好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

山の上で海に思う

7月29日に福岡県の井原山に行ってきました。この時期、オオキツネノカミソリが満開で多くの登山者で賑わいます。この山に鍾乳洞があるということで調べてみました。子供の頃、資源の少ない日本で唯一自給できる地下資源は石灰岩だと習ったと思います。関東では武甲山など無残な姿になってしまった山があるのは残念ではありますが、この白い石灰岩南アルプス3000mの稜線からこの福岡の低山まで日本各地で見ることができます。

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福岡県糸島市、井原山がある野河内渓谷付近には、三郡変成岩類に属する縞模様の片岩、暗緑色の角閃岩、結晶質石灰岩(大理石)などが分布しています。石灰岩は日本で豊富に産する鉱物でセメントの原料になる、サンゴ礁由来の鉱物です。南洋で長い年月をかけて成長し積み上がっったサンゴ礁が、海洋プレートに乗って、年に数センチというスピードで現在の日本付近まできました。海洋プレートが動いてユーラシア大陸プレートに沈み込んでいることは3/11の東日本大震災で実感されたことと思います。日本付近で沈み込みながら高い温度と圧力で変成作用を受けた後、隆起しました。

水無鍾乳洞01.JPG 入れませんが中の概念図  

水無鍾乳洞02.JPG 入り口はこんな感じ

水無鍾乳洞03.JPG 縞模様の熱変成を受けた堆積岩

水無鍾乳洞04.JPG 大理石となった石灰岩、河原の水の中で輝いていました。

井原山の野河内(のごうち)渓谷は高い熱と圧力を受けたサンゴ由来の白い石灰岩と海底で噴出した溶岩や海底に堆積した岩石とが境界となす場所なのです。雨水は空気中の二酸化炭素を溶かし込んで石灰石の山に浸透して行きます。石灰石はこのような水に溶け出しやすい性質があるために、地下に水路を形成していくのです。上流から下流に向けていくつかの地下水路に流れ込むために、水無谷は文字通り水の無い涸れた谷となっています。下流の水無部落跡の泉の水には25mg / リットルのカルシウムを溶かし込んでいます。今も地下の鍾乳洞は成長を続けているのです。

第一洞口は駐車場の先から川を渡った先、左手にあります。中に入ることはできませんが、吹き出る冷気に真夏の暑さを癒すには最高です。

暑い夏、各地の鍾乳洞などを見に行くのも良いですね。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、鉱物、水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。