好日山荘 ガイドコラム

好日山荘契約ガイドによる山のコラム

冬の水分補給と水筒について

f:id:asahiryuta:20170315224536j:plain●冬の水分補給の注意点

①凍らせないこと。ペットボトルでは気温が低いと凍ってしまいます。ハイドレーションは、凍らないようにホースにカバーを付ける対策も必要です。(自分は細かいギアトラブルが嫌なので冬はハイドレーションを積極的に使いません。)サーモスをバックパックの外にという方を度々見かけますが、保温しておきたいのであればオススメしません。積雪期、無積雪期に関わらず命に関わる大切な水分はバックパックの中がよいですね。

②必要な水分は必ずとること。乾燥する冬、冬でも水分量は非常に大切で、少ないと血液が粘り抹消の血液循環が悪くなり、凍傷にかかる恐れも有ります。→意識的に多めに水分をとる、休憩時はまず水分をとる等の習慣を意識しています。

 

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と、いう事で最近の登山やバックカントリー(テント泊含まず)で使用している水筒です。

ご存知、THERMOS(サ-モス)山専ボトルは通年大活躍です、このおかげで温かい飲み物がいつも飲めます。

折りたたみが出来てコンパクトになるハイドラパックは気温が低くない山で。※一部の好日山荘店舗で取り扱いしていると思います。

沢山水分をとるような山行にはナルゲンの1Lボトルを凍らない様に保温ケースにいれて。冬はバックパックの中でも簡単に水分が凍結していきますので…。

クリーンカティーンにはコーヒーや甘い紅茶を入れて。※主に移動時に使用が多いかな。

以上をメインに、2種以上を組み合わせて冬は使用しています。

街では春に季節が推移していますが、山は今の時期でも雪が降るし、気温ももちろんマイナスです。これから、残雪期に変わっていきますのでより水分が必要になると思います。雪山でも意識的な水分補給を意識してみてください。

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●おまけ

チェーンアイゼンをリニューアルしてみました。(CAMPの物)八ヶ岳の赤岳鉱泉までのアプローチなどで主に使用していますが、非常に便利です!

 

冬後半

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11月になると長い冬が始まるな、と思いますが、

3月になるとあっという間に過ぎた、と毎年感じます。
勿論まだ冬は終わってないですけどね。
これからは晴れた昼は春、一旦荒れたら真冬です。

写真は3/12の鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳(左から)

 

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私の冬のガイドはアイスクライミングが殆ど。
今年も北海道はじめとして色々なところへ氷を叩きに行ってきました。

氷瀑が発達するにはただ寒いだけでなく、時々気温上がり、

雪が溶けたり水流が発生して、氷にまた氷が上乗りされると大きくなります。
今年はそこそこ寒波もあり、気温上昇もあり、なかなかいい氷ができてます。

 

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先週末、長野県菅平の宿に泊まった時、そこのオーナーの話では、
昔は菅平の雪はサラサラだったが、近年は重い湿気った雪が多いと話してました。
原因は諸説ありますが、環境は変化してると感じます。

日本のこの緯度で大量の雪が楽しめるなんて幸せです。

そしてこの雪と土地が美味しい水を作ってくれます。

 

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写真は八ヶ岳でのレスキュー訓練。

冬はシート搬送で雪の上を引きずる方法が講習会等で行われますが、
これは要救助者にとっては地獄です。より悪化します。
私も訓練で2時間以上シート搬送されたことがありますが、
冷えて低体温症になる手前、直接雪の上で引きずられるので乗りごごち最悪。
それでは救助ではなく、ただの物の移動となってしまいます。

安易な技術、技術に溺れた技術は使わない方がいい、ということです。

 

この訓練ではレスキュー用のボートを使い生身の人間を入れて、

雪の上を移動して滝を降ろして、小屋まで搬送しました。

保温の手当てもちゃんとしてますが、1時間以上も入っていると

要救助者役には試練です。

 

好日山荘登山学校 晴天の白馬編

 

私の住んでいる白馬周辺で冬山に関する講座を開催しました。

お題は「冬山ギア」と「雪山でのナビゲーション」

冬=雪のある山では夏の登山よりプラスα の装備、知識、体力が必須となってきます。体力に関してはご自身の努力次第ですが装備の使い方、知識(今回はナビゲーション)に関しては始めのとっかかり部分は習ってしまうのが習得の近道だと思います。

 

2月、3月と全4回開催しましたが毎回、やる気満々のお客様で満席となりました。

ご参加いただいた皆様ありがとうございました。近道の道しるべはお伝えできたと思いますので、あとはしっかりと練習して身に付けてくださいね!!

