好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

2019GW

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2019年のゴールデンウィークが始まりましたね。長い方で10日間と今年はまとまった大型連休。このガイドブログを読まれている方もこのタイミングで山に行かれる方も多いでしょう。私のGW前半はバックカントリーガイドで御嶽山と仙丈ヶ岳へ。

※写真は小仙丈からの富士山や北岳ー間ノ岳。

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27日は木曽駒ヶ岳周辺でのガイドを予定していたのですが、冬型の気圧配置となり、強い寒気が流れ込んでいましたので『低温』、それに『降雪』。だけでなく『強い風』を考慮して地形的にガイドツアーが出来そうな御嶽山に変更。

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風下となる斜面方位からアクセスしましたが、予報よりも強い風。森林限界をベースに少しだけアルパインエリアに足を伸ばして行動しました。厳冬期と同じようなウェアのレイヤリングで。山麓は木々の花々が咲いてましたが山は寒かった〜。

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 28日の仙丈ヶ岳。快晴の予報でしたが、高層の雲が増えてハロと環水平アークが見えた1日。登山日和でした。(※写真の小仙丈カールを滑走したりしました。)

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29日は事前の予報では日中は比較的良く、夜頃崩れるという予報でしたが、現場では徐々に霧に覆われて下り坂のお天気。予報より推移が早そうでしたのでピークまで行かず、藪沢を滑走し、林道を歩き歌宿まで帰りました。※写真は赤石山脈では珍しい?雷鳥カップル。

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※気象庁HPより引用

4/30は標高の高いアルパインエリアでもまとまった雨や降雪の予報。横尾から涸沢までの区間でも雪崩リスクは高まりますし、この時期、衣服や身体が濡れてしまうのはかなり嫌な事。1日のスッキリしない天気、2日の冬型気圧配置と寒気の入りを考え、予定していた奥穂高岳へのガイドは中止にしました。GW後半の天気予報は晴れマークが続き天候は良いみたいですね。天候が良いという事は気象条件的には優しくはなりますが、山の難易度が下がる訳ではないです。最低気温を見ると今日より連休後半の方が低い。想像出来るあたり前の事なのですが、アルパインエリアに関して言えば積雪表面は一旦融解し、再凍結しているという事。日射影響のある斜面の積雪表面は日中緩むかもしれませんが、影響の無い斜面はカチコチのまま。そして日射で融解した斜面も朝晩は冷え込みで再凍結。装備は積雪に対応した物になります。

下記↓参考に

guide-column.hatenablog.com

 

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仙丈ヶ岳やGW前に1週間ほど滞在していた立山でも雄山に登るのにトレッキングシューズやチェーンスパイクという方を多数見かけました。3000m峰に雪山対応でない靴で、さらにアイゼン、ピッケル無し???風、日射など一瞬で雪面は変わります。私にはそんな装備では恐ろしくて絶対無理!!!

 想像力を働かせて、ありうるハザード(危険要因)を考えそれをマネジメントしてリスクを減らす。実際に現場に入ると事前に想像した事と状況は違います。現場では当然ですが対応する力が必要ですし、それらハザードを認知してさらにマネジメントする力が必要です。※認知できないリスクはマネジメント出来ません。

この時期のアルパインエリアは気象条件が優しくなり行ける機会は増えますが、技術的に優しくなる訳でもないし、装備もイージーな物になる訳ではなく、基本装備は厳冬期と同じです。楽しい登山ですがメリハリは大切です。どうかご安全にGWの登山を。私も心してGW後半の登山を行います。