今年も長野県山岳遭難防止対策協会『夏山常駐パトロール隊』の一員として、少ない期間ですが活動しています。
幸いにも今年は死亡事故は減っています。これもヘルメットの着用が一般的なものになってきた効果かなと感じています。
しかし近年、パーティーが山行途中で分裂し、そこから遭難へと繋がるケースが増えているように思います。
実際に今年発生したケースを紹介したいと思います。
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AさんとBさんの2名で構成されたパーティーは、目的の山を登り終わり下山にさしかかりました。しかし下山途中でBさんが「足が痛いので先に下りてて」とAさんに言います。AさんはBさんに言われた通り、先に下りて自宅まで帰ってしまいました。
下山した翌日、AさんがBさんに電話しても通じないことから警察に通報。県警ヘリでの捜索が行われ、Bさんは遺体で発見されました。下山途中で滑落したものと思われます。
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4人以上のパーティーである程度経験を積んだメンバーがいる場合は、パーティーを分けて行動することもあり得ます。しかし今回の場合は2人だけのパーティーであり、しかも足を痛めている人を一人で置き去りにして自宅まで帰ってしまうというのはあってはならない行為です。
これ以外にも、疲労、熱中症や高山病といった、体調管理がしっかりと行われていないのが原因で遭難となるケースも増えてきています。
高山病で行動不能となった遭難者の背負い搬送。
長野県警ヘリ「やまびこ1号」によるホイストでの救助。
警察のヘリならただ。という人がよくいますが、県警ヘリの使用には莫大な税金がかかっています。
我々のような民間人が救助に出動した場合は少なからず費用が請求されます。ごく希にですが、費用発生を伝えると、救助はいらないといわれる場合もあります。
ちょっとしたことで救助要請をするのはいけませんが、いざというときに躊躇なく救助を呼べるように山岳保険には必ず加入しておきましょう。