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好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

雪への理解を深める VOL.02 「雪の縞々は気象の記憶装置」

降り積もった雪は圧縮(圧密といっています)され、融ける一方、更に上には雪が積もっていきます。この現象は5月ゴールデンウィーク頃まで繰り返され、夏から秋に向っては減り続けていきます。雪山登山の知識とスキー技術があれば、これからはまさに最高に楽しい季節の到来ですね。

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一方、融雪期の一部のエリアでは大規模な全層雪崩も発生することがあります。剣岳長次郎谷出合。このような水分と土砂をたっぷり含んだ破壊力の雪崩には、遭うこと自体を避ける知見と努力、臆病さが必要となります。この時は5月連休、季節外れの大雨が降り続いた後に発生しました。

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厳冬期には手が付けられなかったルートも、3月半ばから5月には素晴らしい登山をすることもできます。

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雪は降ったり止んだり、風に吹き飛ばされたり吹き溜まったりします。前回のコラムVOL.01 で書いたように積雪にはたくさんの空気が含まれています。ですから、積雪の中には積もっていたその時間の空気やその時の気温情報が含まれているのです。

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大陸からもたらされた黄砂がその日付をたどる道標にもなります。

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ショベルとスノーソーを使って、積雪を掘ってその断面を調査することがあります。縞々の中には、過去に積雪表面が融けたり、雨が染み込んだ後に気温が低下するなどしてできる「氷板」が見つかることもあります。雪洞を構築するときにこれが出てくるとなかなか掘れず厄介ですね。

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上の写真は今年2017年2月23日深夜に発生した大雪崩の破断面です。深夜ですから登山者が雪崩発生の引き金になった訳ではないでしょう。2mもの積雪の中に広範囲にわたって弱層といわれる密着度の弱い層が、その後に降り積もった積雪の重みに耐えきれず、引きちぎられました。三か所の位置もリッジラインの下端付近で似通っています。

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雪があれば全てが雪山?、冬山はいつからいつ? 春山なら安全?といった単純な線引きができません。有るがままの自然環境フィールドで行うアウトドアスポーツ、それが登山というものです。

徒手空拳で山には行けませんが、捜索探索する道具さえあれば登山が安全になるという道具信仰に陥らないよう、登山者自身が過去に起こした自分の失敗や他人の失敗原因を考察し、様々な講習で知識や体験を積み重ね、危険で不安定な条件の重なったコースや時期に入り込まないようにしたいと思います。

自然現象に興味を持つが、勝負にいかない! 謙虚に臆病であれ!

好日山荘登山学校の実技にいらっしゃいませんか。

夏から秋までの南・北アルプスと屋久島まで新たな企画が登山学校HPにも掲載、お申し込みが可能になりました。3泊4日の縦走主体です。

目標に向かって日々の山歩きも大いに楽しんでいきましょう。

季節の山をご一緒することで、自然をたたえ、生命をいつくしみながら、参加された皆様が気分よく健康に近づけるお手伝いをしています。安全と安心の道具の使い方、自然に入るときの準備など一歩一歩体験実践していきます。

加藤校長と歩こう シリーズ

山田まゆみ教室 シリーズ

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