好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

白い話題が増えてきましたが、今年の紅葉を振り返ってみました。

日本の秋は「錦秋」といって、平安の歌に歌われるほど日本人の感性に響くものですね。「もみじ」の語源も「もみづ、染色する」からといいます。

f:id:katomoji:20151201115047j:plain

4月から毎月、京都トレイルを小分けして歩いてきました。昨日は高雄高山寺から化野念仏寺は清滝川に沿って歩く、もみじが美しいところです。

今年の秋を振り返ってみると、9月のシルバーウィークから月末のアルプスの紅葉がとても素晴らしく、11月の近郊の紅葉をとても期待していました。でも、実際には今年の近郊の山々の紅葉は照りも映えも悪く、ささやかな秋を見つける山歩きとなりました。

f:id:katomoji:20151201115430j:plain

紅葉のメカニズムを復習してみたいと思います。

紅葉には黄色くなる黄葉と赤くなる紅葉があります。山好きの方が良く目にするブナは黄葉ですね。葉っぱには緑色に見えるクロロフィル(葉緑素)と黄色に見えるカロチノイド(ルテインやカロテン)が含まれています。春から夏まではせっせ、せっせと光合成で糖分を作るクロロフィルが優勢なので緑に見えるわけです。

f:id:katomoji:20151201120504j:plain

秋になって日照時間が短くなり気温が下がってくると、光合成の効率も低下し、クロロフィルも分解されてきます。植物のもつ水分を吸い上げる力は弱くなり、葉っぱから蒸発する水分も増え、葉っぱを緑に保つための維持コストが生産される糖分を上回ってきます。葉を落として冬を乗り越える手段、それが落葉です。街路樹の黄葉で目立つ銀杏も同じ仕組みです。

f:id:katomoji:20151201121614j:plain

さて、もう一つの紅葉のメカニズムは黄色とは異なります。最初の写真のモミジは11/30 京都 化野念仏寺のモミジです。このアントシアニン系の赤い色素は元々の葉には含まれていません。

f:id:katomoji:20151201122110j:plain

秋になると木々の光合成効率が低下して落葉の準備を始めるのは(黄葉と)同じです。異なるのは葉の付け根に「離層」という細胞層を作って、葉っぱで合成した栄養や水分の行き来を止めてしまいます。葉に留まった糖分と元々あった物質とが反応して、赤色に見えるアントシアニン系物質に変わります。

f:id:katomoji:20151201122835j:plain

一説によれば気温が8度程度に下がる一方、日中はよく日が当たると、クロロフィルが最後のひと働きでしっかり糖分を合成するので、鮮やかな赤が見られるそうです。

振り返って今年の秋、標高の低い山々の紅葉が散々だったのは環境変化の表れのひとつなのかもしれません。

f:id:katomoji:20151201123309j:plain

今年のモミジを拡大すると、赤い発色がまだらですね。気温が下がらず「離層形成」が遅れて糖分が幹に流れたのかも、などと勝手に想像してみました。12月に入って一気に冷え、茶色い落ち葉となってしまうのでしょうか。

雪の百名山と名峰シリーズがいよいよ近づいてきました。雪山に一緒に出掛けませんか。

国立登山研修所友の会のホームページをリニューアルしました。登山に役立つ情報がたくさんあります。自分に役立つ情報を見つけてみてください。