好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

ブームとチーム

ニュースになる遭難事故の主役はいわゆる中高年であるのはほぼ間違いないかもしれないですが、中高年だから事故を起こすと単純に考えて良いのでしょうか。○○%が中高年です、と報道されて、肩身の狭い思いをされている中高年の方々は多いと思います。
確率の話は難しそうなので、何人登山に行って何人遭難したかを、年代別に考えてはどうでしょうか。私が正確な数字を把握できていないので根拠はありませんが、確率を考えるときの分母が大きい中高年登山者がニュースにならざる負えないのは当然ではないかということです。


さて、今は山ガールが雑誌メディアに取り上げられ、若い方がたくさん山に入ってきています。この方たちに対してビジュアル面(カッコよさや可愛らしさ)以外に大自然の厳しさ、不確定さなど「ネガティブ情報」をどこまで伝えているでしょうか。
つまり、山に入る人が増えれば、ある確率で遭難者が発生するということなのです。身近な山々で若い人が遭難死したニュースは聞きたくはありません。こんなことを書くとは! とおっしゃる向きがあるかもしれません。


登山に求める目的は人それぞれだと思います。山に入る目的とは関係なく、大自然には人の力ではどうしようもない、困難や危険が内在しているのです。最近の事故の実例を見てみると、極めて困難な登山の失敗や予測しえない要因というよりも、準備不足、予測不足、予測の誤りに起因する実例が多いようです。
これは人間である以上、致し方ない部分もあります。現状は、中高年は体力は落ちても経験と慎重さで、若者は経験の少なさを大胆さと体力で事故を起こさずに山を楽しんでいると思います。


以前の話で恐縮ですが、山岳会や山岳部は登山に関する知識・経験の集積場であり、登山における感性・判断・価値観などを先輩から後輩に伝承されていくのが普通でした。細かく見れば、間違ったことも伝えたかもしれません。そんなことよりも先輩が後輩に覚悟を持って、技術や経験を伝えたことが大きかったのではないでしょうか。
若者は先輩を踏み台として、ある者はその伝承者となり、ある者は飛び出し新しい未知の登山を作り出していったのだと思います。


ところで、今の状況を考えてみたいと思います。
情報化社会ですので、実に多様な、中には合理的過ぎる情報に満ち満ちています。素晴らしい品質のハイテクノロジー素材もあります。軽量でコンパクトなレインウェア、テントなど自然に入っていくには大変恵まれた機能性衣料・用具は登山用品店にあふれています。新しく山登りを始める方や30年振りに再開する方はこれらの装備を登山用品店で見ることになるでしょう。

装備だけであれば、お金を払えば手に入れることはできます。しかし、お金を払う決定権を持つあなたが、山や自然が持つリスクを認識し、「宝くじで1億円当たるより高い確率」である山の深刻なトラブルに巻き込まれないと考えれば、買うことはないでしょう。そこまで考えなくても、より快適な装備を使うことで余裕が生じ、トラブルを未然に防いだりすることができるのですから、この機会に最新装備を手にとってはいかがでしょうか。


登山がほかのスポーツとは違うのは長時間行動し、歩いたり登ったりすること以外に、食べたり飲んだり休憩や睡眠などをして体調を適切に管理することが必要な点です。困難なグレードを持つクライミングをするのが攻撃的能力とすれば、それを支える防御の能力なのです。


今日のお題「ブームとチーム」ですが、山登りの可能性は人の数だけあるわけです。安全に楽しく、時には厳しく高い達成感をえるには、廻りを見回して、人と人の繋がりを作ることも大事だと思います。互いに刺激受け合うことで、それぞれの限界を限界を超えていくことができるのです。
携帯ゲーム機器にはあり得ないリアルの世界、汗のにおいと筋肉の軋みをチームメイトと共有してほしいと願っています。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。