好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

北アルプス大縦走 part.1

親不知から北アルプスの山々へ。
取材をかねた大縦走を完登するために、ガイドとして最も気を使うところは、体調管理と天候の読みだ。ペース配分を乱せばあとからそのつけがやってきて終盤に衰え、完登は厳しくなる。天候の変化や飲料や行動食不足で熱中症や低体温症になれば縦走を続けることはできない。同行者の技術体力にあわせながら天候の機嫌を見定めてひとつひとつ山を登ることとなった。

◯1日目(9/3)
親不知0mー尻高山ー白鳥山ー栂海山荘1540m
登り 2318m 下り 778m 距離 15km
f:id:shimadaguide:20190921074621j:plain
f:id:shimadaguide:20190921074711j:plain
有無を言わさない急登はある意味、覚悟をさせてくれる旅のはじまりだ。焦らずしかし無駄なく雨天の辛抱の登り。ここでは決して大股歩きはしてほしくないものだ。アルプスの縦走路のはじまりの景色を楽しみに丁寧にコツコツ歩くしかない。泥道も所々ありスパッツが役に立つ。暑くてもケガ防止で長袖で歩きたいところですね。栂海山荘は事前申請し宿泊。直前に雨が降っていれば雨水を利用して煮沸や浄水器で飲料にできる。雨のない時なら蓮華の水場で確保する必要あり。

◯2日目(9/4)
栂海山荘1540mーサワガニ山ー朝日岳ー朝日小屋2150m
登り 1430m 下り 820m 距離 14km
f:id:shimadaguide:20190921075319j:plain
f:id:shimadaguide:20190921075421j:plain
サワガニ山までの小さなギャップをいくつも越えるとアルプスらしさが少しでてくる。池塘混じりの景色を眺めながらたおやかに高度を稼ぎ朝日岳へ向かう。この辺り雪渓で取り残された7月の高山植物が姿を表すのも楽しみのひとつだ。ニッコウキスゲ、ハクサンフウロ、ウサギギク、可憐に咲く花と雪渓、今回は雷鳥もたくさん現れ疲れを癒してくれた。北アルプスでありながらどこか北海道や東北の縦走路を感じさせる雄大な尾根を登っていく。朝日岳からはよく手入れのされた登山道を富山側へ下り、人気の小屋 朝日小屋に到着する。朝日小屋オーナー清水ゆかりさんの登山者目線の心配りが小屋の随所に表現され、たいへん快適で心地よい時間を過ごすことができた。

◯3日目(9/4)
朝日小屋2150mー雪倉岳ー白馬岳ー白馬山荘2832m
登り 1421m 下り 739m 距離 12km
f:id:shimadaguide:20190921080043j:plain
f:id:shimadaguide:20190921080136j:plain
険しさの目立つ北アルプス南部と違い、静かで山に包まれるように登山を楽しめるのがこのコースだ。雪倉岳までの豊かで雄大な自然、雪倉岳からは森林限界を越えた白馬岳は雰囲気を一掃し、いよいよ北アルプス北部、後立山連峰に入る。代表格白馬岳へ登頂し、 山荘はもう目の前だ。今までに比べ一気に登山者も賑やかになってきた。白馬山荘は800人収容ができる巨大な山荘。ほんとによくここに建てられたなと感心するしかない。

つづく

ABC朝日放送テレビ おはよう朝日です40周年 キリマンジャロチャレンジ!!

久しぶりのコラムアップです。

8月20日から9月1日まで「おはよう朝日です」40周年企画でキリマンジャロ登頂ロケのガイドとしてタンザニアに行ってきました!!

 

関西の方はおなじみの番組 岩本アナウンサー、正木お天気キャスターとスタッフ4人をお連れしての登山。これまでに何度も登っているキリマンジャロ山ですが、撮影をしながらの登山はこれまでと違い大変厳しい登山となりました。

 

9月9日の放送まで「ネタバレ絶対禁止!!」と言われていますので、少しの写真しかお見せできませんが良かったらご覧ください。

 

f:id:saruatsushi:20190905184200j:plain

まだまだ前半マンダラ小屋 2700M ジャングルを抜けた先の山小屋到着(まだ元気)

 

f:id:saruatsushi:20190905184329j:plain

キャンプ2 雲上のホロンボ小屋 3720m ほぼ富士山山頂

 

f:id:saruatsushi:20190905184452j:plain

3日前はジャングルだったのがこの日は砂漠。4700m地点を登る。

 

この先は是非9月9日~12日の4日間放送でご覧ください!!

(関西の方限定です・・・。自分も長野なので見れません 涙)


登山道の浮石は無くならない ならば歩くチカラを身につけよう!

