久しぶりの投稿となります。。
毎年、夏から秋にかけて「長野県山岳遭難防止対策協会」の常駐隊員として穂高を中心とする山域で救助活動をしていますが、今年も行ってまいりました。
夏前半は件数も少なく、出番もありませんでしたが、やはりどこかで辻褄が合うようになっているようで、夏の終わりから秋にかけてはそれなりに忙しくなってしまいました。
私が出動した事例を挙げると、
1. ザイテングラートを下山中、滑落して下腿部を骨折
2. ザイテングラートを登山中、転倒して手首を骨折
3. 涸沢岳付近を登山中、100mほど滑落して死亡
4. 涸沢から横尾に向け下山中、足を踏み外して足首捻挫
5. 山小屋の石段で足を踏み外し、足首捻挫
というラインナップでした。
特に秋の涸沢は多くのツアー客が多く、高齢者も多いため、体力不足による遭難や、少し足を踏み外しただけでも捻挫してしまう方が多いような印象を持ちました。また、ハイカットの靴を履いていてもきちんと靴ひもを締めていなかったことから捻挫に繋がってしまうということもあるようです。
また、涸沢岳で亡くなった登山者は頭部に致命傷を負っていたのですが、遺留品をまとめるために遭難者のザックを開けてみると、なんとヘルメットがザックの中に入っていました。
「ヘルメットさえ着用していれば助かったかもしれないのに…」
となんともやりきれない思いになりました。
岩稜帯を歩いていると、ヘルメットを被らずに、ザックに付けて歩いている人をよく見かけます。被る被らないはそれぞれの自由なので強制するようなことはありませんが、「持っているのなら被ったら良いのになあ」とは思います。
最新モデルのヘルメットは、軽量で強度も高いものが多数あります。デザインも昔に比べるとかっこいいものが増えてますので是非、岩稜帯では着用して頂きたいものです。
救助活動の為、涸沢のヘリポートに着陸する長野県警ヘリ『やまびこ1号』
綺麗だった紅葉も終わり、長い冬へと忙しく季節が過ぎていきます。