好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

10月の気象遭難

1989年10月8日、富山県立山真砂岳の稜線で発生した8名の中高年登山者の遭難は21年という年月がたつというのに未だに私の記憶から消えてはいません。当時も中高年の大量遭難と言われ、多くの問題提起がなされました。

ミクリガイケと立山.JPG  2006年10月17日の立山とミクリガ池

2006年10月7日、富山県祖母谷から入山したガイド登山グループが白馬岳手前で4名が亡くなる遭難が発生しました。このケースはガイド募集登山、1989年のケースは登山グループにおける遭難でした。グループに違いはありますが、「連れて行かれる登山」で起きた気象遭難です。

記憶に新しい2009年7月16日に起きた北海道トムラウシ山での登山史上最悪の遭難は、本州に比べ緯度の高い北海道は夏であっても北アルプスの3000m級の気温であることを思い知らされました。低体温症に関しては「トムラウシ山遭難事故調査報告書」に詳しく書かれています。この遭難で考えさせられたのは、やはり、「連れて行かれる登山」であるという点です。お金を払ったかどうかではなく、登山の基本的な部分に於いて計画を自分のものにしているかどうか、利便性と引き換えに何を失っているかを考えてみたいものです。

最近出版された「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか山と渓谷社 にも詳しいです。

トムラウシ山遭難はツアー会社主催のガイド登山でした。

夏から初冬にかけて、雨に叩かれ、雨に吹かれ、最悪は寒冷前線通過後の気温の低下を吹き曝しの稜線で耐え抜ける人間はいないことを心に刻まなくてはいけません。

1989年10月8日から20年余の歳月が流れて感じることがいくつかあります。
1:装備は軽量化、性能は向上した
2:登山に関する情報は増加した
3:体力(基礎運動能力や防衛体力)は低下した
3:山岳会やクラブの低迷により、趣味とはいえ「教育ができていない」登山者が増えている。技術や体験の伝承ができていない。

確かに、中高年登山者が高年齢登山者になっているのは傾向としてあるのは間違いないと思います。本当に中高年者ばかりが遭難を起こしてばかりいるのでしょうか。若い方々も含めた遭難事故を減らすにはどうしたらよいのでしょうか。

身近な事故例を見て、短絡的にリスクのある登山から逃げていてばかりいてはいけないと思います。そして、100%安全なら出かけても良いという風潮に流れるのを警戒しています。ありえないものを要求するという事は登山自体を否定することだと私は考えます。

無謀ではなく、困難に立ち向かい、耐えられる地点まで退きつつもチャンスを狙う、そんな周到でしなやかな計画を立てて山に出かけてほしいと思います。人の話を鵜飲みしたり、較べたりするのではなく、自分の経験値を積み重ねることを楽しみにしていきたいと思います。

さて、2010年10月の三連休はどうでしょうか。
予報の悪さに期間の短縮や目的地の変更をした方も多いのではないでしょうか。9日から10日にかけて日本の南岸を北上する低気圧とその前線によって雨模様です。

過去の天気図とその日に起きた様々な事件などが出ている「気象人」 と 「HBC 専門天気図」もお役立ちです。

10/8 12:00 高層天気図700HP によると、0度のラインはまだ大陸深くにあるようです。低気圧通過後に冬型になる雰囲気もなさそうですし、あまりメリハリがない感じです。

こんな天気予報ですが、10~11日にかけて出かけてみれば、プレゼントの様な晴れ間があるかもしれません。新調したレインウェア、防寒着など、装備を整えて現地まで行かれてはいかがでしょうか。
現地の天気や自分の体調判断、引き返しタイムリミットの設定など、「登山行動の判断」 を下せる 「自立した登山者」 を目指しましょう。

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPでは、キノコ、自然、花、地質、鉱物などを載せています。