好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

お店で良く聞かれる質問①                              「ライト&ファーストvs 備えあれば憂いなし」

登山学校の担当以外の日は白馬店に勤務しています。白馬店には登山出発直前、または、下山してきたばかりというお客様が大勢お立ち寄りになります(いつもありがとうございます!!)。

 

登山直前、直後のお客様から頂くホットなご質問を定期的に紹介したいと思います。

第一弾は「荷物の量」

 

「登山者によって荷物の量が全然違いました。軽装、重装備どっちが正しいでしょうか?」

「軽装で山に入ったら怖いおじさまに『山を舐めるな!」と怒られた」反対に、「どんな天候、コンディションでも対応出来て、何かあった時の緊急時装備をすべて揃えると荷物の量がとんでもないことに・・・」なんて言葉も。

登山雑誌でも「ライト&ファースト」特集記事と同じ本の中で「危急時に必要な〇〇と〇〇と〇〇と・・・・は必ず持ちましょう」という記事があったり「どっちだー」と思ってしまう方もいらっしゃると思います。

 

簡潔に答えるには難しい質問ですね。

 

いずれもメリット、デメリットがあります。

軽装備=荷物が軽いので、行動が楽で早くバランスが良い/危急時に対応が難しい。

重装備=危急時に道具・食糧の力で対応できる幅が広がる/重いので体力消耗が激しく、遅くなり、バランスが悪い。

 

誰もが分る当たり前の事ですよね。では、どうすれば良いのか。

これまた簡単で当たり前のことをすればよいのです。各デメリットを他の方法でカバーすると良いと思います。

*同じ装備でも軽い装備を選ぶ。最新の装備に買い替える(お金に物を言わせる!!)

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*フリーズドライ、サプリ等の軽量の食事、または、山小屋等で食事を取る。

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*重複する装備を片方のみにする(例:ツェルトとエマージェンシーシート/フリースとインナーダウン/コッフェルとマグカップ/クライミングロープとテントの張り綱等、いろいろ考えられると思います)

*複数で荷物(共同装備)を分担する(仲間同士での重複装備を削るためには事前に相談が必要です)

*危急時に、少ない道具(現場にあるもの)で対応できる技術を習得する(赤十字、ウィルダネスファーストエイド、メディックファーストエイド等の講習会はお勧めです)。

*重い荷物でもコースタイム以内で安全に歩けるだけの体力を備える。

その他にもいろいろあると思います。雑誌、ガイド、お仲間から情報を収集しましょう。

 

また、それ以前に大切なことは「ご自身の技術・経験・体力を考えて、身の丈に合った山を選ぶこと」だと思います。選び方も難しいと思いますが、選び方のアドバイスとしては

「危急時、天候変化に対応できるだけの装備・食糧を持ったうえで、登山マップ(山と高原地図等)のコースタイム通りで歩ける山」もし、コースタイム通りで歩けない(余分に時間が掛ってしまう)場合は、無理に出発時間を早めなくても、ご自身のペースで歩いて15時までに山小屋に到着/下山できる山を選ぶことをお勧めします。

 

「荷物を減らせば時間通りにつける」というのは困ります。荷物を減らして(ライト&ファーストを実践して)自分自身の技量以上の山に行くのではなく、ご自身の技量範囲内の山で荷物を減らすことによって所要時間、体力消耗、バランスの悪さを更に軽減=安全に繋げるのが正しい「ライト&ファースト」と言えます。また、ツェルト、ファーストエイド、携帯電話、ヘッドライト等の装備は必ず持つようにして頂きたいです。

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 大学山岳部では「フル装備(30~40キロ)を背負っても、ふらつかずにコースタイムの70%で歩く。それが安全!!」なんてことを目標にトレーニングしていたりします。もちろん理想はそうなりますが、そこまで頑張らなくても、山のグレードを落とせば十分安全に登山を楽しめます。わくわくしながらの山選びも含めて、楽しい、快適な秋山登山シーズンをお迎えください。

 

追記: 長々と偉そうに書いてますが、私も毎回「あー あれがあればな・・・」「これ要らなかったな・・・」ということがしょっちゅうです。みなさんと一緒に更にレベルアップできるように頑張ります!!