好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

歩行の心得

先日、好日山荘の若手社員向けに雪山研修を行いました。研修中に多くの新しい知識や経験が得られたわけです。私たちは、両親に祝福されて初めて立ち上がってから、何十年と歩き続けています。それ故、歩き方ひとつとっても個性があり、大人になってから修正するのが大変なのです。

登山の特徴は不整地の登りや下りを長時間にわたって続けるのですが、漫然と歩く街中での歩き方を持ち込んで良いのでしょうか。

登山の基本は歩くことですから、改めてポイントを挙げてみます。
01:歩き始めはゆっくりとする。
02:地面を踏みしめる気持ちになって、一歩毎に体重を確実に足裏全体に乗せるように歩くこと。
03:歩幅を狭く、小股で歩くこと。
04:歩き始めも、緩やかな登りも下りも、スピードや歩幅を変えないように心がけること。
05:どたどたと歩かない、丁寧に歩くこと。
06:脚を前に蹴り出すのではなく、膝頭を前に出す感じで一歩を歩くこと。
07:腰を中心に安定させ、自分の頭と膝頭が鉛直に結ばれる感じで歩くこと。
08:登りが急になり出したら、意識して小股で歩くこと。
09:登りでは脚を持ち上げるのではなく、膝を持ち上げるようにすること。
10:下りでは、意識して足を踏みしめて歩くこと。
11:下りの衝撃で筋肉が損傷しやすいので、段差を小さくゆっくり歩くこと。
12:地形や地物など周囲の風景を良く見て、記憶にとどめる事。

泥道、ザレた道、ゴロゴロ転石の河原、雪道、雪渓、雪面など、靴裏に接触する状況だけでも様々です。その上、登り下りやトラバースなどもあります。荷物の重さ、疲労の具合など、登山者にとってひとつとしてまったく同じ状況はないのです。

実際に山で歩かないと身に付かないことも多いわけですが、現代人は歩行時間そのものが少なく、管理されたところばかり歩くようになってしまいました。

あれやこれやと特殊なテクニックを身につけようとするのではなく、まずは上に挙げたポイントを安定してできるだけの「自分に合った筋力」を身に付けましょう。そういう「意識」と「トレーニングする努力」を持ちながら、身近な山で試してみてください。

 

アイゼン歩行は上に述べた点を確実にこなすことが基本です。靴裏とアイゼンに隙間が生じてグラグラしないようセッティングしておくのは言うまでもないことです。

その上で付け加えるポイントは挙げてみました。
01:アイゼンを装着する状況ではピッケルは必須なので、コンビネーションで習熟すること。
02:前爪を除く足裏にあるアイゼンの爪すべてをくい込ませること。
03:足踏みし、爪先を垂直に抜き差しすることを強く意識すること。
04:雪氷に食い込ませるのであるから爪はしっかり尖らせておくこと。ズボンの裾をアイゼンの爪で破ってしまうのは、本人の責任であって、爪の責任ではないのです。

指導の最初に握りこぶしひとつ分空けて、ガニ股で歩く指導をする方もいますが、最初のポイントは「爪先を垂直に抜き差しすること」なのです。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、鉱物、水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。