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好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

「山の地形図」昭和18年10月1日初版

山の楽しみ 登山技術 ★加藤智二

地図読みに関しての講座は大変賑わっています。現在はGPSを利用するなど地図の活用方法にも変化してきました。地図読み講座をさせていただく中で先人がどのように地図が作られてきたのか興味が高まってきました。そんな気持ちで神田の古書街を歩いていたら、このような書物を見つけましたのでご紹介します。

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この本の中、地形図という項に「・・・・この櫓は観測の時だけ使うので、何時までも残して置くものではないが、しかしこの櫓の真下には必ず表面に+の印をつけた石が埋めてあって、これは幾年たってもピクともせず厳存している。この石が三角点という標石であって地形図を作る為の基となる大切なものである。」

あとがきには、{この書籍は東宝文化映画「山の地形図」の梗概(あらすじ)を主体としたもので、目的とするところは青少年に対し我国の地形図が如何にして作成されたものであるという概念を平易に述べ、一方地形図に対する正しい知識を與へ、又その間に於いて測量に従事する人々の血の滲む様な努力の結晶によって、この地形図が生まれるものである事を織り込んだものである。・・・}等、書かれています。

時代背景が戦時中であるのですが、日本がその国土隅々までを三角測量にて測量していたことが丁寧に記述され、登山中に見る三角点が先人の苦労の末に担ぎ据えられたものであることを知る良い機会となりました。

R9293356.jpg 基準点 四等三角点です。全国に71,213 点。凡そ2㎞間隔に設定されています。

東京麻布にある原点と千葉の鹿野山を結ぶ「原方位」と丹沢山を結ぶ大きな三角形、それの距離を測るための「基線測量」など大いに勉強となる情報が満載です。

穂高頂上と白馬岳、御嶽山蓼科山、金剛堂山、聖山、妙高山など一等三角点(現在は977点)はその間隔39㎞から60㎞とまばらです。より精度を高めるために二等三角点(現在は5056点)を凡そ8㎞間隔となるように選び、更に細かく地形図を描くために4㎞間隔程度に三等三角点(現在は32075点)が選ばれたのです。現在の三角点数は国土地理院で。

映画化された「点の記」ですが、この本を読み、新田次郎の小説を読むとさらに面白さが増すと思います。現在販売されている地形図のベースがまさにこのような苦労の末にできたもので、航空測量、衛星によるデータで補強されてきました。

地形図をタブレット端末で見ることができるデジタル時代の登山者に何が欠けているのか、自問しています。正確であることはもちろん重要ですが、三次元を二次元に縮尺して描いていること自体に一定の不確定要素が含まれるのを自覚しなくてはなりません。、私たち登山者はまず、地形図から想像して、行動をシュミレーションし、実際の地形をよく観察し、自分で進路を決める訓練を積みたいものです。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、鉱物、水滴、自然、花、地質、鉱物などを載せています。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。