好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

暑い日のリスク

酷暑です。運動をしてはいけない暑さになっています。登山も無理は禁物です。

山間部は天気が不安定なので、沿岸部に行ってみました。空には夏らしい雲が広がっていました。f:id:yoshida1487:20200813110810j:plain不安定な天気は免れましたが、半端ない暑さからは逃れられなかった。

午前中は日陰で、潮風受けて気持ち良く快適でした。f:id:yoshida1487:20200813110930j:plain

午後は直射日光で灼熱。耐熱訓練でした。f:id:yoshida1487:20200813151143j:plain

暑い時期は熱中症の他にも注意したいのが、ゲリラ豪雨。いわゆる積乱雲です。山で怖いのは、雷を伴っている事です。短時間の雨なら、レインウェアやツェルトなどで、やり過ごす事はできますが、雷は別物です。雷鳴だけでも怖いのに、稜線などでは遮るものが少なく予測できない落雷の恐怖はたまりません。

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一応、安全マニュアルはあります。山中で都合よく安全空間を確保する事は難しいかもしれませんが、知っておく事は大切です。怖いからと言って、集団で固まるのは危険なのでダメですよ。雷雲(積乱雲)は、日射により暖められた地面からの上昇気流によって発生します。発生するのは気温が上がる午後遅くです。この時期は少しでもリスクを回避するために午後の早い時間には登山を終えるように計画したほうが良いでしょう。携帯の電波が届く範囲なら、リアルタイムレーダー などで雨雲を細目にチェックしましょう。

ちなみに警察庁発表の山岳遭難統計では、ここ数年、落雷による事故はありません。

 先週のナイトハイクは、風が良く通って夜風が心地よかったです。f:id:yoshida1487:20200813131626j:plain

偶然、シークレット花火を眼下に見る事ができました。f:id:yoshida1487:20200813131651j:plainまだまだ暑い日が続きます。登山には熱中症や自然現象など様々なリスクがあります。気を付けて登山を楽しんで下さい。

低山の楽しみ。

梅雨が明けると猛烈に暑い。

恒例の低山でのナイトハイクは、やはり暑さとの戦いでした。尾根にでれば風が通って体温を下げてくれますが、樹林帯は無理。小まめな水分補給とクールダウンが必要です。f:id:yoshida1487:20200803130256j:plain

体温調整で大切なのは汗です。血液から作られる汗は、汗腺をとおして体の表面に出てきます。汗が蒸発することで、体温を下げてくれます(気化熱)。長袖の場合、大汗をかいてビシャビシャに濡れたウェア内部はおそらく湿度100%近くなると思います。ウェアが体に張り付く状態になると汗は蒸発しにくくなり、体に熱が籠り体温調整ができなくなります。私は気化熱と風による冷感を期待して、夏の低山は必ず半袖を着るようにしています。お肌のケアを気にされる方は、アームカバーがお薦めです。

高山では、逆に低体温症のリスクを優先しますので、汗冷えを防ぐレイヤリングが大切です。f:id:yoshida1487:20200803130324j:plain

暑さに慣れていなかったり、運動不足の方は、発汗機能が弱く、うまく体温調整ができません。熱中症のリスクも高まります。日頃から適度に汗をかく運動を心掛けましょう。登山中に息切れや、めまい、気分が悪いなどの症状があれば、木陰で休んでください。一度エンジンを止めて冷却する必要があります。歩きながら回復はしませんよ。f:id:yoshida1487:20200803130145j:plain

 暑いと飲料が増え、固形物が食べれなくなります。エネルギー不足も熱中症を助長します。出発前にはしっかり食べておく事と、行動食は喉越しの良いゼリー状のモノが消化も良くおすすめです。しっかり冷やして持ち歩く事も大事です。

今は遠くの山に出掛けにくいですが、近くの低山ハイクも楽しんでみて下さい。早朝、夕暮れ時など涼しい時間を選べば楽しいですよ。蜩(ヒグラシ)がヘッデンに突っ込んでくる様は一度体験していただきたい。

最後の下り道で聞いたあの唸り声は何だったのだろう? グルルル・・ かなり緊張しました。次回のナイトハイクは生息域圏内。鈴持って行こう。

登山学校再開

梅雨の晴れ間を繋ぎながら、山を楽しんでいます。f:id:yoshida1487:20200704100518j:plain

3年がかりで再整備されたクラシックエリア。デカい。まだハヤブサは巣立ってなかったです。f:id:yoshida1487:20200704100535j:plain

新しい登山様式は、新しいハザード(危険要因)を提示しています。リスクを最小化するのは、個々のマネジメント(適切な行動)です。早く習慣づけたいですね。

それ以外の登山に潜むリスクは変わっていないですね。足元に潜むリスク。f:id:yoshida1487:20200704100627j:plain

最近、出会う頻度が高いです。やっぱり気持ち悪い。f:id:yoshida1487:20200704100559j:plain

 

好日山荘登山学校では机上講座を再開いたしました。入念な準備と感染防止対策を施して再開します。当面の間は座席間確保の為、少人数の募集になります。f:id:yoshida1487:20200704124718j:plain講座もまた新しい様式を試みます。

