好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

ロープの基本を探ってみました。

ロープの仲間で日頃、目にする機会が多いのは織糸綱です。文字通り、細長い繊維に撚りをかけてできた糸を織って細長い綱にしたものです。洋服も糸から作りますね。糸を作るときは様々な原料繊維に撚りをかけて「紡ぐ」工程が欠かせません。
もう一つの種類に鋼索があります。これはワイヤーロープとも言います。最近よく目にする防災ヘリコプターから吊り降ろしたり、吊り上げたりに使うのもワイヤーロープですね。東京スカイツリーの建設現場で何十トンもの資材を吊り上げるのにも欠かせません。


私たち登山者が使う登山用ロープの前に、繊維からできたロープ全般の話をしてみようと思います。
まずは原材料、天然素材ではジュート、麻、綿、絹あたりでしょうか。合成繊維では、ナイロン、ポリエステル、ビニロンポリプロピレンが代表選手で、最近ではダイニーマ、スペクトラなどの商品名で呼ばれる超高分子ポリエチレンや、ケブラーに代表されるアラミド素材も出てきています。
天然繊維は繊維自体が短いので、紡いで繊維にしなければなりませんが、合成繊維ならば長繊維(フィラメント)にすることができます。
様々な原料の繊維(ファイバー)から糸(ヤーン)を作ります。これらの糸(ヤーン)を撚り合わせて太い束(ストランド)にします。
ホームセンターなどで売っている紐の多くは、この太い束(ストランド)を3本や8本で編みこんだものだと思います。黄色と黒色のロープは3本を撚り合わせたものですが、おなじみですね。この三つ撚りでできたロープは「三つ打ちロープ」と呼ばれ、多くの場所で今なお、活躍中なのです。ヨットなど船舶関連では16打ちのロープもあります。


さて、登山以外にロープを使うとしたら、他にどのような人たちがいるでしょうか?ヨット、高所作業、林業、救助活動いろいろあります。どのような点が注目ポイントなのでしょうか。破断強度、弾性率、耐摩耗性、耐熱性、耐水性(吸水性)、耐候性などが、気になるところだと思います。
破断強度はいくらですか?と聞かれる機会は多いです。実は破断強度自体を抜き取って考えるのは大変問題が多いのです。実際の用途に合った破断強度のものを選ぶ必要があります。水に浮いてほしい用途もあれば、できるだけ伸びない方が良い場合もあります。


話を登山用のロープに絞りたいと思います。登山用ロープは編みロープですが、正確にはカーンマントルロープと呼ばれていますドイツ語起源らしく、内芯(カーン)と外皮(マントル)と別れているからそのように呼ばれているのだそうです。英語読みで内芯(コア)と外皮(シース)ですが、アメリカ人は何と呼ぶのでしょうか?


登山用ロープのコア内芯は編まれておらず、多数のストランドがひと束に、緩くねじれながら配置されています。カラフルな色合いの固く編まれた外皮が、紫外線や異物から内芯を保護しています。実はかかる荷重の多くを内芯が受け持ちます。「保護の外皮、荷重の内芯」と役割分担がはっきりしています。


分類上同じカーンマントルロープにはロープの伸び率によってダイナミックロープとセミスタティックロープ又はロウスタティックロープに分類されます。登山用品店で販売しているロープの多くはカーンマントル構造のダイナミックロープです。


今日はここまでにします。
次回以降に、具体的な登山用ロープの重要な性能について書いてみたいと思います。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。