9月には三連休が2回ありますね。秋雨前線が気になる今タイミングで準備と計画はいかがでしょう?

f:id:katomoji:20190828091818j:plain

秋はアルプスからやってくる!


例えば、北アルプス穂高連峰縦走では浮石がなくても凸凹が激しい登山道、かつての氷河によってつくられた岩塊が積み重なったカールの中の登山道、崩壊しつつある岩体の弱点をつないでつくられた登山道など多様な登山道がでてきます。

落石は普通にの発生します。 ⇒ だから (Yahooニュース 加藤の記事です)

どうしたら、山を歩くのが上手になるでしょうか?

f:id:katomoji:20190827172226j:plain

涸沢カール ザイテングラードにむかって

年齢の高い世代なら、ゆっくり丁寧に歩くこと第一にしていますが、スムーズな動的バランス力は実際に繰り返し行うことでしか身に付きません。

どの石が安定しているか、石のどこに靴を置くのか、見た瞬間に判断する力をつけるにはどうしたら良いでしょうか。山を安定して歩くチカラを身に付けるにはたくさんの山に出かけるのが一番です! が・・・

 私のおすすめ ⇒ 先ずは高低差が少ない河原歩き です。

f:id:katomoji:20190827173138j:plain

目の前の地形を良く見て!

岩の質、濡れているのか、乾いているのかによっても変わります。

登山靴の性能と靴底ラバーの摩耗の程度でも変わります。

f:id:katomoji:20190722172750j:plain

新しい靴底は安心感が違います!

アルプスなら、ガレ場歩きや角が尖った岩に足を置くことが多くなることでしょう。

f:id:katomoji:20190828094446j:plain

どんなに性能が良い靴も消耗品です。安全性能と快適性能は劣化します!

増税前の9月!あなたの登山靴、今晩確認してみてくださいね。

 

秋の新ツアーをアップしました。加藤校長と歩く!少人数の企画です。お早めに!

11/5~6 秋の大杉谷と大台ケ原 

好日山荘登山学校の実技 ⇒ こちら

 

秋はすぐそこに。山歩きをはじめる良いタイミングです。

ジリジリと焼けるような陽射しと強烈に冷やされた屋内で身体の調子が今一つ、そのような方は結構いるのではないでしょうか。

山歩きに出かけてリセットしましょう!

f:id:katomoji:20190826161247j:plain

9月に入ると寒暖の差が大きくなります。

何歳からでも始めることができるのが山歩きの良いところです。

 ⇒ 「60歳から始める山歩き」は人生を豊かにする。山歩きをはじめるあなたへ贈る5つのメッセージ 

9月は新しい仲間を誘う絶好のタイミング。先ずは頂上にこだわらずに秋の七草を探しながら森の中を歩いてみるのも良いですね。

キャンプ場を活用してテント泊で虫の音のBGMも素敵です。

 ⇒ テント泊 高島トレイル

f:id:katomoji:20190826162120j:plain

乗鞍岳

9月に入って紅葉が綺麗な山に行くとき、私が必ず追加する装備はこれです。

 ⇒ 秋のハイキングに必要な小物

出かける地域や標高で変わりますが、リュックサックの取り出しやすい場所に収納しておきましょう。

1:薄手のニット帽 頭部からの熱放散を防ぎます。

2:薄手のネックゲーター 頸部からの熱放散を防ぎます。

3:防風性をもった中厚のグローブ 手首から指先は冷えやすい部分です。

4:熱いお湯を入れたテルモス 温かい食べ物・飲み物で身体の内部を温かく

5:薄手ダウンジャケット 休憩時に着用します。

もちろん、レインウェア、ヘッドランプ、をはじめとする基本装備は必須ですよ。

 

秋の新ツアーをアップしました。少人数の企画ですのでお早めに!

11/5~6 秋の大杉谷と大台ケ原 

 

 

 

高山は夏から秋へ

f:id:asahiryuta:20190822205647j:plain

photo:tadatoshi obata

台風10号が過ぎてから山の気温もお盆の頃とは変わってきました。※写真は8/18(日)この日は日中でもお盆前の空気感とは異なり、秋のような空気感でした。とは言いつつ、日差しが当たれば温かいですが。

