好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

夏本番、登山計画書は書きましたか。

 

登山計画書を立てていますか。 

遭難を起こすとはどういうことでしょうか。遭難と遭難でない境界線はあるのでしょうか。
死にそうな思いをしながら何とか帰ってきた人 と ほぼ無計画に山に入り、当人の体力・技量・経験をフル活用することなく携帯電話で救助を求めた人では何が違うのか少し考えてみたいと思います。

山に限らず、日々はトラブルの連続です。では、山で起きそうなトラブルを大きいな項目別に原因を分類してみましょう。

1)体調不良と体力不足、病気・持病やケガ、装備の不足や不良など、私たち自身が持っている問題から起きる危険があります。→ 人間
2)岩場、崩落地形、ガレ場、雪渓、流水など転落、滑落、落石を起こしやすい自然地形からくる危険があります。→ 地形
3)雨、雪、風、ミゾレ、雷、などが引き起こす低体温症や土石流、雪崩の原因となる気象現象を原因とする危険もあります。→ 気象
4)木道、梯子、鎖場、木橋、道標の未整備、破損などの構造物は大丈夫でしょうか。→ 構造物
5)蜂や熊などの昆虫・動物との遭遇、毒草(山菜、かぶれ)など生物が引き起こすもの危険もあります。→ 生物

準備をしっかりしたからといって、100%トラブルを防ぐことができるとは限りません。しかし、上に書き出した「人間・地形・気象・構造物・生物」の要素を押さえて、しっかりした計画書を立ててほしいと思います。
計画書を書くと準備不足が事前に発見できてくるのです。出来上がった登山計画と行動計画は参加者全員で共有し、家族や友人に計画を話しておきます。

では、計画書を書くポイントをご説明します。山岳会などに入っていない方にはこんな計画書はいかがでしょうか。計画書20100805.xls 

1)目的とする山の最新情報を把握します。コース難易度、地形、標高差、避難路、登山道の状況を地図や登山案内書などで確認します。「早立ち早着き」の行程になっていますか。同行メンバーの技量、体力に適合していますか。
2)登山時期とその山に相応しい服装、装備にしていますか。使い方に慣れていますか。気温は1000mで6℃以上下がります。
3)忘れ物防止のため、装備品のチェックリストを作っていますか。人間はうっかりミスをするのが普通です。
4)長時間歩ける筋力はありますか。入山前の体調管理(睡眠も)だけでなく、登山中の栄養と水分補給の知識はありますか。
5)日々の天気、天気予報に興味を持っていますか。週間天気図をチェックしましょう。
6)山の天気は変わり易いです。日本列島に寒気や湿った空気が流入していないか確認しておきましょう。
7)中止、コース変更、目的地変更、日程の短縮や延長、または順延の可能性を考えていますか。

登山計画書は入山口や登山指導所にある提出箱に提出します。
立山剣のある室堂では山岳警備隊の事務所へ。八ヶ岳美濃戸口など年間通じて登山者が多い山域では登山口に計画書ポストがあります。夏山シーズンの白馬駅では早朝から地元長野県警山岳警備隊へ提出することができます。
夏山や秋の紅葉シーズン以外であれば、その地域の地元警察の生活安全部地域室へ郵送するのが良いでしょう。

  • 富山県:郵送先は富山県警察本部生活安全部 地域室 〒930-8570 富山市新総曲輪1番7号
  • 長野県:各山域で提出先が違います。こちらを確認してください。
  • 山梨県:郵送・FAX・メールが可能です。こちらを確認してください 
  • 岐阜県:メール・インターネットでの届が可能です。こちらを確認してください。
  • 全国の山域で主な届け出先は(社団法人)日本山岳協会こちらを確認してください。

先に書きましたが、家族の方にその計画を話しておかなかったら、いったい誰が届けてくれるのでしょうか。もし、山岳会に所属しているのなら、事前に登山計画の提出と下山連絡が必要でしょう。
もし、予定日までに下山してこなかったら、家族はどこに届ければ良いのでしょうか。家に置いてきた登山計画書が最初の手掛かりとなるのは間違いありません。

世間では、海難事故は公共の救助が公費で捜索・救助してくれるが、山岳は違うとか、様々な噂があります。
私たちがここで考えなくてはいけないのは、自分の懐から出費するかどうかではないはずです。遭難には多額の費用が公私問わず、かかるのですから起こるべくして起きるようなレベルの遭難は起こしてはいけないという覚悟を持たなくてはいけないと思います。

100%完璧な安全を求めるのは理不尽なことです。しかし、準備をし、練習を行い、状況判断を覚悟を持って行うには、習慣として「登山計画書」を描き、周到な準備は大切なことです。


アクロバチックに見えて、冒険的で革新的なことを成し遂げた人の多くは基礎的なことをないがしろにしていません。たとえが古いかもしれませんが、ウルトラCとかEだけを練習してオリンピック選手になった人は一人もいないはずです。

登山をする人が2010年劇的に増えています。報道によれば2010年7月の単月における富士山登山者は過去30年で最も多かったとのことです。

日本はコンパクトな国土に様々な自然環境を持っています。シリアスな事故を起こさず、様々な困難を乗り越え「多様な山登り」を楽しんでもらいたいと思います。
 

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。