好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

高山植物とIT技術の接点

この季節、山では様々な花が咲いています。
海抜1000m以下の山々でもゆっくり歩けば、小さな花々を見つけることができます。中部山岳地帯の高山植物が咲き誇る地域では短い夏の終盤に差し掛かっています。
今年は雪渓が多く残り、場所によっては同じ山でも花盛りのところもあるかもしれません。

人気の高山植物であるコマクサがどのようなところに咲いていたか覚えていますか。

1:マッチ棒のような幼いコマクサ。朝露を集めてたくましく生き抜こうとしています。

駒草幼苗2.jpgのサムネール画像

2:花が咲くまでまだ何年もかかるでしょう。

駒草幼苗4.jpg

3:燕岳の群落。森林限界を超えたこの稜線を歩くとき、花咲くコマクサ以外にも幼い子供たちがいる事を思い出して下さい。

  駒草群落.jpg

中部山岳地帯に白馬岳、杓子岳周辺、蓮華岳、燕岳、八ヶ岳硫黄岳周辺などの砂礫地に咲くコマクサは何といっても高山植物の中では一番人気です。
殺風景な砂礫地にあの可憐なピンクの花を咲き乱れさせ、訪れる登山者の目を楽しませてくれるからでしょうが、その和名は意外にも花の形が馬、つまり駒の顔に似ていることに由来します。
このコマクサは過酷な環境である砂礫地など何も生育していない土地に最初に根づく植物として重要な役割を担っているのです。
高山植物は短い夏、乏しい栄養、厳しい寒さなど、平地の植物が侵入できない環境だからこそ、長い年月存在で来ているのです。
人間の活動などで環境が変わり、その土地の養分が豊かになると、やがて他の植物に譲り、別の土地に移転しなければならない過酷な運命を背負っているのです。しかし、森林限界を超える過酷なアルプスの稜線が豊かな栄養を得たとしたら、地球環境が激変しているということですから、そうはあってほしくないものです。
花崗岩の砂礫のような厳しい環境に耐えていけるのも、細いしなやかな根が地中に深くもぐり、地上部からは考えられないほど広くのびているからなのです。
コマクサは葉柄や花茎のかなりの部分も砂礫に埋まっており、地下部は地上部の五倍以上の長さに達していると言われています。
種から花が咲くまでにおよそ7~8年かかります。

可憐な高山植物を見て、少し環境問題に関心ができた方にこんな話題はいかがでしょうか。

2010/8/11付 日本経済新聞 朝刊 に携帯電話のカメラで撮影した花の写真を利用するアイデアが掲載されていました。

携帯の全地球測位システム(GPS)機能を利用し、撮影場所や時刻が正確にわかるので、植物の種類や分布を一元化して分析でき、継続的にデータを集めれば、分布の変化も把握できるので面白いアイデアだと思います。
画像を解析して種を自動的に分類する技術も早期に開発されれば、鳥や昆虫の分布調査にも生かせるとのことです。

登山者の趣味や趣向はまちまちですが、氷河時代の生き残り生物や温暖化や雪線の上昇、下界生物の侵入など継続的に情報収集できるので協力できるのではないでしょうか。
登山の楽しみ方の一つかもしれません。

もう一件、NTTがこの5月に開設したサイトを紹介したいと思います。
携帯で撮った花の種類を自動的に判別する仕組みも搭載し,花びらの枚数などを入力して候補を絞り込めば、60%前後の確率で的中するといいます。皆が使い改善していくことで精度もあがるのでしょう。
データが積み重なり、全国の花の分布図が自然にできあがっていくとのアイデアです。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。