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好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

登山と気象の関わり VOL.01 「季節の変わり目 秋の嵐にご注意」

猛暑が当たり前となった近年ですが、四季のある日本では春5月、秋10月は季節の変わり目に起きる気象遭難が忘れそうなタイミングで発生しています。

1989年10月の立山、2006年10月の白馬岳と奥穂高岳、2012年5月の白馬岳など記憶にある方も多いかと思います。

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北アルプスなど標高が高い山岳エリアは森林限界を超え、登山ルートは風雨・風雪で吹き曝しとなります。もちろん3000m近くともなれば私たちの住むところに比べ、20℃ほども低いわけです。その上で、低気圧と寒冷前線の通過、それに伴う急激な気温の低下が起きます。

下図は「気象人」様から転載です。

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2006年10月7日は低気圧通過後は西高東低の冬型の気圧配置となり、上空の冷たい空気が山岳地帯を吹き荒れました。

気象遭難と区分される事例であっても、無事に登山から自宅に帰った登山者もたくさんいるわけです。悪天候に遭遇した時、私たちがなんとしても避けなければいけないのが「低体温症」です。金田正樹Dr による登山研修所「研修」文献を参考にしました。

1:人は重要器官「脳」が正常に働く36度付近でないとまともに生きていけません。体温は筋肉の収縮によって生み出され、その活動エネルギーは食物からしか得られないのです。

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2:体温が奪われるのは科学的な現象なので、対策は可能です。

・帽子やネックゲーター、ウェアの重ね着、手袋の着用などで体表を露出しないようにして放射を抑えます。・風雨を防ぐレインウェアで温かい衣服内空気を失わないよう対流をコントロールします。・汗や濡れ、金属など伝導の高い物質に肌を密着させない工夫をします。・濡れた衣服のまま風に吹かれて水分が蒸発するときに気化熱を失うので、肌をドライな状態に保ちレインウェアなどハードシェルで身を覆います。

最近、私は肌に調節接するアンダーウェアはファイントラックのスキンメッシュ素材を良く使っています。

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スキンメッシュは水分を含まず、重ねたニットが汗や水分を吸い上げてしまうと、スキンメッシュそのものはカラカラと乾いた状態になります。

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2009年7月の北海道トムラウシ山の事例からも教訓を得られると思います。「ヨロヨロと真っ直ぐに歩けない。震えが止まらない」などの状態が出現したら速やかに体温保持と熱と熱源供給を行いましょう。

3:低体温症が起きる条件は人が作り出す

・疲労と食料(カロリー)摂取不足。疲労や気温低下など条件が厳しければ、よりたくさん食べなくてはいけません。温かい飲み物で加温することも考えます。

・不適切な衣服と防寒対策の不備。綿素材はもっての外ですが、乾いた衣服と頭、頸、手首、手足を覆い、防風ウェアを着用します。 

ツェルトなどビバーク用品を早めに使用します。停滞して運動負荷が小さい時、熱発生が少ないので、ツェルトを被り体温を温存するようにします。

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最後に「雨氷」をご紹介します。写真は六甲山の冬に見つけたものです。

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-4度程度になっても凍らない過冷却状態の1mm程の雨粒が地表の事物にぶつかった衝撃で急激に凍結してできる透明な氷です。

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樹氷は1/100mm程の霧粒で―20度程度でも凍らない過冷却水滴で、事物や樹木に霧氷となります。

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2012年5月の事例に関しては、富山県立山カルデラ博物館の飯田肇氏から「雨氷による気象遭難ー2012年5月白馬岳」が報告されていますので一読をお勧めします。

 

★ 11月3日から6日は屋久島宮之浦岳は募集開始しました。 お早めにどうぞ。

★ 11月19日から28日のネパールパノラマトレックを募集開始しました。好日山荘のバックアップを得て、少人数4名から催行(最大15名)です。世界最高峰「エベレスト」と「アマダブラム」「カンテガ」「 タムセルク」など巨峰を巡るトレッキングです。

★ 六甲山を歩き尽そう!シーズン5の日程が決まりました。近日中に申し込み可能となります。10/19(水)  11/16(水)  12/14(水)  1/18(水)  2/8(水) カレンダーチェックよろしくお願いします。全5回ですが、どの回でも一回のみでもご参加可能です。マイナーなルート、破線ルート、廃道ルートを地図と現場と睨めっこしたり、神戸の夜景を見ながら下山したり、交通の便の良い六甲山だからできる登山ツアーです。

★ 少し早いですが、10/13(木)六甲山でウインターギアに馴れよう!を企画しました。アイゼン歩行や前爪の使い方などの基本を体験します。まだ、アイゼンを持っていない方、新品のアイゼンでぶっつけ本番にちょっと不安を感じている方向けです。