好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

安全とか安全登山について

安全登山のことを書く前に身近の安全について考えてみます。
人間が作った商品や建物や橋や道路などの構造物などには、安全に快適に使うためルールが決められています。
今の社会で、もし橋が落ちたらとか、床が抜けたらなどと考えて生活している者はほとんどいないと思います。
そこには、製造者やサービス提供者は想定される「リスク」を適切にコントロールしているはずであるとの暗黙の了解が成立しているからでしょう。物やサービスを使用する度に確認するという「コスト」を社会全体で分担して、個人個人にはできるだけ負担が無いようにしているのです。


私たちが安全な商品やサービスを求めるのは悪い事ではありませんが、使っている登山用品が経年劣化したり、極めて低い確率で起きた不具合が見つかったりしたときどうしますか。自分が将来、病気になってしまった時などにどうしますか。
その原因を一つに定めて、攻め立てる事は社会全体の利益に反すると思います。将来の為に、原因を追究することと、自分に対して補償を求めることを一緒にしてはいけないと思います。
物は劣化し壊れる、その事態にどのような対策をとるかが問題なのです。点検する、修理をする、予備を持つ、体を鍛え上げるなど、応分の費用が発生してしまうのです。

リスクを認識して、それに備えて自分たちが耐えられる範囲に被害を抑えるのが正しい行動と思います。
被害と発生確率を考えたとき、そこにかけたコストに自分が納得できれば良いのです。
登山用具は一般に高額かもしれません。優れたアンダーウェア、防水透湿性のアウターウェア、登山靴など、年齢、体力、経験値など少ない方ほど、より良い商品を使う必要があります。性能の良い商品を、適切なタイミングで使用することが大切です。
実際には極端なリスクゼロ信者がそんなに多いとは思いませんが、「自分は宝くじに当たるはずだし、交通事故には遭わない」と考えてしまうことでもわかるように、当事者になると耐えがたい被害者意識がムクムクと膨らんでしまうから厄介です。

一口に安全登山と言っていますが、第一にすべきは山で起きる「トラブル」を把握することだと思います。「トラブル」がわかれば、それを招く「原因」をいくつか挙げてみてください。大きな要素だけで構いません。過去に経験した「うっかり」や「ヒヤり、ハッと」から書き出すのも良いでしょう。
情報を調べ、忘れ物チェックリストを利用したり、装備が正しく動くかどうかを確認したり、山に入る前にできることはとても多いのです。
それでもやはり、すべてを知り、適切に最良の判断ができることなど、絶対にあり得ません。
体力・気力・経験をどれだけ積み上げたとしても、不測の事態でも何とかしのぐ「あきらめない気持ち」とか「優先順位を意識した判断」とかが最後はものをいうのでしょう。

山に入って、いつもいつも「トラブル」に遭遇するわけではありません。
様々な状況で「程よい加減で素早く判断」をし、「ミスの連鎖を断ち切る」のが良いと登山だと思います。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。