テント泊、軽量化、危急時対応、この夏は特に学んでおきたい内容です。是非、ご参加ください。

好日山荘登山学校机上講座は>>こちら

夏山に向けて。

もう梅雨。

今年は雪不足からコロナ禍での自粛と、何とも不完全燃焼な日々が続いています。f:id:yoshida1487:20200619103015j:plain

先日、警察庁から山岳遭難の概況が発表されました。

 このデータを分析し、今後の安全登山への啓蒙に繋げていくのが登山業界全体の取り組みでもあります。

これまで年層別遭難者でもっとも多いのが60代だったのですが、2年前から70代が一番多いんです。世界的にも大変珍しいのではないでしょうか。これは年代と言うより世代でしょうね。山に行けばその年代の人は、たしかに多いです。しかも、強くて元気!そういう世代なのでしょうね。

遭難者が多いのは困りますが、裏を返せば山登りを楽しんでいる人が多いという事です。登山者が増えれば、遭難者も増えるのは当然なので、如何に登山者を増やして、遭難者を減らすかが問題です。そういう意味で登山者を見守る、山小屋の存在は大きいですね。

今年の夏山シーズンは異例です。特に高い山へ向かう方は、しっかりと登り込んで、情報収集をして計画を立ててください。 

春山を楽しむ

子供と山登り。大変な時なので全力で、絶賛登山中。f:id:yoshida1487:20200324132611j:plain春はアウトドアに良い季節ですね。虫も少ないし、乾燥しているし、登山道明るいし。雨の日、風が強い日は無理をしないけど、春は寒さに対する耐性もできているので、少々は大丈夫。f:id:yoshida1487:20200327125357j:plain

子供の登山用装備は初めから揃える必要はありません。服は普段着で大丈夫。 ザックはいりません。靴も普段の履きなれたモノで。一つ気を使うなら靴下ですね。登山用の靴下にすると、抜群に快適性がUPします。普段の靴下を2重履きにしても良いと思います。f:id:yoshida1487:20200327150919j:plain

大切なのは心持でしょうか。個人的に、仕事で山に行くと技術論、仲間と行くと理想論、子供と行くと精神論になります。時々ケンカにもなりますが、「頑張れ」しか言いようがないので仕方ない。f:id:yoshida1487:20060101000011j:plain

登山のリスクマネジメントは、危険を知り、予測し、そこから距離をとる事です。危険を知らないと予測できないので、危険から離れられないという事です。

たっぷりの水分とお菓子を背負って、身近な里山で春を楽しんで下さい。子供のリスクを背負っている事もお忘れなく! 

好日山荘スタッフお薦めの「家族で山登りコース」は>>>コチラ

【登山学校雪山実技講座 白馬編】 

3月7日 登山学校雪山実技講座 白馬にご参加の皆様

ごめんなさい。すいません。何度でも謝ります。大変申し訳ございません!!

 

講習に集中しすぎて写真をとる事を完全に忘れてしまっておりました!!

 

サポートしてくれた城野ガイドが当日のレポートをあげてくれましたので、以下にURLを貼らせて頂きます。城野ガイドはちゃんと講座後直ぐにアップしておりました(偉い!!)。

 

好日山荘登山レポート

 

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この日はこれ以上ない晴天で講習中に何度も写真撮影会が始まりました。

ほんとうであれば、講習は悪天候の方が勉強にも経験にもなりますが、

そうは言ってもやっぱり天気は良い方が楽しいですね。

 

当日は、歩行、アイゼン歩行、ピッケル技術等の基本的な部分を練習しましたが、習得するには反復練習するしかありません。まだまだ雪山シーズンは続きますので、是非、安全に雪山登山を楽しんで下さいね。

 

新型肺炎感染症の影響で開催を中止にしておりました登山学校机上講座は、4月から再開を予定しております。春山、夏山登山を前に是非ご参加下さい。

登山道の階段

登山道でよく見かける階段。

f:id:yoshida1487:19800101000009j:plain登山道の階段は、急斜面を安全に登りやすくする為、登山道の崩落を防止する為、自然保護の為などの理由で設置されています。何気なく歩いていると思いますが、作るのはかなり大変な作業です。資材の運搬から設置まで力仕事です人によっては歩幅が合わなかったり、急登だったりするので苦手な方も多いと思います。そのせいか、段差を避けて階段の脇に踏み跡が付いている事多いですよね。 

でも、階段の脇が踏まれることで周りの砂地が削られてしまいます。ドンドン削られていくと、いつか階段が崩れてしまいます。公道ではないので、簡単には直せません。直すにしても、ボランティア活動頼みです。f:id:yoshida1487:19800101000003j:plain登山道が広がって歩きやすくなるかもしれませんが、登山道の幅が広がることで周辺の自然に対するダメージも大きくなってしまいます。踏み固められた地面は雨によって流されて、増々広がってしまい、植生は失われていきます。

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ちょっと頑張って階段直登しませんか。誰にでもできるエコロジカルです。

いつも歩く登山道を大切に守っていきましょう。次に登る人のために。

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