高山は夏から秋へ

体温を奪う現象は「対流」「伝導」「蒸発」「放射」の4つが存在します。

●対流:風によって体温を下げる現象。
●伝導:濡れた衣服を着れば、体温は奪われる。
●蒸発:汗が蒸発する時に熱を奪う。
●放射:衣服を脱いで裸になれば、熱は放出される。

f:id:asahiryuta:20190823173508j:plain

8/20、8/21と秋雨前線の影響により3000mの稜線では時折、強い雨が降り10m以上の風が吹いていました。気温が10度であれば体感は0度以下、水は空気の約24倍の熱電動率がある。したがって体が濡れ、風が強いと体温は加速的に低下します。熱電導率が高まる濡れ、対流(風)による体温低下、体の熱を産生するカロリー不足、疲労、保温が不十分な衣服の条件が揃えば低体温症は起こります。当たり前ですが、ミッドレイヤーとしてフリース、サーマルレイヤーでダウンなどの装備が必要。ドライレイヤーなど着ていれば少しは効果はあるかもしれませんが強い風雨の前には微力にしかならないかもしれません。それ以前に濡れない、冷やさない事。着るタイミング、熱を生産する為の努力なども大切ですね。このあたりは山での行動においての生活技術が必要になります。

f:id:asahiryuta:20190823173247j:plain

昨夜は槍ヶ岳山荘に宿泊しましたが、低体温気味の方がいらっしゃったり、寒い寒いと沢山の方がストーブの前や暖房の効いた部屋に集まってました。体力があれば!と思うかも知れませんが体力がありそうなプロレスラーのような外国人の方もびしょ濡れで死にそうな顔してストーブの前で自分の身体をさすり、その場に居合わせた学生達に介護されていました。※写真は前線通過後に晴れ間。ただし風は10m以上。翌日は・・・と思われましたが結果、翌日もよくなりませんでした。

今までは暑さなど熱疲労対策に意識がありましたが、これからは寒冷に対しても留意が必要です。秋雨前線は前線を挟んで夏の空気と秋の空気とが押し合いをしているため、前線は日本上空を南下したり北上したりする、こうして長雨が続く。当然ですが前線が南下し、秋の空気の勢力にいる時は秋の気温になります。

高山に行かれる方はご注意ください!

お盆が過ぎると秋を探してしまいますね。

つい、先日まで梅雨明けはまだ? クマゼミが喧しく鳴くね。などと夏の話題でいっぱいでした。

秋山計画は台風と秋雨前線の動きが気になるところです。

f:id:katomoji:20190823092104j:plain

本格的な縦走登山を快適に楽しむために必要な基礎体力を養うにも良い時期がきました。

私は毎月六甲山を舞台に長時間歩く、様々な地形を歩く、水分摂取と栄養補給を効率よくとりながら自分の体調管理を行うをテーマにした企画を実施しています。

シーズン11に突入する「加藤校長と歩く!六甲山シリーズ」⇒ こちら

f:id:katomoji:20190823093321j:plain

アウトドアフィールドの多くは街中のような安全管理はされていません。小さな石ころにけつまづいて転び、ヘリコプターによる救助となった事例もあるくらいです。

どんなに険しいルートも、どんなに初心者向きのルートでも、そこを歩く登山者に基礎的な歩く能力と体力が無いと、自ら遭難に近づくことになるという自覚が必要です。

 

Yahoo ニュース 個人 ライフ 「死と隣合わせの日本最難関コースに溢れる登山者」

 

年間通じて山岳自然を満喫できる日本列島!

好日山荘登山学校ツアーを積極的に利用して、日頃から足腰を鍛える意識を持つ生活に変えていきませんか。

好日山荘登山学校ツアー ⇒ こちら


 

紅葉の計画を立てる時期ですよ。

盆休み真っ只中の日本列島!

今、絶景ポイントで楽しんでいる方も、お仕事している方も、秋の気配を感じる山歩きの計画をしてみませんか。

f:id:katomoji:20190812102041j:plain

乗鞍岳

9月中旬以降なら中部山岳エリア、標高2500m付近が狙い目ですね。

朝晩は残暑が続く日頃の生活からは想像できないくらい冷え込むものです。登山口は夏の様な気候でも標高を上げるに従い気温は低下、吹き抜ける風が強ければ尚更のこと体温を奪われてしまいます。気温の変化が大きくなるので、服装・装備は慎重に選びましょう。

 ⇒ 標高100m上げる毎に、0.65度程度気温は低下します。

 

美しくちょっと儚い秋の瞬間をぜひ体験いただきたくて計画しました。

私はとても深い思いを抱く「北アルプス大日岳」を計画です。ラムサール条約認定の湿地である大日平から剣岳の雄姿を見ながら、奥大日岳を往復する稜線歩きです。

f:id:katomoji:20190812104304j:plain

陽を浴びて

登山道の脇にはたくさんの発見がありますよ。

f:id:katomoji:20190812104934j:plain

紅いには霜化粧

少人数企画のご案内です。

加藤校長と歩く! 北アルプス/大日岳~奥大日岳 縦走3日間 9/29~10/1