mにも達する入道雲の中は地上が30℃であっても軽く0℃を下回っています。ですから、雲は氷の粒子です。

台風一過の夏山には雷はつきものです。夜明け前に出発して、午後は早いうちに小屋に戻るか下山に入るという、登山の基本を守って楽しい山にお出かけください。

 

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。