好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

今でも隆起している山脈

3月11日には東日本大震災が発生しました。被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げるとともに、被災地域の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

地震には慣れている日本人であってもあまりに巨大なパワーの前にどうしようもなく、減災努力と復興への協力などやれることを一つ一つ行うしかありません。

さて、世界に目を向けると地球上のプレートの境界付近では繰り返し大きな地震が発生しています。ユーラシア大陸インド亜大陸が衝突してできたネパールヒマラヤは地震の多発地帯でもあり、ヒマラヤ山脈は今でも隆起し続けているのです。

ローツェ南壁 

ローツェ南壁.JPG

エベレストのイエローバンドで採取した岩石から生物化石が見つかったなどと古い登山記録の中で書かれていたのを読んだことがあります。
ヒマラヤ登山に行ったら自分も手に入れたいたいという気持ちがありました。日本では国立公園の石一つも持ち出してはいけないので注意してください。エベレスト登山のキャラバンではベースキャンプまでのあるバザールでアンモナイトの化石が売られていました。正確にはどこで取ってきたかもわからない代物でしたが。海の生物化石が8000mの高所で見つかるのではとどきどきしたことを思い出します。

エベレスト イエローバンド(サウスコル手前のローツェフェース上部)

エベレストイエローバンド.jpg

1988年にエベレストに行ったとき、ローツェフェースにやや黄色味かかった脆い岩の部分とサウスコルにあった小さなひとかけら。チョーオユー8201mの8000m付近にあった石灰質の岩石、パキスタンガッシャーブルムⅡ8035m頂上の大理石のようなクリーム色の岩石など、どう考えても海の底でできたものと思われる岩が地球のプレートテクトニクスを証明する物体だと思うと何物にも代え難いものに感じます。

パキスタン ガッシャーブルムⅡ(8035m)頂上手前

G2頂上8035m直前.jpg

インド亜大陸ユーラシア大陸に衝突してできたのがヒマラヤ山脈ですが、インド亜大陸は現在も年に5cm程度動いているという研究があります。このスピードだと1000万年経つと500kmも北上するわけです。もぐり込むインド亜大陸によって、ヒマラヤは高くなっているのですが、激しい風化もあり、どこまで高くなるかは研究者でも諸説ありそうです。

ところで、日本アルプスは高くなっているのでしょうか。過去百年でデータが取れた南アルプスで4mm/年というのを聞いたことがあります。南アルプス塩見岳の稜線の赤色チャートや石灰岩はもともとは南の海でできたものであると明らかだということです。

北岳バットレスのマッチ箱のコルが崩壊したのが1981年、枯れ木のテラスが崩壊したのが2010年、この間29年の間に南アルプスにはどのようなストレスがかかったのでしょうか。変化し続ける地球の営みを感じます。

日本列島が乗っているユーラシアプレートと北米プレートにフィリピン海プレートと太平洋プレートがもぐり込む構造になっていることが地震の多発と多くの火山の原因となっているのは多くの方はご存知だと思います。止めることのできない地球の営みです。被害が大きくならないよう様々なリスクを減らす努力が必要だと痛感しています。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、鉱物、水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。