好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

白馬三山は非対称山稜です。

後立山連峰は概して東側(信州側)は鋭く切れ落ち、西側(富山側)はなだらかな斜面が広がっています。日本は世界中を見ても例がない程の豪雪地帯です。日本海でたっぷりと水分を補給した冷たい風が北アルプスにぶつかって降る雪が北アルプスの景観を作ったといえます。

夏:

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冬:

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雪山登山者であればご存知の「雪庇」は雪が風下に吹き溜まってできたものです。庇という漢字が使われているので、雪でできた庇部分だけが「雪庇」であると思っている方も多いかと思いますが、学問的には「風下側にできた吹き溜まり」を雪庇と呼びます。吹き溜まるところがあれば、吹き払われるところもあるわけです。

白馬の山稜をまだまだ雪深いゴールデンウィークに歩いてみると、黒部側のなだらかな斜面は強い風に雪は吹き払われて、白馬大雪渓のある信州側に吹き溜まっています。雪庇の形状は風下側の形状や傾斜によって大きく違います。コル付近など比較的緩やかな地形には大量の雪が吹き溜まります。だから、夏山まで大雪渓が残るのです。

さて、白馬岳の頂上に立ってみますと、東側が切れ落ちていていることがすぐわかります。3月から5月頃に白馬主稜の頂上直下は大変急な雪壁なっています。年によってはトンネルを空けて頂上に出ることもあります。傾斜が急になってくるとあまり大量には吹き溜まることができずに、急な雪壁となってしまうのです。先端は庇というより波頭のようです。

なぜ、こんなに急になってしまったのでしょうか。この答えもやはり雪にありそうです。風下側にできた雪の吹き溜まりが雪庇ですが、溜まるばかりではありません。せり出した庇は繰り返し崩れ落ちていくのです。この雪が崩れるときのパワーが岩を削り取っていったのです。長い年月をかければ、水の力でも、雪の力でも地形を変えてしまうのですね。

日本アルプスの隆起は地球の営みと一体です。雨・風・雪・温度差などによる風化も自然の流れです。通常であれば数mm / 年という変動が、地震のように一気に数m / 秒 となって、多くの人命を破壊してしまいます。

東北地方太平洋沖地震により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるともに、被災された皆様、そのご家族の皆様に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、鉱物、水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。