好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

明日は7月1日 富士山山開き

明日、7月1日は今年世界歴史遺産に認定された「富士山」の山開きです。

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2013年の富士山登山が開始されるわけですが、歴史ある富士山登山を明治34年に発行された野中至著「富士案内」からその一部に現在に通じる部分があるのではないかと思い読んでみましたので、ご紹介します。

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「我が敷島(しきしま)のやまと男子(おのこ)女子(めのこ)は言うも更なり諸越人(もろこしびと)や高麗人(こまびと)さては眼彩毛色(めいろけいろ)のかわれる西洋人に至るまで苟(いやし)くも日本の名を知れるものは富士山なる固有名詞を知らざるもの鮮(すくな)し。是れ併(しか)しながら其山が日本第一の高山なるが為めのみにあらず、其位置は日本本州の中部に峙(そばだ)ち、其姿勢は端麗にして美人の新(あらた)に出でたらんが如く、蒼海を前に控え大川(たいせん)を左右に帯び八湖は其麓を繞(めぐ)ぐり八嶽は其の頂に聳(そび)え、其餘脈(よみゃく)は施いて縦横に奔りて四方の連山となり、此山惟(やまひご)り魏然(ぎぜん)として衆嶽(しゅうがく)の宗となる。・・・・・・(中略)・・・・・抑々(そもそも)此山は駿河甲斐及び遠江の三国に跨り海抜三千七百八十五米突(即ち三十四町三十九間にして一萬二千四百九十尺餘(よ)北緯三十五度二十二分東経百三十八度四十四分に位(くらい)せり。・・・・・」


登山口はこのように書かれています。今最も多くの登山者と観光客が訪れるのは山梨県吉田口登山道です。

「一に曰く大宮口(表口叉村山口)二に曰く須山口(叉南口)三に曰く中畑口(東表口叉新道)四に曰く須走口(叉東口)五に曰く北口(叉吉田口)是なり。・・」

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登山季節に関しては、今とあまり変わりません。

「登山期節は毎年七八両月なり(舊暦六月一日を山開きとし七月二十七日を山仕舞とす)此期間は毎合石室皆戸を開きて客を待てり。特に土用中は山頂の天気多くは好し、然れども此頂は恰も白衣の信徒群を成して登山するが故に雑閙(ざっとう)甚しく、時に或いは石室に溢れ宿泊に苦しむとあり、故に寧ろ七月上旬叉は八月下旬を宜しとす、唯だ此頃は山頂の天気陰晴常ならざれば能く見定めて登るべし、・・・」


当時の登降時間はどう記載されているかとみてみると、やはり夜間に登っていました。麓から頂上まで8~9時間で登っていたようで現在に比べて健脚ですね。

「登降時間は第一身体の強弱と第二登山の目的如何に関するが故に強ち一定し難いけれども、同じくば登るからには山頂の光景を一通り見るものとして時刻を打算すれば健足家は何れの道よりするも八九時間、普通十時間乃至十二時間要するが如し(これ以上要すべき人は行着く先に休泊し気任せ否な足任せするも妨げなし、唯だ大宮、中畑、須走、吉田、等のいづれの登山口にても前晩までに到着し得べく打算して住所を発し、着後登山の準備をなし置き翌朝二時若しくは三時頃発足する時は下界の炎暑を避くるを得て日中天に達する頃は既に天気冷々たる山上の人となるとを得べし、然らざれば日中原野叉は林間を跋渉せざるべからず、是れ傾斜を加ふるに炎暑の苦を以てするもの寧ろ策の得たるものに非ず然れども全然夜行せんとは徒に疲労を買ひ其割合に渉取らぬものなり、故に前夜は必ず一睡してねいを養うべし、斯くて各室に休息して山巓(さんてん)に達する頃は殆ど正午なるべければ、夫(それ)より晝食(ちうじき)の後ち社に参拝し、噴火坑内に下り、晩餐の後ち夜中凄愴の景を見、翌朝日出を拜し、朝飯の後山頂の外輪を一周して内外の景を合賞せよ午後に至れば多くは雲烟(うんねん)下界を封ずるとあるべし、斯くて元と來(き)し路を再びするか、叉は他の路を下るもそは便宜たるべし、尤も帰途の案内は別に記せり、先づ普通登山見物の順序は大略斯くの如し」

登山の注意点として何点かご紹介すると

1:途中の風雨は登山の妨害となるから天気を能く天気を見定めるのが肝要

2:風山上より吹き下ろすときは必ず山頂は風雨あるべし、休泊して登山を見合わすべし

3:最初は思うより平易なるが故に急行するものあり、是等は七八合に至り必ず大いに疲労すべし、故に始終成るべく徐行すべし、フワリフワリと柔らかに踏むべし

4:只恐るべきは風雨のみ、故に此の場合石室に籠居して決して軽々しく踏み出すべからず

5:人より劇しき頭痛に悩むことあれど、五合目に下れば忽ち平癒すべし

6:空腹にては疲労甚だしければ少量づつ度々用ゆるを可とする

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明治から大正にかけてこの本を読んで富士山に向かった人も多かったのでしょうか。あらゆる装備は今と比べるレベルではありません。五合目まで歩かずに行くことができるのですが、麓の浅間神社に参って一合目から登ってみると富士山が一段と輝くと思います。

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