 

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この日は晴天 でも、まじめに講習です!! 良いバランスで歩いてます。

 

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急登も登ってみます。焦ると登れない。体重移動と踏込みを意識しながら。

 

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晴天&パウダーだったのでおまけでスノーシューも楽しみました。気持ちいー。

 

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東山登頂!! 最高の景色をバックに記念撮影。

 

翌日はナビゲーションの講習。雪が積もると登山道は隠れてしまいます。また、沢、岩、穴等の地形の罠も雪の下に隠れます。講習では地図、コンパスを使って、地形、植生、標高、方位、斜度、音、風向き、夏道跡と様々なものを意識しながらご参加者ご自身でナビゲーション。

 

これが結構楽しい!! 子供の頃に楽しんだオリエーテーリングの感覚で皆さん楽しまれていました。

 

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チームに分かれて目的地までのルートを判断。悩みすぎも良くないですよーーー。

 

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全員で目的の山に登頂

 

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そして無事に下山。白馬の山並みが美しく迎えてくれました。講習中は白熱しすぎて写真を撮る暇もありませんでした。。。(言い訳です。すいません)

 

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橋を渡ってゴール

 

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雪が少なかった昨年と比べると今年は雪が多いです。スキー、登山と雪山シーズンはまだ半分を過ぎたくらいです。海外にも負けないこの景色を楽しむことのできる白馬村に是非遊びに来てくださいね!! お待ちしております。

 

そして今週末は都会に!! 冬山でも使える靴も含めた「アウトドアシューズ大処分市」が神戸で開催されます。そこでの靴に関する講座を担当します。お買い得品、掘り出し物を探しに、そして講座を聴きに是非お越し下さい。

ご近所偵察&宣伝

徐々に暖かくなってきて花粉も飛び始めました。

山も天気が良い日が多くなってくるこの時期は雪山にも少し入りやすくなってきます。

 

先日近所の山に来年のガイドルートの偵察に行って来ました。

尾根を忠実に辿っていきます。f:id:isakamichihiko:20170311102018j:plain

 

クランポンのフロントポイントを岩に引っかけて登ります。楽しいピッチ!!f:id:isakamichihiko:20170311103043j:plain

 

振り返るとこんな感じ。勘の良い方はこれでどこか分かるハズ……f:id:isakamichihiko:20170311102845j:plain

 

今回の装備ではこのハングはパスしました。面白そう!!f:id:isakamichihiko:20170311102949j:plain

 

終了点への抜け口にて。ヒョコっと出てきます。f:id:isakamichihiko:20170311103140j:plain

 

雪稜、岩稜、草付きが30m×6ピッチの好ルートでした。ルートの情報が少ないと先に何が出てくるか分からないので登っていてもワクワクしますね。

これからの時期は雪稜登攀が楽しい季節です。
私、井坂がガイドを務める穂高岳でのバリエーション、登頂プランが募集中ですのでご検討いただければと思います。

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①北穂高岳東稜3日間
残雪期の北穂東稜を登ります。『ゴジラの背』を登攀して北穂高岳へ登る爽快な雪稜です。
http://www.kojitusanso.jp/school/practical/detail/?p=906

 

②前穂登頂2日間
夏道の重太郎新道ではなく、奥明神沢を経て前穂高岳を目指します。2日間で穂高のピークに立て、山頂からの眺めも壮大です。http://www.kojitusanso.jp/school/practical/detail/?p=905

 

トレッキングポールを上手に使おう! 滑らない歩き方を身につけよう!

御岳登山鉄道株式会社さんのご協力の元、御岳山で登山学校実技講座を開催しました。

 

講習内容は

「トレッキングポールを上手に使おう!

        滑らない歩き方を身につけよう!」

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まずは表参道の階段を使わせて頂いて登る際の歩幅、体重移動の話を

 

 

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次は下りで滑らないように歩くには。 脱へっぴり腰!!!

 

 

トレッキングポールについて少し

私は20年以上トレッキングポールを使っていますが、使い始めた頃(まだ20世紀)は「何で夏なのにスキーのストック持ってるの?」って目で見られた時代でしたが、今は登山、トレッキング愛好家のほとんどが使用しています。今回はせっかく持っているのであれば効果的に使って頂くために使用のポイントの解説と使用時、未使用時の違いを体感してもらいました。

 

使用のポイントを簡単に書くと。

①バランス保持: 人間は歩く際に必ず一本足になる瞬間があります。一本足で立っている瞬間は進む、登る(体を持ち上げる)、降りる(落下していく体を止める)、という動作と共に前後左右に傾こうとする体を保持する動作を行っています。トレッキングポールを突くと傾き保持の動作が容易になり、進む、登る、降りるという動作に集中できるため体が安定して「安全」「疲労軽減」に繋がります。

 

②推進力: トレッキングポールをバランス保持だけの為に使っている方が多いですが、推進力を得るために使って頂けると足の疲労軽減とスピードアップに繋がります。

トレッキングポールを地面に突いてバランスを取って終わり、ではなく、後(登っている際は下方向)に押してあげるイメージを持って使用してみてください。

 

③持ってるだけ=おもり: 「下りが苦手なので、トレッキングポールを下りで使う。膝が痛くならないように」という方が多いです。が、考えてみてください。最近は大変軽量になったとはいえ登りや平坦な部分で使用しないという事は、バックパックに数百グラムの重りが取り付けられているという事になります。山頂に着くまでにトレッキングポールの重り分足への負担が増えることになります。負担を増やしてから下り始めるという事は、既に筋肉疲労、膝へ負担がかかっていることに・・・。登り、平坦部で上手に使う事で①、②の様に足への負担を軽減できている方と、負担を増やしてから下りで使い始める方では、下山を開始する時点で既に足の疲労度が大きく異なっていることに??

 

とは言ってもいきなり上手には使えず、説明後に実践してみると手と足が同時に動いてしまったり。(笑) そんな時は初めから両手で使わず利き手のみトレッキングポールを使って持っている手と反対の足と連動(松葉杖と同じ)させてあげると簡単に正しい動きになります。練習してみましょう。

 

田中が使用しているトレッキングポール 軽量でスイングバランスも良くお勧めです。

軽量、コンパクトなZ型ポールならこちら

 

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講座ご参加の皆様お疲れ様でした。田中の長くてくどい話にお付き合いいただきましてありがとうございました。

登山学校実践編 八ヶ岳 赤岳-阿弥陀岳-御小屋尾根下降

時期的には厳冬期真っ只中。

 

美濃戸口から行者小屋手前まで道は氷結してツルツルでした

近年の冬は寒暖差が激しく、雨が降って溶けて凍ったり、こんなことに。

以前まで冬は安定して冷えていたので雪だけでした。

こんな時チェーンアイゼンが役立ちます。

 

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意外と退屈なアプローチ南沢経由で行者小屋へ。

八ヶ岳ブルーが迎えてくれます。

 

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翌朝の地蔵尾根は超冷気が吹いて寒かったです。

バラクラバ必携。

そして絶対素手になってはいけません。

その時良くても後からギンギンに冷え、痛くなります。

 

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稜線に出ると日が出てきてなんとか耐えます。

 

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いつもの南アルプス3兄弟。

 

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中岳、阿弥陀岳を越えて、御小屋尾根を下降して出発点である美濃戸口へ。

この日は結構寒いでした。

山は色々な厳しさを経験して、自分なりの対処法、ここまではOKという感覚

を学ぶのが重要です。

 

今年の鈴鹿は本格的な冬山

御在所岳でアイスクライミングをしてきました。

今シーズンの鈴鹿山系は1月中旬以降寒気の流入が激しく、毎日白い雪雲に覆われています。この日も断続的に吹雪いていました。
しばしば膝~膝上ラッセルがありました。f:id:isakamichihiko:20170215133237j:plain

今回はアイスクライミングに時間を割くために上下山ともロープウェイを使用しました。
家からロープウェイ駅まで30分、ロープウェイ10分、取り付きまで30分。
Door to Iceが1時間ちょい。なかなか良い場所です。
まずはαルンゼ、氷結も良く、グイグイ登って2ピッチで終了。f:id:isakamichihiko:20170215133139j:plain

 

藤内沢を下降して3ルンゼへ。風が強く、猛烈なスノーシャワーをくらいます…f:id:isakamichihiko:20170215133801j:plain

 

ずっとビレイをしてたら雪まみれになってしまいました。。
気温が高く、湿った雪が降るので装備が濡れやすいです。
脱いだグローブは外に置かずにジャケット内側のポケットに入れる、ウェアはグローブに付いた雪はなるべく早く掃う等濡れに対するケアが重要になりますね。f:id:isakamichihiko:20170215134042j:plain

 

お、晴れてきました。
青白い氷と青い空。これぞアイスクライミングの醍醐味です!!f:id:isakamichihiko:20170215134625j:plain